
「デジタルフリーダム」実現を目指すGENのサイバーセーフティブランドであるノートンは、2024年のセクストーション詐欺(※)に関する調査を実施。その標的になるリスク比率において、日本が世界で1位であったという調査結果を公表した。
※註:編集部/ネットを通じて性的な画像や動画を詐取、または偽造され、「拡散する」などと脅されて金品を要求される「性的脅迫」。sexとextortionによる造語。
この研究では、日本だけでなく世界中の国々がこのような非常に巧妙な詐欺の被害に遭っていることが確認されている。米国では、セクストーション詐欺の標的になる可能性 2025年の最初の数か月で137%増加、オーストラリアでは34%増加した。
昨年、セクストーション詐欺のリスクが特に高かった上位10か国は以下のとおり。
2024年のリスク比率上位10か国
セクストーションにも用いられる「新たな手口」とは
サイバー犯罪者は、データ流出によりダークウェブで容易に入手できる名前、住所、電子メールを利用。被害者に対して、捏造された映像や情報、実際の自宅の画像などを含む、非常にターゲットを絞った電子メールを作成することができる。
そして、被害者のデバイスにアクセスできたと主張して、当人に関する性的コンテンツや情報を共有すると脅迫を行なう。
またAIの技術発展により豊富な個人情報が入手できるようになったため、犯罪の手口も多岐にわたるようになっている。
例として、サイバー犯罪者が送信する詐欺メールもAIの技術により高度化している。そのほかにもサイバー犯罪者は、脅迫メッセージと合わせてメールを配信するためにディープフェイク画像を使用している。
同社の脅威分析ディレクター・ミハエル・サラット(Michal Salat)氏は、次のように警鐘を鳴らす。
「私たちの分析によると、セクストーション(性的脅迫)の被害者は、自分のプライベートな動画や画像にアクセスしたと脅すメッセージを頻繁に受け取ります。
こうした詐欺は、過去の情報漏えいから盗まれたパスワードが利用されることで、非常に信憑性の高いものに見えてしまいます。本物の情報を握られていると感じたときに、自身の情報や画像が悪用されることを恐れ、被害者は身代金要求に応じてしまうことが多いのです。
私たちは、この脅迫がどんなに本物に見えても、このようなサイバー犯罪者に返答しないように強く推奨します」
■セクストーションから身を守る対策方法
セクストーション詐欺から積極的に身を守るために、サイバー犯罪者の疑いがあるメッセージには決して関わらないようにしたい。そしてセクストーション詐欺に対抗するには、次のような対策が有効だ。
・身代金の要求には応じず、脅迫にも応じないこと。
・電子メール、テキスト、電話に関与したり、関連するPDFの添付ファイルを開いたりしないこと。
・このような犯罪にあったと感じた場合は、必ず警察や公的機関に相談する。
・信頼できるパスワード・マネージャーを使用して、すべてのアカウントに固有のパスワードを設定し、再利用を防止する。
・アカウントのセキュリティを強化するために、可能な限り多要素認証(MFA)を有効にする。
・ノートンのダークウェブモニタリングサービスを利用してデータ漏洩を監視。個人情報が流出した際に警告を受けることで、アカウントを保護するために迅速に行動することができる。
・パニックに陥らず、常に情報を入手し、金融口座の安全を確保するために行動を起こす。
何か支払いなどで違和感を感じた場合には金融機関に連絡するか、口座を使われた証拠がないかどうかを確認する必要がある。
セクストーション詐欺がより巧妙になるにつれ、個人が用心深く、デジタル・プライバシーを守るための措置を講じることが極めて重要になっている。このような被害に遭わないために、セキュリティ意識と警戒心を持って日々の行動を心がけたい。
構成/清水眞希