
5月は「マスターベーション月間(Masturbation May)」とされ、自身の性やプレジャー(快感)への理解を深める機会として、世界的にも注目が集まっている。
このムーブメントはアメリカにおいて、「マスターベーションの権利」を守るための全国マスターベーションデーとして始まり、最初の全米マスターベーションデーは1995年5月7日に開催された。
その前年の1994年。公衆衛生局長官であったジョイスリン・エルダース氏は、マスターベーションを学生の性教育カリキュラムの一部にすることを提案する。しかし当時のビル・クリントン大統領に却下され、長官職も追われてしまう。そんなエルダース氏に敬意を表するため、この日が選ばれたという。
というわけでマスターベーション月間を機に、ドイツ発のセルフプレジャーブランド、ウーマナイザーは、日本を含む世界8か国の18歳~65歳の成人男女8000人を対象に「世界のマスターベーション・ギャップ調査」を実施。その結果を発表した。
世界の平均マスターベーション・ギャップ指数は0. 52、「まったく行なわない」女性は24.4%
2023年に実施した前回調査に続き、今回も男性の方が女性より平均してマスターベーションを行う頻度が高く、今なお” マスターベーション・ギャップ” が大きく存在していることが明らかになった。
以下、同社リリースをベースに、結果概要をお伝えする。
■マスターベーション・ギャップとは?
マスターベーション・ギャップとは、マスターベーションにおける男女間の格差を可視化するための指標。
この考え方は、世界経済フォーラムが発表している「ジェンダー・ギャップ指数」に着想を得たものであり、ウーマナイザーでは、週に複数回セルフプレジャーを行なう女性の割合を、男性の割合で割った数値をもとにマスターベーション・ギャップ指数を算出している。
指数が1に近いほど、男女間のマスターベーション頻度に差がないことを意味しており、0に近づくほど格差が大きいことを示している。
※本調査では、「週に複数回セルフプレジャーを行なうかどうか」という基準を設けることで、単発的な行動ではなく習慣的な行動差を明確に捉え、社会的・文化的なジェンダー格差をより精緻に可視化している。
■世界で見る、マスターベーション・ギャップ
2023年に実施された前回調査に続き、今回も男性の方が女性よりも平均してマスターベーションを行う頻度が高い傾向が続いていることが明らかになった。
週に複数回(1回以上)マスターベーションを行なう割合は、男性が30%、女性が15.5%にとどまり、世界全体の平均マスターベーション・ギャップ指数は0. 52という結果が得られた。
一方で、マスターベーションをまったく行なわないと回答した女性の割合は24.4%と、男性(10.1%)の2倍以上に達している。
週に複数回マスターベーションを行なう割合に基づく、各国別マスターベーション・ギャップ指数
国別の比較でも顕著な違いが見られ、スペイン(21.9%)、カナダ(18.8%)、アメリカ(17.6%)の女性は週に複数回マスターベーションを行なう割合が比較的高い一方で、日本の女性はわずか8.5%にとどまり、マスターベーションをまったく行なわない割合は36%と、調査国の中で最も高い傾向が見られた。
その結果、日本男女のマスターベーション・ギャップ指数は0.27と、8か国中最も低く、大きな開きが確認された。
また、アメリカはマスターベーション・ギャップ指数が0.65と最も高く、8か国の中で男女間の差が最も小さいことがわかった。
さらに、すべての国において男性の方が女性よりもマスターベーションの頻度が高く、特にスペイン(35%)、カナダ(30.5%)、ドイツ(31.5%)でその傾向がより顕著に見られた。
■性欲レベルにも男女差
こうした違いは、性欲レベルにも明確に表れている。
8000 人の男女に自身の性欲レベルを自己申告してもらったところ、すべての国において女性の平均性欲レベルは男性よりも低い傾向が見られた。
特に日本ではその差が顕著で、性欲を「高い」または「非常に高い」と自己評価した女性はわずか9.6%にとどまり、男性(31.2%)と比べて大きな開きが確認された。
また、日本の女性の49.2%が自身の性欲を「低い」または「非常に低い」と評価しており、これは調査対象国の中で最も高い割合となっている。
一方、スペイン(49.2%)、アメリカ(37%)、ドイツ(32.3%)の女性たちは、性欲を「高い」または「非常に高い」と自己評価する割合が比較的高く、それぞれ週に複数回マスターベーションを行なう割合も高い傾向が見られた。
これにより、性欲レベルとマスターベーションの頻度には相関関係があることが示唆されている。
■セックストイ所有率とマスターベーションの関係
今回の調査では、セックストイの所有率とマスターベーションの頻度の間に明確な関連性が見られた。特に女性ではセックストイの所有率が高い国ほど、マスターベーションの頻度も高い傾向が示されている。
たとえば、スペインやドイツでは、セックストイを所有している女性ほど週に複数回マスターベーションを行なう割合が高くなっていた。
一方、日本では女性の85%がトイを所有しておらず、さらにマスターベーションをまったく行なわない割合が36%と、8か国の中で最も高い結果となった。
■プレジャーエクイティ推進に向けて
ウーマナイザーは、すべての人が罪悪感やプレッシャーから解放され、自由に自身の性と向き合える世界の実現を目指しているという。
「Pleasure Equity (プレジャーエクイティ)」とは、性別・年齢・文化的背景に関係なく、誰もが性を楽しむ権利を持つべきという考え方だ。
ウーマナイザー広報責任者 Verena Singmann氏は、次のように話す。
「マスターベーションは、ストレスの軽減や睡眠の質の向上、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンやエンドルフィンの分泌など、心身に多くのメリットをもたらします。男女のマスターベーション・ギャップを埋めることは、単に数字を合わせることではありません。性別・年齢・文化的背景関係なく、誰もが安心して自身の性と向き合い、探求できる世界を築くことにつながります。ウーマナイザーは、今後も製品開発のみならず、“性”に関する正しい情報発信、教育、オープンな対話を通じて、プレジャーエクイティの実現を推進していきます」
調査概要
実施時期/2025年2月
調査対象国/日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、スペイン、ドイツ、フランスの8か国
調査対象/18歳~65歳の成人男女
サンプル数/8000 人(各国1000名ずつ)
調査方法/オンラインアンケート
調査実施機関/appinioの協力でウーマナイザーが実施
構成/清水眞希