『名探偵コナン』グッズの中でも、原作漫画のイラストを使用した商品を開発、販売する通販サイト「少年サンデープレミアムショップ」。同サイトで扱うグッズ開発やその販売戦略、さらには青山剛昌先生との秘話まで、3人の担当者に直撃した!
老舗ブランドにも選ばれる確かな商品企画力
『名探偵コナン』のグッズには、アニメのイラストを使用したものと、原作漫画のイラストを使用したものがある。中でも「少年サンデープレミアムショップ」が扱っているのは、原作漫画のオリジナルグッズだ。
「基本的に当店は普段使いできるものが中心。高額なコレクターグッズや1点ものなどはありません。これは青山先生のご希望でもあり、『週刊少年サンデー』の読者層に合わせているから。定例の『名探偵コナン』の監修会で、商品化企画書を承認いただくのが第一段階です」
(小学館 グローバルMD室副編集長・糸永秀一郎さん)
そんな中、昨年、連載30周年を機に原作グッズとして初のブランドコラボを企画しこだわりのアイテムを展開。糸永さんは英国王室御用達の老舗ブランド、DAKSとのコラボを担当した。
「まずはコナンに縁の深いイギリスのブランドとコラボできないかと探っていたんです。そこで名前が挙がったのがDAKS。同社も昨年創業130周年という節目の年。かつ、コナンがDAKSでも有名なチェック柄を着用していることも決め手になりました」(糸永さん)
原作とのコラボではイラストのセレクトがキモです小学館
ユニバーサルメディア事業部
グローバルMD室
飯島大貴さん
DAKSにとっても、コナンのファン層が新しいタッチポイントになると捉えられたようだ。
また、名画を多数所蔵するイギリスの国立美術館「ロンドン ナショナル・ギャラリー」も昨年、設立200周年のメモリアルイヤーを迎えた。
「ファン・ゴッホ『ひまわり』をはじめとする同美術館所蔵の名画と青山先生のイラスト、両方の美しさが同時に楽しめるグッズを製作しました」(同室デスク・関桃子さん)
中でも、これら原作グッズの製作に最も時間をかける作業が、イラストの選定だという。
「その商品に合ったキャラクター・シーン・イラストを100冊以上ある原作から選んでいます」(同室・飯島大貴さん)
飯島さんは原作のほとんどのシーンを覚えているそう。
「ファン心をくすぐる場面を選びたいのですが、使いたいシーンに限ってセリフやほかの人物が重なってしまっていることも多く悩ましいですね」(飯島さん)
目指すのは、コラボ相手も満足してくれる商品づくり!小学館
ユニバーサルメディア事業部
グローバルMD室 副編集長
糸永秀一郎さん
さらにコラボ先ブランドのイメージにも配慮せねばならない。
「FILAとのコラボバッグの内側は原作シーンをちりばめた総柄ですが、死や暴力を想像させるものは避けたく、セレクトが難航。コナンらしさとのバランスに苦労しました」(飯島さん)
その後、デザインを青山先生に監修していただく。
「このシーンやキャラを使ってほしいといったご意見もくださいます。そうした先生と編集部の声を反映し、より良いものに仕上げていきます」(関さん)
さらにDAKS、ロンドン ナショナル・ギャラリーコラボでは、それぞれポップアップショップも出店、連日大盛況を収めた。
「DAKSでは、単行本第1巻でコナンが着用した帽子を可能な限り再現、店頭販売し、話題に。老舗ブランドとのコラボによるシナジー効果の高さを実感しました。」(糸永さん)
先生の原作イラストを用いているからこそ、原作のストーリー性を大切に企画している。何より、ファンが喜んでくれるかが重要な基準だ。
この好評を得て、新たなコラボ企画が続々進行中。原作の世界観を大事にしたグッズはこれからもファンを魅了しつづける。
ファンがイメージしやすい商品説明を心がけています小学館
ユニバーサルメディア事業部
グローバルMD室 デスク
関 桃子さん