小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

「補聴=高齢者」の常識を覆す!聴覚ケアをアップデートするスタートアップOlive Unionの挑戦

2025.04.28

テレワークによるオンラインミーティングの増加、ワイヤレスイヤフォンの使用、高齢化。私たちの耳を取り巻く環境は大きく変化しているにもかかわらず、多くの人が「聞こえ」に関する課題を自覚できていない。その無自覚こそが、補聴ケア普及の最大の壁となっている。

「補聴=高齢者」という固定観念を、スマートデバイスのような見た目と、革新的なテクノロジーで覆す挑戦をしているのが、集音器を開発・提供する「Olive Union(オリーブユニオン)」だ。

「補聴器を使いたくない」叔父の声から始まった挑戦

オリーブユニオンの創業者であるオーウェン・ソン氏は、元サムスンのプロダクトデザイナーという異色の経歴を持つ。彼が起業に至ったきっかけは、難聴の叔父が補聴器を嫌い、使わなくなってしまったという実体験だった。高価な割に使いづらく、デザインも洗練されていない。「この構造を根本から変えなければ、聞こえに悩む人は救えない」そうした想いが、オリーブユニオンの原点である。

同社が目指したのは、“補聴器に見えない”補聴支援デバイスの開発だ。従来の補聴器が抱える「高額」「目立つ」「調整が面倒」といった三重苦を解消し、すべての人にとって使いやすい選択肢を提示することがミッションであった。

その結晶が、「Olive Air」である。本製品は、Bluetoothイヤホンのような洗練された外観に、ノイズキャンセリング機能、音楽・通話対応、スマホ連携による自動調整など、次世代集音器としての機能を搭載している。

難聴人口は拡大中。それでも補聴器の普及率は14%

現在、欧米諸国が25~50%の普及率を誇るのに対し、日本における補聴器の普及率はわずか14%ほど。日本では「年寄りっぽい」「見た目が恥ずかしい」「高い」というイメージが依然として根強い。

聴力の低下は30代から始まっているのだが、50~60代でようやく違和感に気づく人が多い。75歳以上の高齢者においては、実に7割以上が難聴の傾向を示しているが、自覚しているのはそのうちわずか3割ほどにとどまるという。この「自覚の欠如」が、早期のケアを妨げている。

聴こえの異変に気づく最初のサインとは

難聴の自覚は、自分からではなく、家族からの指摘で気づくことが多い。オリーブユニオンの国内営業・マーケティング事業部部長の葛西氏によれば、最も多いケースは「テレビの音が大きすぎる」という指摘だという。

「自分では聞こえているつもりでも、家族よりもはるかに大きい音量でテレビを見ていた、というようなケースは多く、その数字の差をきっかけに、本人や家族が”聞こえにくさ”に気づくことがあります」(葛西氏)

一方、一人暮らしの高齢者や、自宅で静かに過ごすことが多い人は、気づく機会が少なく、結果的に対応が遅れやすい傾向にある。

見た目の偏見を超えるデザイン性

Olive Air 59,900円(税込)
Olive Airは、従来の補聴器にありがちな“見た目のハードル”をデザインで解消した。イヤフォンのようなフォルムは若年層にも抵抗が少なく、シニア世代にも「これなら使ってみたい」と思わせるインパクトを与える。

実際に使用者からは「鳥のさえずりが20年ぶりに聞こえた」「孫の声がはっきり届くようになった」といった声が寄せられている。さらに、スマートフォン上で自分の環境に合わせて音の調整ができる機能は、本当に使いたい場面で最適な設定ができるという点で高く評価されている。

聞こえを支えることが、社会を支えることになる

難聴は、うつ、孤立、認知症など、さまざまなリスク要因とも関係している。2017年の国際アルツハイマー病会議では、「予防可能な認知症リスクの中で、難聴が最大の割合を占める」と発表された。つまり、聞こえのケアは、脳の健康を守る第一歩でもある。

「音を正しく聞くことは、脳の言語理解機能を保つうえでも極めて重要です。早期に対応すれば、生活の質も大きく向上します」と葛西氏は語る。

補聴ケアを、“当たり前”の行動へ

オリーブユニオンは、2023年7月にシリーズDラウンドで11億円超を調達。出資元には前澤ファンド、Beyond Next Venturesなどが名を連ねる。事業モデルに対する社会的期待の高さがうかがえる。

同社の目指す未来は、補聴ケアを“特別なこと”ではなく、“生活の一部”とすることだ。「聞こえにくさ」は、最初は小さな違和感にすぎない。しかし、その放置は大きな損失につながる。音を、会話を、社会との接点を失わないために、今一度、自身の「聞こえ」について目を向けてほしい。

【取材協力】
株式会社Olive Union

文 / Kikka

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年4月16日(水) 発売

DIME最新号は、「名探偵コナン 熱狂の舞台裏」。長野県警全面協力!劇場版最新作の舞台の新聖地とは?長野県警トリオ〟をあしらったトリプルジッパーバッグの付録付!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。