小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

国内の日焼け止め市場は単なる日焼け予防から美容効果を追求する方向へシフト

2025.05.02

市場調査会社「Mintel Group」の日本法人であるミンテルジャパンは、ミンテルジャパンレポート「サンケア・トレンド – 日本 – 2024年」にて、サンケア市場が成長を続ける中、日本では新しい日焼け止めのトレンドが鮮明になっていることを明らかにした。ここでは、同社が配信したプレスリリースをもとに、その内容の一部をお伝えする。

消費者が求めているのは「紫外線から肌を守る機能性」「美肌効果をもたらす美容価値」「毎日続けやすい使いやすさ」の3つを兼ね備えた製品

日本における日焼け止めの使用目的は劇的に変化している。もともとは「紫外線による肌ダメージを軽減する」ため、夏に使用されることが多かったのに対し、現在は「シミやしわなど長期的な肌ダメージの防止」「アンチエイジングや肌の健康維持」といった継続的な紫外線対策として使われていることから、単なる「日焼け予防」からシフトし、美容効果を重視する傾向が顕著になっていることがわかる。

ミンテルの調査によると、日本の女性の35%が季節を問わず日焼け止めを使用しており、これは曇りや雨の日でも例外ではない。従来の夏季限定の使用から、年間を通じた紫外線対策へと意識が変化している。特に注目すべきは、「美肌仕上げ効果」や「太陽光を美容光に変える」といった美容機能を強化した製品が、市場に次々と登場していることだ。

一方で男性ユーザーの間では、「面倒くさい」という理由で日焼け止めの使用を避ける傾向がある。この課題に対応するため、スティックタイプやオールインワン製品など、使いやすさと時短を重視した製品開発が進んでいる。

■健康への配慮から美容価値まで広がるサンケアの意義

世界におけるサンケア市場は新型コロナウイルスまん延時に減少した国も多いですが、急激な成長を続ける中国市場をはじめとして、全体にも成長が見られる。サンケアの中で「日焼け止め」が多勢を占める傾向は世界共通だが、この日焼け止めへの意識の高まりがサンケア市場の伸びの背景にあるようだ。

特に、皮膚がん予防の意識から、日焼け止めへの啓発活動が活発な欧米の多くで伸びがみられる。また、日本市場は、新型コロナウイルスの収束後、夏の長期化と日焼け止めの使用増加により、マイナス成長からプラス成長に転じている。

ミンテルではサンケア製品を「日焼け止め」「アフターサンケア(日焼け後の肌をケアする)製品」「セルフタンニング製品(※)」に区分けしているが、多くの国で日焼け止めがサンケアと同義に捉えられるほど日焼け止めの市場占有率は高くみられる。一方、オーストラリアやイギリスではセルフタンニングの割合も高く、こうした国ごとの市場特性の大きな違いもサンケア製品市場の特性と言える。

※ 人工的な着色により肌の表面を小麦色に染めて日焼けしたような肌を演出する化粧品

欧米とアジアでは日焼け止めを使う理由に大きな隔たりがある。欧米では、アメリカの日焼け止めユーザーの84%、ドイツでも57%が皮膚がんリスクを減らすために日焼け止めを使用している。しかし、中国の日焼け止めユーザーで皮膚疾患を日焼け止めの使用目的(※1)に選んだ人はわずか16%にすぎない。

2022年のレポートにもあるように、アジア諸国と欧米諸国では皮膚がんの罹患率に大きな隔たりがあり、最も多いオーストラリアやニュージーランドと日本人の罹患率では約100倍違うと報じられている。

アメリカやドイツはここまで高くないものの、やはり日本や中国、韓国などに比べると非常に高いのは事実で、こうした危機感の差も日焼け止めの使用目的を大きく異なるものにしている要因の1つと言える。

中国の日焼け止めユーザーの使用目的(※)は、タンニング(※※)予防(61%)、色素沈着・シミ予防(45%)、肌の老化予防(41%)と、美容目的が上位に並び、前述の皮膚疾患予防の16%を大きく引き離している。これは日本の日焼け止めユーザーでも同様の傾向だ。

しかし、美容を日焼け止め使用目的にしているのがアジア諸国だけかというとそうでもない。アメリカ人の69%、ドイツ人の24%が肌の老化を防ぐためとしており、皮膚がんへの懸念よりは低いものの美容への関心度も十分に高いことがわかる。

