
環境省がクールビズ政策を始めたのが2005年。環境対策としてノーネクタイ、ノージャケットの服装を推し進めた。
年々、暑くなる日本の夏に嫌気をさしていたビジネスパーソンは、クールビズを大歓迎。市民権を得るに至った。
しかし、20年経った今でもクールビズの正解コーデがわからない。結局、いつものシャツを腕まくりしているだけと言う人も多いはずだ。
クールビズとオフィスカジュアルは違うもの
年間100件の服装コーディネートを行なっているパーソナルスタイリストの勅使河原さんに話を聞いた(以下、カッコ内すべて勅使河原さん)。
「クールビズは『涼しい服装で仕事を使用』とはじまった取り組みです。ノーネクタイ、ノージャケットと言えども、ビジネスパーソンとして外の人と会っても恥ずかしくない服装であることが求められます。
よく混同をされますが、Tシャツやスウェット、サンダルが認められるオフィスカジュアルとはこの点が異なります。私のお客様からも『クールビズの服装がわからない』という相談は多く寄せられますが、基本的には『襟付き』『サンダル、キャンバス生地のスニーカーはNG』と伝えています」
襟付きシャツにスラックスといった基本をクールビズの基本を抑えた服装をしているにも関わらず、勅使河原さん曰く「これはちょっと…」と思うクールビズファッションがあると言う。
20年経ちクールビズは当たり前の存在に
大切なのは色使い
一体どんな服装がプロの目にはNGに映るのか。
「まずはサイズ感です。ゆとりのある服装の方が涼しいのでルーズフィットのシャツやワイドパンツなどを選んでしまう気持ちはわかりますが、ダボダボ感が強調されるとだらしなさが強くなってしまします。『ビジネスらしさ』を損なわないことを目的とするクールビズではNGです」
さらに勅使河原さんは”腕まくり”にも指摘する。
「いまだに長袖のシャツを腕まくりをしている方を見かけます。クールビス以前からの感覚で半袖シャツをダサいと思っている方も多くいると耳にします。
しかし、プロから言わせると長シャツの腕まくりよりも半袖シャツの方が着こなしている感は出ていると思います。半袖のシャツが着にくいのでしたらサマーニットやポロシャツといった選択肢もあります」
確かに、腕まくりファッションは改善の余地があるかもしれない。それでは、無難に白シャツに明るいカラーのパンツを合わせるのはどうか。
「これが多くの方がハマっている落とし穴なんです。確かに爽やかな印象にしようと、淡い色のコーディネートをされている方は多いです。例えばベージュのパンツに白色のシャツといった組み合わせですよね。しかし、全身を淡い色で揃えてしまうとは印象がぼやけてしまって、やや老けた印象を与えてしまいがちです」
少しオジサンぽく見えてしまうNGクールビズ
あれもNG、これもNG。では一体どんなクールビズが正解だと言うのか。
「”デキる”ビジネスパーソンに見られたいのでしたら、上下ともに青色で合わせたコーディネートが最適解だと私は思います」
上下、青。いやいや、ダサすぎないだろうか?
「そんなことはありません。ワンカラーコーデはファッションの原則として避けられがちですが、ビジネスシーンでは意外と収まりが良くなります。
というのも青色といってもインディゴ、ネイビー、水色など様々ありますし、シャツとパンツでは素材が異なるので、それぞれが程よく主張してくれるんですよ。青は黒ほど重くなりませんし、ビジネスらしいフォーマル感と夏らしい爽やかさ、そしてオシャレ上級者感を作ることができます。
ぜひ、今年のクールビズファッションに挑戦してみてください」
勅使河原さんがお勧めするOKの例
開始から20年。 吸汗速乾やマシンウォッシャブルの登場など様々な変化を遂げたきたクールビズ。そろそろ私たちのファッションもアップデートしてもいいかもしれない。
取材・文/峯亮佑