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ジープのPHEVモデル「レネゲード4xe」が証明したアメ車でも売れる理由

2025.05.14

世界が認めるSUVの実力派が揃っているジープブランドの中にあって、もっともコンパクトなモデルとして世界的に成功を収めてきた「レネゲード」。ジープ伝統のモデル名を冠したコンパクトSUVは2014年にワールドプレミアム、翌年には日本上陸を果たした。それから10年、ジープブランドのエントリーモデルとして人気を支えてきたガソリンエンジンモデルは生産を終了し、その販売は在庫限りと言った状況。それに替わる存在が、ジープ史上初のプラグインハイブリッド車(以下、PHEV)として20年に登場した「レネゲード4xe(フォー・バイ・イー)」だ。その魅力を引き継いでいる。熟成の進んだジープならでは個性と、最新の電動車としての走りを、改めて味わって見たい。

PHEVという電動化によって燃費もさらに改善

近代の自由主義経済を牽引してきたアメリカが、新たに就任した大統領の、無理スジともいえる政策によって世界中が大混乱に陥っている。いささか食傷気味の報道だが「アメリカの自動車ブランドが日本で売れない理由は日本側の“非関税障壁”が要因」という主張を強めている。それではジープが売れていることをどう考えるのだろうか。キャデラックならではの、華やかにして唯一のプレミアム観に酔いしれる人々が多くいることをどう思うのだろうか。ハーレーダビッドソンがバイカーの憧れの中心で輝き続けていることをいかに説明するのか。あえて説明する必要はないが「高い商品力」を備え、自らのライフスタイルにピタリとはまる魅力的な存在であれば、それを拒む理由などない。

ボクシィなボディに丸型ヘッドライト、そしてジープ伝統の“7スロットグリル”を与えられ、ひと目でジープブランドだと理解できるエクステリア。

デビュー直後、ジープ初のコンパクトSUVをセールスポイントにしたという「レネゲード」を目にしたとき、すぐに「いいじゃない」という印象を抱いた。口の悪い人は「ボクシィなボディにジープ伝統のグリルを付けただけ」などと評する人もいた。だが、古きジープからの伝統を現代風に解釈すると「レネゲードになるのでは」と、素直に思った。その外観は自然だけでなく、街にも溶け込むようなクロスオーバー的なデザインであり、使い勝手はプラットフォームを共通とするフィアット500X同様の扱いやすさだ。それを確認すると、「ジープブランドにも新たなイメージが加わるかも」と実感できた。

一方で、混み合っていてストップ&ゴーを繰り返す日本の交通モードでは、エンジン車(Limited/前輪駆動)のカタログ値燃費(14.3km/l)をクリアするには少しばかり“言い訳”が必要になるだろう。例えば郊外や高速モードならなんとかなるかも、といった具合だ。それでも、ひと目でジープだと分かる車に乗ってショッピングやアウトドアフィールへと楽しくドライブできる人にとって、実走行での燃費なども織り込み済みだろう。なにより、燃費優先で考えるなら国産コンパクトSUVを選択するはず。

そんなレネゲードにとっての不都合を緩和してくれたのがジープブランドの電動化を牽引するPHEVの「レネゲード4xe(以下、4xe)」というわけだ。久し振りにステアリングを握った4xe、その魅力は5年後のいまも色褪せてはいなかった。

先にも述べたがエンジンモデルはすでに製造を中止し、現在はこのPHEVモデルだけになっている。日本でも順調に推移してきたレネゲードだが、ライフサイクルの後半戦に入って、その支持率を底上げしてきたのが4xeだった。燃費のカタログ値はステアリングを握ったLimitedで16.0km/l(WLTCモード)。SUVとして十分に満足できる数字を実現してくれているし、高速&郊外が60%、40%は市街地といった実走行でも14.3km/lを実現してくれた。ジープブランドとして十分に満足できる数字だ。

ガソリンを入れるジュリ缶をイメージしたという「X」マークの入ったテールランプが印象的。今も古さを感じない。

タコメーターとパワーメーターの間に7インチサイズのインフォメーションディスプレイが収まるメーターパネル。ダッシュボード中央には8.4インチオーディオナビゲーションシステムが備わる。

色褪せていない佇まいも魅力の要素

さらに「ELECTRIC」モード、つまりEVとして走行すれば、排気ガスを出さことなくカタログ上では50km(Limited 4xe)走れることになる。エンジン音もなく、日常のショッピングやキャンプフィールドではEVならではの静寂の中、走れるわけだ。その走りは、まさに静々としたものであり、ジェントリーですらある。モーターならではのシームレスな加速感は「こんなジープの感覚は初めて」と改めて思うほど。もちろんその感覚は心地よく、好ましい時間である。

