
頭の中で流れている音楽が止まらない。この現象は「イヤーワーム」と呼ばれているが、原因や仕組みなど、まだ解明されていないことが多い。本記事では、イヤーワーム現象の概要や対処法を紹介する。
目次
頭から音楽が離れない!誰もが一度は経験があるのではないだろうか。これは「イヤーワーム」という現象で、別名ディラン効果ともいう。なぜ頭の中で音楽が流れるのか。何か決まったきっかけはあるのか。実は解明されていないことも多い現象だ。
本記事では、イヤーワーム現象について、名称の由来やなりやすい曲の特徴、頭から音楽を追い出す対処法などを解説する。
イヤーワーム現象(ディラン効果)とは?
イヤーワームは多くの人が経験するといわれている。実際、経験したことのある人も多いる現象だろう。「脳内リピート」や「脳内ループ」と表現することもある他、ディラン効果ともいう。
ますは、イヤーワーム現象の概要について確認しておこう。
■イヤーワームとは頭の中で音楽がくり返し流れること
イヤーワーム現象とは、頭の中で特定の曲やフレーズなどがくり返し流れる現象のこと。英語では「earworm」と表記し、直訳すると「耳の虫」。語源は、ドイツ語でハサミムシを意味する「Ohrwurm(オーアヴルム)」といわれている。
「ハサミムシは寝ている人の耳の中に入ってくる」という迷信から、耳から入った音楽が離れなくなってしまう現象を虫に例えている。
■イヤーワームの原因
イヤーワームの原因や、現象が起こるきっかけについては詳しくは解明されていない。入浴中や室内でリラックスしている時に、ふと流れ始めることもあれば、勉強中や仕事中など集中したい時に流れ出してしまい、気が散ってしまうこともある。
仕組みについてはさまざまな説があり、解明に向けて研究が行われている。しかし、多くの人が日常的に経験しているにも関わらず、原因や仕組みについてはまだ謎が多いのが現状だ。
■別名「ディラン効果」の由来
イヤーワームの別名「ディラン効果」は、世界的に有名なアーティストであるボブ・ディランに由来する。ボブ・ディランの名曲「風に吹かれて」が、印象的なメロディーで耳に残りやすく頭から離れないことから、ディラン効果と呼ばれるようになった。
■イヤーワームになりやすい人
音楽に触れる時間が長い人は、イヤーワームになりやすいといわれている。日常的に音楽を聴く習慣がある人は、習慣がない人と比べてイヤーワームを引き起こす曲に触れる頻度も高いためだろう。
なお、イヤーワームのなりやすさに男女差はないが、女性の方がイヤーワームをストレスに感じる傾向がある。イヤーワームを引き起こしやすい曲については、後述する。
イヤーワームになりやすい曲は?人気曲が頭から離れないと話題に
近年では、ヒット曲が生まれると、その曲を使用した動画がいくつもSNSに投稿される。むしろ、SNSをきっかけに曲がバズることも多い。
ここからは、SNSで流行したイヤーワーム曲や、その曲の特徴について解説する。
■APT.