※ 上位3つの合計 ※※ 黒くなるタイプの日焼け(Sun tanning)
調査対象:米国:日焼け止め製品を使用しているインターネットユーザー1,234人

また、日焼け止め効果の高さを示すSPFやPAの値が高い製品を好む傾向は世界で高まりつつある。こうした流れを受けて、紫外線防御剤にも様々な技術的進化が見られる。配合することでSPF値を底上げする「SPFブースター」成分も複数登場しており、処方技術と合わせて、日焼け止め製品は進化を続けている。

一方、SPFやPAの表示数値には上限が設定されているケースが多く(※)、この数値による製品の差別化は難しいため、紫外線防御機能以外の、様々な訴求による日焼け止めの特徴づけも行なわれている。

例えば、アメリカの消費者(※※)の67%は大気汚染への抵抗力をつける製品に興味を示しており、これに対応した製品が数多く存在する。例えば「Fluid Face Cream SPF 50+」は、ブルーライトからの保護のほか、皮膚の鎮静化や汚染物質防止機能も備えるマルチな日焼け止めだ。美容効果を付与する例も多く、世界ではナイアシンアミドを配合した製品が増加中。また、安全性や使い勝手の良さなども重要な訴求ポイントとして挙げられる。

※ 例えば日本の場合SPFは50+、PAは++++までとされている
※ Mintel グローバル消費者調査より、2022年10月

先に記したように、アメリカの消費者の67%は大気汚染物質への抵抗力をつける(アンチポリューション)製品に興味を示している。ブラジルの日焼け止めユーザーも30%以上がアンチポリューションへの興味を示しているほか、53%はブルーライトにも注目している。日焼け止めはすでに紫外線ケアに留まらない、マルチな防御機能を求められつつあるようだ。

■美容に訴えかける日焼け止めが続々と登場!

日本人が日焼け止めを使用する理由には、欧米のような皮膚がんリスクを減らすためなどの健康リスク対策ではなく、シミを防ぐ、シワ・たるみを防ぐなどの美容目的が多くみられる。この傾向は特に女性に顕著で、シミを防ぐために日焼け止めを使用している女性は8割以上となる。

一方、男性の場合は「日焼けで肌が痛くなるのを防ぐ」を挙げる人が女性より多く、レジャーなど強い紫外線を浴びる状況を想定していることがうかがえる。

日焼け止めユーザーが製品を購入する際、最も重視するのは「SPF/PAの高さ」で、20%が1位に選んでいる。一方5位までの合計では「使用感の良さ」がSPF/PAを上回る。また、「価格の低さ」はスキンケアでは非常に強い購入条件だが、日焼け止めの場合は上記2つと「使い勝手の良さ」に次ぐ4位というのも、この製品種の特徴と言える。

そして、日焼け止めを使用しない理由で最も多いのは「面倒くさいから」だが、非使用者男性の20%は「適度な日焼けは健康に良い」(女性非使用者は8%)と考えており、紫外線に関する情報が行き届いていない状況もうかがえる。

ミンテルが行なった消費者調査結果によると、日焼け止めを使用している日本人女性の46%は、日焼け止めに軽いメイクアップ効果を求めている一方、塗布後の透明性はあまり重視していない傾向がある。美肌効果を持つ日焼け止めの需要は高いと言えるだろう。

POLA「B.A ライト セレクター」は、紫外線と近赤外線はカットしながら、肌に良いとされる赤色光は透過させることで、肌を守りながら、赤色光による光美顔器のようなケアするという発想の日焼け止めだ。これまでにない新しい発想のこの製品は非常に業界内の注目が高く、2020年の各誌ベストコスメを総なめにする勢いであった。なお、同製品は2024年にリニューアルされ、そのコンセプトをさらに進化させている。

■日焼け止めを使用している日本女性の4割が一年中使用

日本人消費者で、何らかの日焼け止め製品(日焼け止め効果のあるメイクアップ製品やスキンケア製品、サプリメントなどを含む)を使用している人は、全体の6割に達するが、女性の大多数(85%)が使用しているのに対し、男性は36%と、大きな差がある。また、サンケア製品市場の構成比を反映するように、日焼け止め以外はあまり使われていないというのが実情だ。同様の調査は2021年にも実施されているが、各製品の使用率や、男性女性共に日焼け止めユーザーと非ユーザーの比率などはほぼ同じで、2年余りの間に大きな変化はなかったという結果になっている。