一方でジープならではの走破性についてだが、正直に言えばジープの主力モデルであり、最強のオフロード性能を与えられたラングラーには、やはり適わないだろう。実際にオフロードでの比較はこれまで実現したことはなかったが、少々オーバーながら「ラングラーは世界最強クラス」であり、それに適わないと言って別に恥じることなどない。雪上という条件で走行しても「日常的な雪道、そして幹線道路からキョンプサイトまでのフラットダートの脇道で不都合になるようなことはない」という印象だ。「Limited 4xe」の場合は前輪をエンジン(最高出力131馬力)+モーター(最高出力45馬力)、後輪はモーター(最高出力128馬力)が駆動する「eAWD」システムだ。当然ながらトラクションコントロールを駆使することで、山道や岩場であっても力強く走破できるでしょう。

レネゲードの立ち位置、つまりPHEVとして環境性能を活かして日常のショッピングからスキーやキャンプ、釣りやゴルフなどのレイジャーに活躍するコンパクトSUVである限り「これで十分」なのだ。それ以上に「コンパクトである事の気軽さ」に身を任せることの幸福を存分に味わうがいいと思うのだ。実はアメリカ車、こうしたツール感のある車を作らせると、失礼ながら意外なほどの美味さを発揮する。

そんな走りを味わった後のコーヒーブレイク。駐車場に止めたレネゲードの佇んでいる姿をしばらく眺めた。すでに見慣れたと思っていたスタイルが、今もって色褪せていないことに、なぜかホッとしていた。ジープ初のBEV(バッテリーEV)モデル「アベンジャー」と共に、ブランドの電動化とコンパクトSUVを、あと少しだろうが支えてくれる存在でいてくれるだろうと思えたからだ。

そんな思いと同時に昨年の7月にイタリア・トリノでフィアットの新型クロスオーバー「グランデパンダ」が発表されたことが頭に浮かんだ。そのプラットフォームはBEVからHV(ハイブリッド)やエンジン車に対応できる汎用性を持つ「スマートカープラットフォーム(Smart Car Platform)」を採用。4代目の「シトロエンC3」とも共通であり、今後も順次、ステランティスグループ内のブランドで採用されるだろう。そうなればフィアット500Xとレネゲードとの関係性と同様に、ジープブランドの新たなコンパクトSUVにも……。そこにはアメ車であっても「欲しくなる理由」が必ず存在するだろう。もちろん、そろそろ訪れるだろうレネゲードの世代交代が少し楽しみになってきた。

上質感のある「Limited 4xe」のレザーシート。上体のホールド性にも不満はない。

駆動用のリチウムイオンバッテリーがシート下収まる分割可倒式のリアシート。広々とは行かないが窮屈感はなく、座り心地もいい。

走行モードは「HYBRID」、EV走行の「ELECTRIC」、そしてエンジンで充電しながら走る「E-SAVE」の3種類。それに加え4WD走行用のモードのセレクターも装備。

1.3Lエンジンの排気量は同じだが「Limited 4xe」の出力は131馬力、よりパワフルな「Trailhawk 4xe」には179馬力にパワーアップされたエンジンが載る。

リアシートの背もたれを倒すと奥行き129cm、左右幅94cmのスクエアなスペースが出現する。

急速充電には対応せず、AC200Vの普通充電のみの充電。ゼロから満充電には約4時間を要するという。

コンパクトなボディとモーターのアシストによって軽快感のある走りを実現。

(ジープ・レネゲードLimited 4ex)
価格:6,350,000円(税込み)~
(スペック)
全長×全幅×全高=4,265×1,805×1,695mm
ホイールベース:2,570mm
最小回転半径:5.5m
最低地上高:170mm
車重:1,790kg
トランスミッション:6速AT
駆動方式:4WD
エンジン:水冷直列4気筒 1,331cc
最高出力:96kW(131PS)/5,500rpm
最大トルク:270Nm(27.5kg・m)/1,850rpm
フロントモーター:
最高出力:33.0kW(45PS)
最大トルク:53Nm(5.4kg・m)/8,000rpm
リアモーター:
最高出力:94.0kW(128PS)
最大トルク:250Nm(25.5kg・m)/2,000rpm
燃費:26.2km/l(WLTCモード)
問い合わせ先:ジープフリーコール電話:0120712-812

TEXT:佐藤篤司
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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