
アシックスは、使用されずに廃棄予定となったアシックスのシューズを原料に用いたソファをカリモク家具が作製したことを発表した。
サーキュラーエコノミーの実現に向けて開発したスニーカー「NEOCURVE」の製造技術を初めてほかの産業に利用!
今回、同社、はアシックス製シューズのデッドストックやサンプル品などを粉砕した材料を、木製家具メーカーのカリモク家具に提供。提供した材料はクッション性や耐久性をもつことからソファの座面に使用され、カリモク家具によりシューズ由来の材料を採用したはじめての家具製品が誕生した。
誕生したソファは3種類で、先進的なアイデアと優れた製造技術を融合した「Karimoku New Standard(カリモクニュースタンダード)」ブランドのデザインが取り入れられている。シューズ由来の材料は、マテリアルリサイクルの技術により分解、粉砕して分別されたフォーム材(EVA)で、このフォーム材と綿と混合させて、適度なやわらかさと反発性をもたせるなどクッション性を調整。また、座面上部にフォーム材を固めた3mm厚のシートを重ねることで適度な剛性をもたせ、座り心地を良くしている。
これらのソファは、本年5月7日に移転したアシックスジャパン本社のVIPラウンジ、ワーキングカフェ、オープンミーティングスペースの3か所に計14台設置。また、シューズに使われていた繊維を30%混入させた糸を表面の生地に使用した吸音パネルも作製し、5つの会議室に計24枚設置される。なお、ソファや吸音パネルはすべて非売品となる。
アシックスでは、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、スポーツブランドで初めて、使用されずに廃棄予定となったシューズを原料に用いたスニーカー「NEOCURVE(ネオカーブ)」を開発し、2024年11月からヨーロッパ限定で発売している。
「NEOCURVE」は、アシックス製シューズのデッドストックをはじめ、サンプル品や自社規定をクリアせず販売できなかったものなどを粉砕・材料化し、材料の一部として活用したのが特徴。これらのシューズは、同社が提携するオランダに拠点を置くシューズリサイクルの大手であるFast Feet Grinded社によって独自技術を駆使して分解され、フォーム材、ゴム、繊維、皮革、金属、その他材料に分けられる。各材料は、シューズに求められる強度や耐久性などを満たした品質となるようテストを繰り返し材料化され、アッパー(甲被)、靴底、ミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)、中敷きなどに採用している。
今回の取り組みは、「NEOCURVE」の製造技術を使いながら、新たに生まれたリサイクル材料をより有効活用すべく企画したもので、ともに環境に対して高い意識をもつなど企業の姿勢や方向性が一致していることから、カリモク家具との協業が実現した。
アシックスのシューズから生まれたリサイクル材料を「NEOCURVE」以外に利用したのは今回が初めて。同社では今後も、サーキュラーエコノミーの実現に向けた新たなモデルとしての有効性を検証しながら、リサイクル材料の他の産業における利用なども検討していくとしている。
関連情報
https://corp.asics.com/jp
構成/立原尚子