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羽田空港から地方創生へ「和蔵場~WAKURABA~」が発信するウェルビーイングな地方の魅力

2025.05.15

自分らしい生き方や、より自分のパフォーマンスを発揮できる働き方として、地方を「2拠点生活」や「多拠点生活」、「移住」の地に選ぶ人も多い。またワーケーションやリトリートなどの方法で都市部と地方を行き来する人もいる。地方には観光、食、自然などさまざまな魅力があるが、その土地や地域自体が活性化していなければ、経済活動は成りたたなくなってしまう。地方や地域の魅力や情報をより多くの人に知ってもらうことで、人の往来や交流の活発化につながり、社会全体のウェルビーイング向上にも発展するかもしれない。

羽田空港第2ターミナル

空港で出会う日本 全国各地の名産や特産品をストーリーから伝えていく場

年間、約8500万人の人々が利用する羽田空港。国内線、国際線ともに運航する第2ターミナルには、日本各地の魅力を伝える情報発信型の店舗『和蔵場~WAKURABA~』(以下、和蔵場)がある。「味わいからその土地を知り、訪れたくなるように。これから訪れる土地をもっと楽しめるように。人と地域を結びつけたい」という思いから、2020年にオープン。“ご当地素材”にフォーカスし各地の特産品や伝統工芸品などを展示・販売している他、カフェでは地域資源を活かしたスイーツや軽食、ドリンクなどを提供している。コンセント完備の座席もあり、搭乗や出迎え待ちの間もパソコン作業などが可能。待ち時間の合間に、全国各地の魅力に触れることができる。

この和蔵場を運営しているのが、株式会社羽田未来総合研究所。羽田空港旅客ターミナルの建設、管理・運営を担う日本空港ビルデング株式会社のグループ会社だ。今回は、和蔵場を担当している羽田未来総合研究所・地方創生事業部の畑山博康氏に、地方創生の取り組みについて話を聞いた。

和蔵場で販売されている各地の名産や特産品

――まずは和蔵場をどんな目的でオープンしたのか教えてください。

羽田未来総合研究所・畑山博康氏(以下、畑山)「和蔵場を運営している羽田未来総合研究所(以下、未来総研)は、羽田空港旅客ターミナルの建設、管理・運営を担う日本空港ビルデングのグループ会社です。羽田を軸に新規事業の創出をミッションとし事業活動をしていますが、そのうちの1つに『地方創生』『地域活性化』への貢献があります。地方が元気になり人の往来ができると、新たな流動が起こる。その往来や流動が経済の活性化や、また人の豊かさ・幸せ・生きがいといったウェルビーイングにも繋がります。

羽田空港ターミナルは、人・産業・文化をつなぐ交通結節点として、世界各国・日本各地から多くの人が訪れます。国内における人口減少や少子高齢化が予測される事業環境の中で、持続的な成長を続けていくためには、空港が持つネットワークや立地の強みを活かし、人と地域をつなぐ交流や情報発信の役割をさらに広げていくことが大切だと考えています。

訪日客や国内旅行者に向けて空港の機能を進化させるとともに、空港をきっかけに地域の魅力を発信し、旅を通じた体験価値の向上と地域活性化に貢献する取り組みを進めています。この和蔵場も、そういった目的のもと、新規事業を担う未来総研が運営し、軸足は地方創生や地域の応援に置いています」

屋久島の『屋久膳たんかん果汁』

――和蔵場では、鹿児島県佐多辺塚の原生林にしか自生しない花々から希少な日本ミツバチによって作られた、1年に1度しか採蜜できない百花蜜『凛(りん)』や、全国各地の名産品や地酒、また錫(すず)の酒器や切子グラス、焼き物などが販売されていますね。空港らしく、全国のものが集まっています。

1年に1度しか採取できない百花蜜『凛(りん)』

畑山「単純に『空港で物を売るという店舗』ではなく、地域のストーリーや生産者さんの思いも一緒に伝えていきたいと思っています。店舗を担当するようになってから、まさにそこが重要だと感じました。またお客さまには『いい買い物をしたな』と、うれしさやハッピーな気持ちを持っていただきたい。製品を通して地域のストーリーや商品の魅力、特性、そして希少価値というものを知っていただく。購入すると同時に情報を得ていただくことで、ご自宅に帰った時に、『この商品は○○という地域のもので、こんな風に作られているんだよ』と会話が生まれるんですね。こういう体験を通して、お客さまの豊かなコミュニケーションが生まれ、喜びや驚き、興味に繋がっていくといいなと思います」

