
外遊びやスポーツで子どもの運動能力が向上
家の外で遊んで時間を過ごしたり、さまざまなスポーツ活動に参加したりしている子どもは運動能力が高く、特に複数のスポーツを行っている場合にその関連が顕著であることが報告された。ユヴァスキュラ大学(フィンランド)のNanne-Mari Luukkainen氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of Sports Sciences」に2月1日掲載された。女児に限れば平日に1日30分強、屋外で過ごすことも、スポーツ実施の有無にかかわらず、運動能力の高さと有意な関連が認められるという。
論文の筆頭著者であるLuukkainen氏は、この研究結果を、「幼少期に2種類以上のスポーツ活動に参加していることは、その後の学齢期における運動能力向上の予測因子である」と総括。また、「この結果に基づき、体育教師やコーチは、子どもたちの発達における組織的なスポーツ活動と非組織的な身体活動の双方の重要性を認識し、それらの活動への参加を奨励する必要がある」と提言している。
この研究では2015~2016年に、フィンランド国内の人口の分布を考慮し特定した24地域から募集された、3~8歳の子ども627人(平均年齢5.5±1.1歳、女児51.0%)を3年間追跡。子どもたちが6~11歳になった時点で運動能力を評価し、ベースライン時における「屋外で過ごす時間」および「組織化されたスポーツへの参加の有無」との関連性を検討した。なお、組織化されたスポーツへの参加の有無は、スポーツ関連団体やクラブ活動に参加しているか否かで判断した。
解析の結果、複数の組織化されたスポーツに参加している子どもは、3年後の運動能力が有意に高いことが明らかになった。性別に見ると、女児については、横跳び、移動スキル、ボール等のコントロールスキル(object control skills;OCS)、基本的動作スキルという、評価した4項目全てと有意な関連があり、男児についてはOCSを除く3項目で有意な関連が認められた。単一の組織化されたスポーツに参加していることも、女児の横跳びとOCSという2項目と有意な関連が認められた(男児では非有意)。
また、屋外で過ごす時間の長さは、女児の横跳び、OCS、基本的動作スキルの高さと有意に関連していた。例えば、平日の屋外で過ごす時間が30~60分であっても、30分未満の子どもとの間に、3年後のスキルの有意差が観察された。ただし、男児ではこのような関連が見られなかった。女児でのみこの関連が有意である理由として著者らは、男児は総じて屋外で過ごす時間が長いのに対して、女児は屋外で過ごす子どもとそうでない子どもの差が大きいためではないかとの考察を述べている。
Luukkainen氏らは、「これまでにも、屋外で過ごす時間と多様な身体活動が、子どもたちの運動能力の発達に良い影響を与える可能性が報告されていた。われわれの研究結果も、そのような先行研究の結果と一致している」と述べている。(HealthDay News 2025年4月17日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02640414.2025.2460892
Press Release
https://www.jyu.fi/en/news/outdoor-time-and-multisport-activities-develop-childrens-motor-competence
構成/DIME編集部
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