また、冬場など紫外線が弱い季節で、かつ曇りや雨の日も日焼け止めを使用するという「常時ユーザー」は3割以上おり、そのほとんどは女性だ。日焼け止めは夏のケアアイテムと考えられがちだが、全女性の35%は季節や天候を問わず日焼け止めを使用しており、女性にとって日焼け止めは日常のお手入れアイテムで、夏場だけのケア製品ではないということがわかる。一方、そもそも使用者が少ない男性の場合、常時使用している人は男性全体では3%程度と女性に比べて圧倒的な差がある。男性はレジャー時にのみ使用するという人の割合が多いのも特徴で、日常生活にはまだまだ取り入れられていない現状がうかがえる。

そして、日焼け止めを使用する理由で最も多いのは「シミができるのを防ぐため」で、33%が1位に選んでおり、5位までの合計では73%と圧倒的だ。「シワ・たるみを防ぐ」も44%おり、美容目的で使用する人の多さを示している。単純に「日焼け」を気にしている人(62%)や「日焼けで肌が痛くなるのを防ぐ」目的で使用している人(43%)も多く、日焼けによる肌ダメージを気にしていることがうかがえる。

一方、欧米に多い「皮膚がんを防ぐ」目的で使用している人は27%にとどまり、「紫外線アレルギー(13%)」と合わせて、疾病を理由として使用している人は少ないことがわかる。質問項目が少し異なるため単純な比較は難しいが、2021年の調査でも消費者の関心事はシミやシワ、あるいは単純な「日焼け」であり、皮膚がんや免疫を気にしている人は少なく、紫外線による人体への影響の啓蒙はほとんど進んでいないようだ。

日焼け止め製品を使用する理由において、全体に割合の多いシミだが、女性だけに限定すると8割以上がこれを使用理由に挙げているほど、女性はシミを気にしている。また、シワを防ぐ目的の人も半数に及んでおり、男性のそれらと比較すると、女性がアンチエイジングにいかに熱心かがうかがえる。29%は肌の乾燥も気にしており、女性が日焼け止めを使用する理由として、美容がいかに大きな要素であるかがわかる。

男性の場合は、半数はシミを気にしており、美容目的の使用も確かに多いと言えるが、注目すべきは「日焼け肌になるのを防ぐ(53%)」「日焼けで肌が痛くなるのを防ぐ(53%)」という部分。男性は、日常での使用よりもレジャーなどで使用する人が目立ち、そうしたシーンで強い日差しを浴びたとき、肌が直接的なダメージを受けることを気にしている様子がうかがえる。

日焼け止めを使用していない理由を男女別に見ると、面倒くさいからという理由で日焼け止めを使用していない人が多い点は同じだが、いくつか大きく差が出た項目がある。

まず、日焼け止め非使用者の男性は、20%が「適度な日焼けは健康に良い」と考えており、これは女性の8%に比べて2倍以上となる。逆に「日焼け止めの感触や匂いが嫌い」「肌が敏感で、製品が肌に合わない」は女性に多く、男性では少ないことがわかる。

ここから、「日焼け止めの使用を面倒と考え、使わずに済ませたいと考える」男性と、「面倒臭さから使用しない人と、使用したいが使えない人が混在」する女性という差異が見えてくる。

日本の場合は、そもそも日焼け止めを使用している割合は男性に比べて女性の方が非常に多いが、日焼け止めを使用していない女性でも、日傘やシャツなど日焼け止め製剤以外のもので日焼けを防いでいるとする人が15%いる。これは男性では4%にすぎないことからも、日本人の女性は男性に比べて、紫外線防御にかなり積極的であり、女性に比べて男性が紫外線防御に無頓着な様子がうかがえる。

では、消費者が興味をもっている日焼け止めの技術や特性は何だとうか。最も求められているのは、「塗りなおさなくても日焼け止め効果が持続する(37%)」という機能で、「美容効果(35%)」がほぼ同数で続く。「軽いメイク効果」「日焼け後の肌ダメージ軽減」「天然由来の日焼け止め成分」「敏感肌用」なども21‐26%が興味を示しており、日焼け止めに求められる要素の多様性を感じさせる。

一方、世界的に広がりを見せるエシカルについては、「環境にやさしい」こそ17%が興味を持っているものの、フェアトレードや動物実験なしなどの「倫理的な製品」については6%しか興味を持っておらず、この分野の日本における未成熟ぶりがうかがえる。

関連情報
https://www.mintel.com/jp/jr-apr-2025-1

構成/立原尚子

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年4月16日(水) 発売

DIME最新号は、「名探偵コナン 熱狂の舞台裏」。長野県警全面協力!劇場版最新作の舞台の新聖地とは?長野県警トリオ〟をあしらったトリプルジッパーバッグの付録付!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。