各地の工芸品も並ぶ

――商品を通してその地域のストーリーや思いが伝わるのですね。

畑山「現代はネット販売が多くなりました。それはそれですごく便利ですし、世の中の流れとしても必要です。ただ和蔵場では、リアルな店舗の魅力やストーリーなどを感じ取っていただくことを大事にしています。最近は『モノ消費』から『コト消費』、それからさらに『トキ(時)消費』と言われています。“その日、その場所で、その時間、その時に”という、体験型・経験型で、実際に見て喜んだり何かをやってみたり、そこから得られる気持ちが大事だと思っています。

『トキ消費』というのは、さらにそこから『自分にとっての価値』『自分だけ、この時だけ、この場所でだけ』という体験で、それが充実感や幸せ感に繫がります。まさにウェルビーイングです。そういう時代に和蔵場のような場所が果たす役割は大きいと思います。原点として、地域の方の何かお手伝いになることや、販路になることで貢献しながら、消費者や利用者の方の『自分にとっての価値』も見つけていただく。利用した方が、それぞれの土地に興味を持っていただけるかもしれない。『ちょっと行ってみようかな』と関心を持っていただけるような、きっかけ作りの場になったらうれしいです」

リアルイベントも開催「本当の意味で『地方の思いが詰まったもの』を伝えることが役割」

――単純に「商品を売るだけ」ではなく、各地域や地方の情報を伝えるイベントも定期的に開催されていますね。

『林家たい平の波佐見焼(はさみやき)展』に出席した落語家の林家たい平さん

畑山「今年度は積極的にミニイベントを開催しています。例えば、落語家で武蔵野美術大学を卒業されている林家たい平さんをお招きし、『林家たい平の波佐見焼(はさみやき)展』を開催しました。たい平さんは、長崎県波佐見町の波佐見焼の魅力を伝える活動をされていて、ご自身も絵付けをされています。一流の落語家で、素晴らしいアーティストとしての一面もあり、地域への思いや地方への関心もすごく高く持っていらっしゃる。このイベントでは、たい平さんが描き下ろした約150点の作品を紹介し、作品についての思いを語っていただきました。

長崎県波佐見町の波佐見焼

また2024年の秋には山形県の応援イベントを行い、山形出身の歌舞伎俳優の中村橋吾さん(成駒屋)にお越しいただきました。橋吾さんは山形への郷土愛がすごく強いので、プロモーションイベントに2日間来てくださり、和蔵場で口上も披露してくださいました」

歌舞伎俳優の中村橋吾さん

――著名な方を招いてのイベントも積極的にされているのですね。

畑山「また、店舗を持たずに世界各国をまわって料理を提供しているフリーランスシェフ・一之瀬愛衣さんをお招きし、和蔵場を舞台に期間限定の『スカイディナー』も開催しました。和蔵場は通常はレストランではありません。さらに空港は非日常的な場所です。こういう場所の特性を生かすことで、朝獲れの地方野菜等を空輸で運んできて使うことができます。和蔵場が厳選した日本各地の食材や調味料と、空港ならではの空輸食材を駆使し、一之瀬シェフに特別な独創フレンチを作っていただきました」

フリーランスシェフ・一之瀬愛衣さん

――和蔵場はレストランにも変化するスペースなのですね。空港という立地や、各地の名産を取り揃えているからこそできることかもしれません。

畑山「その他にも、熊本県天草エアラインの地元のラジオ番組の収録を和蔵場で行ったり、ミニイベントやトークショー、ワークショップ、展示販売、実演販売をしたりと、カフェや展示の場としてだけでなく、リアルなイベントを積極的に年25回ほど開催しています」

天草エアライン

――和蔵場という場所の持つ意味はなんでしょうか。

畑山「和蔵場を通じて、ハッピーをお届けしたい。『いいお買い物ができたな』と満足そうに帰られるお客さまを見ると、『本当ありがとうございました』という気持ちになります。本当の意味で『地方の思いが詰まったもの』『優れたもの』『魅力あるもの』『珍しいもの』を選んで伝えていく。和蔵場を通して実現することが、空港で事業やっている我々の役割でもあるし、願いでもあると思います」

『地方の思いが詰まったもの』を伝えていく

――和蔵場が今後目指すものを教えてください。

「羽田空港という場所は、北と南、東と西を繋ぐ、日本中を繋ぐ場所です。そして、世界のゲートウェイです。この場所を生かした発信型のイベントを組み合わせることによって、地域への関心や思いを持っていただく。旅行に行っていただく。そういうことへの入り口として、少しでもお手伝いでもできればいいなと思います」

お土産店やアンテナショップのように、地方の特産品や名物を単純に売るだけではなく、その地域の様子や、商品が作られている背景やストーリーまで伝える和蔵場。空港という多くの人が行き交う場所だからこそ、地方創生や地域活性化を発信していくのはぴったりかもしれない。地域が活性化することで、人々がより幸せな気持ちなれるウェルビーイングの向上にもつながっていくだろう。

取材・文/コティマム

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