
花粉の影響で「目がごろごろする」「目がかゆい」「目が充血する」という症状に困っている人も多いだろう。これらの目の症状を和らげる方法というと目薬が有名だが、最近は「塗る目薬」が登場し話題になっているという。
いったい「塗る目薬」とはどんな薬なのか。耳鼻咽喉科医の木村聡子先生に教えてもらおう。
1日1回、目の周りに塗るだけでOK
具体的な薬剤名は“アレジオン眼瞼クリーム0.5%”。1日1回目の周りに塗ればいい薬剤だ。
「今まで使用されてきた点眼薬と同じ効果を持つ“眼瞼クリーム”が昨年発売されました。非常に画期的な薬で、既に使った患者さんからの“すごく使いやすい!”という声がたくさん聞こえてきます。寝る前などに塗ることで、1日中効果が持続。薬の成分がまぶたの皮膚から吸収され、結膜まで浸透し、目のかゆみなどの症状を抑えてくれます。まぶたの皮膚から吸収されるので、コンタクトを装着している状態での使用も問題ありません」
今まで数多く使われてきた点眼薬も非常に頼りになる薬だが、きちんと効果が得られていなかった人が実はいるという。そういう人こそクリームタイプへの変更を検討してみるといいそうだ。
「点眼薬の場合、1日2回や4回、点眼をしないといけません。目薬をさす間隔を一定に保つことで、薬の濃度を維持することができ、効果が発揮されます。しかし、1日の中で決まった間隔で点眼をすることは難しいという人もいます。更に、点眼薬の中にはコンタクトを外してから使用しないといけないものもあり、着け外しが煩わしくなり、結局きちんと点眼することができず、薬の効果を得られないというケースもある。このような人にとって、1日1回塗るだけでいい“塗る目薬”は非常に使い勝手がよく、効果もしっかり出るのでおすすめです」
点眼によるメイク崩れの心配も無用
外出時に余計な荷物が増えないというのも嬉しいポイントだ。
「1日1回家で塗れば、持ち歩く必要はありません。また、点眼をするとアイメイクが落ちるのが気になるという人もいらっしゃいますが、そういう心配も不要です。ちなみに、朝に塗りたいという人は 通常のスキンケアのあとに軟膏を塗るといいでしょう。
とはいえ、薬は吸収されるまで少し時間がかかるものです。やはり、寝る前に塗り、しっかり効いている状態で朝を迎えるというのが理想的な使い方ではないでしょうか」
夜に塗った場合は、起床後は普通に顔を洗い、通常の生活を送って問題ない。そして、点眼が苦手な人にも、この塗る目薬はおすすめだ。
「自分で点眼をするのが難しいご高齢の方や、点眼を嫌がる子どもなども塗るタイプを検討するといいでしょう。子どもへの処方も、医師の指導のもと行えます。
ただ、どの薬もですが、薬は処方された本人以外が使うのはNGです。大人が処方されて便利だったからといって、そのまま子どもに使う行為は絶対にやめてくださいね」
この薬は、アレルギー性結膜炎に対する薬であるため、花粉症に限らず、アレルギー反応が目に出る人ならば適応になることが多い。従来の点眼に加え、新たな選択肢のひとつとなりそうだ。猫やほこりなど、目に出るアレルギー反応が気になる人は、眼科やアレルギー科などを受診し、相談してみてほしい。
木村聡子医師プロフィール
医学博士、日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本アレルギー学会専門医、補聴器適合判定医、補聴器相談医、難病指定医。大学病院、総合病院などを経て、現在は都内クリニックに勤務。耳鼻咽喉科疾患全般において年齢層を問わず幅広く対応し、丁寧な説明を心掛けている。
取材・ 文/田村菜津季