
auの新料金プランが発表された。2025年6月3日からスタートする「au バリューリンクプラン」は、通信サービスと5つのサービスがセットされた付加価値の高いプランだ。5つのサービスは、「au Starlink Direct」「au 5G Fast Lane(ファストレーン)」「au海外放題(15日分/月)」「サブスクぷらすポイント20%」「Pontaパス」になる。
新料金プランにセットされる5つのサービス
まず「au Starlink Direct」は、4月10日から提供開始された、日本初の衛星とスマホの直接通信サービス。auの圏外エリアでも空が見える状況であれば、テキストメッセージの送受信、緊急地震速報やJアラートの受信、現在地の位置情報共有などができる。
対応機種はiPhone 16・15・14シリーズ、Google Pixel 9シリーズなど18機種(5月7日時点)で、今後、50機種に拡充予定だ。auユーザーは申し込み不要で当面無料で利用できるが、今回、新プランにセットされる形になった。
「au Starlink Direct」の仕組み。地上約340kmとStarlink衛星までの距離が一般的な衛星と比べて近いため、スマホによる衛星通信が可能になった。
続いて「au 5G Fast Lane」は、混雑時でもより快適に通信できるサービス。一般のauユーザーに比べ、Fast Lane対象のユーザーに多くの無線リソースを割り当てることで、電車での通勤・通学時や大規模フェスなど、混雑しがちな状況下でも、より快適に動画視聴やSNS投稿などが利用できる。このサービスは7月1日より利用可能になる。
「au 5G Fast Lane」のフィールドトライアルでは、山手線乗車時に1.8倍、大阪・関西万博では2.2倍の通信速度向上を確認。
「au海外放題」は世界160か国でのデータ通信が使い放題になるサービス。通常、1日(24時間)1200円で提供されているが、追加料金なしで1か月当たり15日分まで利用できる。パソコンやタブレットなどへのテザリングも可能。月をまたいだ場合、30日分が利用でき、長期の海外出張や短期留学などにも活用できる。
そして「サブスクぷらすポイント」は、対象サービスである「Netflix」「Apple Music」「YouTube Premium」「TELASA」にauやUQ mobileから加入した場合、Pontaポイントが貯まるサービス。ポイント還元率は最大15%なのだが、新プランでは最大20%にアップする。2025年夏以降には、Googleのクラウドストレージサービスの「Google One」が追加予定だ。
「サブスクぷらすポイント」では対象サービスの月額料金の最大20%が還元される。
最後の「Pontaパス」は映像や音楽、雑誌などのエンタメコンテンツに加え、ローソンでの買い物がお得になる月額548円のサブスクサービス。ローソンでもらえる週替わりクーポンに新たに「週末おにぎりおトクーポン」が追加され、おにぎりが50円引きになったり、au PAY決済で貯まるPontaポイントの還元率がローソンなら最大7%にアップしたりと、6月以降はさらにお得になる「Pontaパス」が、新プランなら無料で利用できる。
新たにスマホ充電をローソンでレンタルすると、毎月1回30分間が無料になるサービスも開始。7月からは「ローチケ」のチケット購入手数料が毎月最大495円(1枚当たり)お得になったり、本・CD・DVDなどの通販サイト「HMV&BOOKS online」のクーポンが毎月300円分もらえたりする。
6月以降、特典がさらに追加されてお得になる「Pontaパス」。
既存プランは110円~330円の値上げに
新料金プラン「au バリューリンクプラン」はデータ使い放題に5つのサービスがセットになって月額8008円。この新プランに、買い物や資産形成でPontaポイントが貯まる「au マネ活プラン」がセットされた月額9328円の「au マネ活バリューリンクプラン」も登場し、共に6月3日より提供を開始する。
既存プランは8月1日より料金を改定。「使い放題MAX+」と「au マネ活プラン+」は月額330円値上がりし、「au Starlink Direct」はもちろん、新たに「au 5G Fast Lane」「au海外放題(15日分/月)」「サブスクぷらすポイント20%」のサービスが追加される。
「スマホスタートプラン」と「スマホミニプラン+」は共に220円値上がりし、新たに「サブスクぷらすポイント20%」のサービスが追加される。
新プランと既存プランの違い
前出の新プランと既存プランのリニューアルをまとめた表を見てもわかる通り、データ使い放題のプランの場合、新プランと既存プランの違いは「Pontaパス」の有無。すでに「Pontaパス」に加入していたり、新たに加入したい場合は、新プランに変更する方が料金的にお得になる。
新プランに追加されるサービスの中で、筆者が一番、お得感があると思うものは「au海外放題」だ。ハワイ、韓国、台湾、アメリカ、カナダ、中国、イタリア、フランスなど、日本人がよく旅行する国と地域で利用でき、1日1200円分が無料になるので、7日間なら8400円分となって月額8008円の月額料金の元が取れる。
ただ、海外にあまり行かない人や対象のサブスクを利用しない人、「Pontaパス」も不要だと言う人にとっては、新プランの魅力は薄れてしまうだろう。かと言って既存プランは今後、値上がりし、利用できるギガに対して割高になってくるところが悩ましい。
UQ mobileにも新プランが登場
この機会に通信料金をもっと抑えたいと思っている人なら、同様に6月3日からスタートするUQ mobileの「コミコミプランバリュー」や「トクトクプラン2」を検討してみたい。
「コミコミプランバリュー」は35GBで月額3828円。1回10分以内の国内通話無料のほか、「サブスクぷらすポイント20%」と「Pontaパス」が付いている。
一方、「トクトクプラン2」は5GBまでと30GBまでの2段階制プラン。月額4048円で、5GB以下なら1100円が割引になる。このプランには「サブスクぷらすポイント20%」が付く。また、料プラン共、「au Starlink Direct」が月額550円で利用できる。
他社回線利用者でも「au Starlink Direct」が利用できる
auユーザーは当面無料の「au Starlink Direct」は、UQ mobileの新プラン利用者の場合、月額550円で提供される。また、povoや他社回線利用者も月額1650円で利用することができる。いずれも6月30日までの加入で6か月無料。データ通信1GB(4G LTE)まで利用可能だ。
「au Starlink Direct」はau取扱店やau Online Shopで受付。
各通信事業者の人口カバー率は99.9%を超えているものの、山間部や島、キャンプ場、海上などでは圏外になるところが多い。普段、都市部で生活している人も、災害時などに通信できる手段として、「au Starlink Direct」がお守り的な役割にもなりそうだ。
衛星通信は他社でもサービス開始に向けて動いているものの、現在、サービス提供しているのは「au Starlink Direct」のみ。他社回線利用者は月額1650円のサービスになるだけに、新プランに組み込まれている点は魅力だ。
「au Starlink Direct」は4月10日のサービス開始当初は1日数千人の利用だったところ、GWには1日4万人近くが利用したそうだ。利用者の位置をマーキングした地図では、山間部のほか、尾瀬や日光、伊豆諸島などでも多くの人が利用していることがわかった。
「au Starlink Direct」の利用者のマーキング。北海道の場合、山間部や沿岸などで多く利用されていることがわかる。
筆者もハイキングや登山をするので、「au Starlink Direct」には興味津々だ。この衛星通信サービスが新プランの加入においてどれほど影響するものなのか、今後の動きを注視したい。
5月7日に開催された「KDDI 新サービス発表会」に登壇した代表取締役社長 CEOの松田浩路氏。
取材・文/綿谷禎子