「APT.」は、まさにイヤーワームの代表格のような曲だ。韓国ガールズグループBLACKPINKのロゼと、アメリカのアーティスト、ブルーノ・マーズのコラボ曲で、サビでは「アーパトゥ、アパトゥ」というフレーズが繰り返される。
覚えやすく、一度聴いたら忘れられない。ちなみに「アパトゥ」とは韓国語でアパートやマンションを意味しており、韓国の若者に人気の飲み会ゲームの掛け声だ。
■Bling-Bang-Bang-Born
Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」は、アニメの主題歌に起用された人気曲だ。サビで腕を左右に振るBBBBダンスはシンプルで曲ともマッチしており、世界中で踊ってみた動画を投稿するユーザーが続出した。アニメのキャラクターがBBBBダンスを踊る動画は、2025年4月現在で再生回数3.5億回を超えている。
■Dubidubidu
曲名を見てもピンとこないかもしれないが、聞けば必ずわかるはず。「Dubidubidu」は猫ミームで話題になった「チピチピチャパチャパ」が印象的なヒット曲だ。愛らしい猫の動画と中毒性のある曲調とフレーズで2024年に注目されたが、曲のリリースは20年以上前になる。
■はいよろこんで
こっちのけんとの「はいよろこんで」も、サビの「ギリギリダンス」というフレーズが一度聴くと頭から離れないと話題になった。ダンスを真似した動画はもちろん、昭和アニメのような印象的なMVに影響され自作アニメーションを投稿するユーザーも多くいた。
■イイじゃん
「イイじゃん」は男性アイドルグループM!LKがリリースした曲で、2025年に大ヒット中のイヤーワーム曲だ。爽やかでポップな曲調から急にクラブサウンドに転調し「今日ビジュイイじゃん」と、耳に残るセリフが繰り返される。曲の意外性とキャッチーさで人気が加速し、SNSでも踊ってみた動画が次々と投稿されている。
■イヤーワームを引き起こしやすい曲の特徴
近年注目されたイヤーワーム曲をいくつか紹介したことで、イヤーワームを引き起こしやすい曲の傾向が見えたのではないだろうか。話題になった曲には、次のような特徴がある。
・キャッチーなフレーズ
・覚えやすいメロディー
・同じフレーズの繰り返し
どの曲もキャッチーなフレーズやメロディーで覚えやすい。また、同じフレーズや似た歌詞を繰り返す傾向がある。印象的なフレーズやメロディーが繰り返されるため、より耳に残るのだろう。
イヤーワームと発達障害の関係
発達障害の人が悩む症状の一つでイヤーワームが挙げられることがあるが、因果関係は解明されていない。ここからは、イヤーワームと発達障害の関係について確認しておこう。
■イヤーワームと発達障害に明確な因果関係はない
先述したように、イヤーワームは発達障害の有無に関わらずほとんどの人が経験する現象だ。そのため、イヤーワームは発達障害の症状と断定はできず、明確な因果関係は証明されていない。ただし、感覚過敏などの症状により、イヤーワーム現象によって感じるストレスや不快感が大きい可能性はある。
■受験生などストレスが多い環境の人が悩む傾向にある
イヤーワームは日常的な現象で、時には煩わしさを感じながらも気付けば頭の中から消えている。多くの人が、そんな経験をしているだろう。
しかし、受験生などストレスが多い環境に身を置いている人は、イヤーワームに悩む傾向がある。ストレスとイヤーワームの関係性についても解明はされておらず、今後も研究がされるであろうテーマの一つだ。
頭から音楽を追い出したい!イヤーワームの対処法
基本的には、いつのまにか消えているイヤーワームだが、何時間経っても音楽が流れている、今は集中したいから早く消えてほしい。そんな時もあるだろう。イヤーワームを消す対処法のポイントは、意識を他に逸らすことだ。最後に、イヤーワームを頭から追い出す方法を紹介する。
■ガムを噛む
ガムを噛むことで、意識を口の方に逸らし、イヤーワームを解消させる。イヤーワームを消す代表的な対処法として知られている。
■アナグラムやパズルを解く
アナグラムとは、単語の文字を並び替えて別の言葉を作ることだ。「白い大根」→「石、コインだろ」など。多少意味のわからない文章になっても問題ない。大事なのは、意識をそちらに集中させてイヤーワームを追い出すことだ。回文作りやパズルなども、有効な方法として挙げられる。
■頭で流れている曲の全体を聴いてみる
イヤーワームが起こる時、頭の中で流れる曲はサビや特定のフレーズなど短い部分が繰り返されることが多い。頭の中で流れている曲を、あえて全体を通して聴くことで他のメロディーに意識が分散され、イヤーワームが解消されることがある。
■他の音楽を聴く
他の音楽を聴き、別のメロディーに意識を集中させてイヤーワームを追い出す方法がある。有効な方法ではあるが、新たに聞いた曲でイヤーワームに陥る可能性もあるので選曲には注意しよう。
■イヤーワームを消す「The Earworm Eraser」を聴く
イヤーワームを消すために作られたサウンドトラック「The Earworm Eraser」を聴いてみよう。「The Earworm Eraser」は、音楽心理学者とオーディオエンジニアの協力で作られた40秒ほどのトラックで、その短い時間の間に幾度となく転調がある。
メタル調、フォークソング調、クラシック……と数秒ごとに転調し、テンポも変わる。つまり、覚えられない。耳が覚える前に、次の曲調に移ってしまうためだ。
その「耳に残らなさ」がイヤーワームを追い出すのに効果的とされている。YouTubeにもアップされているので、気になる人はチェックしてみてはいかがだろうか。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部
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