
恋愛の場も仮想空間の“メタバース”に。アバターになりきって異性との仲を深められる恋愛マッチングアプリ「Memotia」を運営するのは、テック企業の株式会社Flamersだ。同アプリがうたうのは「内面特化型」の出会い。2025年5月2日には新たに、AI技術を活用したリアルな“デート”も見据えるアドバイス機能など、4つの機能を正式リリースする。同社の「先行体験&説明会」では、筆者の“中身”も丸分かりとなった。
表向きの情報に寄らないアバターのデート体験で「恋に落ちる」
2023年4月リリースの「Memotia」はスマートフォン、パソコン、VRデバイスで利用できる恋愛マッチングアプリだ。先述の「先行体験&説明会」では、運営元の代表取締役CEO・佐藤航智さんが、同アプリを取り巻く概況を伝えた。
報道陣を前に説明する株式会社Flamersの代表取締役CEO・佐藤航智さん
提供するのは「メタバース空間内でアバター同士が交流し、外見や条件ではなく、人柄に惹かれて恋愛が始まる体験」だ。外見、年収などのスペックが重視される従来のマッチングアプリにあった「課題を解決」するために、同アプリをリリースしたという。
さらに、背景には佐藤さん自身が「メタバース内で出会い、リアルで結婚した」原体験もあった。「アバター同士でデートを重ね、“顔を知らずに恋に落ちる” という体験の素晴らしさを形にしました」と、自信をのぞかせる。
その体験の舞台となるのが、公園やリゾート、キャンプなど、日常もイメージさせる30種類以上あるメタバース上の「デートワールド」だ。
メタバース上でたき火を囲み交流を深める「Memotia」のユーザー
アバターになりきったユーザーは、音声によって他のユーザーと交流。「約1ヶ月半のデートでは現実ではできない体験、季節感のあるシーンを楽しみながら、自然に相手の内面を知っていきます」と、佐藤さんは特徴を話す。
ボリュームゾーンは「25~34歳」ユーザーを没入させる裏側
2023年4月のリリースを経て、2024年1月~2025年1月でユーザー数は「500%以上」(同社調べ)に増加。その背景として「パソコン、VRデバイスに続くスマートフォン版のリリースがあった」と話すのは、同社の取締役COO・柴田展大さんだ。
95%以上がスマートフォンで利用する同アプリ。ボリュームゾーンは「25~34歳」で「将来を見据えた恋愛を求めるユーザーが多い印象。婚活ほどかしこまったものではなく、恋愛と結婚の“あいだ”を望む方々が中心です」と、柴田さんは解説する。
ただ、マッチングアプリでは“身バレ”などの不安もある。同アプリでは対策として、当初のプロフィールでは「性別や年齢などの基本情報のみを入力して、学歴や年収といったスペックの詳細は一切不要」に。「LINE IDや写真の交換もユーザーに委ねて、アプリ側からリアルなデートへ後押しする機能もある」という。
さらに、メタバース上での交流を深めるにつれて「プライベートな質問」が開放される仕組みもある。その一例となるのが、同アプリの特徴「デートワールド」のひとつ「サイコロワールド」だ。
アバターになったユーザー同士がサイコロを振り、止まったマスの質問に回答しながら交流。「好きな色は?」といった簡単な質問が用意された空間と、「親の関係性は自分の恋愛観に影響があると思う?」といった深めの質問が用意された空間で「1対1の会話に特化したワールド」に没入できる。
交際半年で「ものすごく幸せ」メタバースで運命の相手を見つけたユーザー
先述の「先行体験&説明会」では、同アプリをきっかけにリアルな“恋人”を見つけたユーザーのお話も聞いた。交際半年のポンさんは「ものすごく幸せです!」と一言、笑顔をみせる。
以前、他のマッチングアプリを利用した経験もあった。ただ、「年収や学歴といった表面的な情報で選ぶのに抵抗があった」と明かすポンさんは、2週間ほどでアプリをやめてしまったという。
そこで出会ったのが「Memotia」だった。「たがいの性格や価値観にフォーカスできるのが、大きかった。日常会話でも『ここが素敵だよね』と言い合える関係性」を、恋人と築けているそうだ。
先述の「サイコロワールド」が、距離をグッと縮めるきっかけに。相手が「職場で分かりづらい業務を後輩へ共有するためにマニュアル化したエピソードから、思いやりのある人柄が伝わってきた」と振り返る。
メタバース上で「小麦アレルギー」だと伝えて、今も「米粉でお好み焼きを作ってくれたり、私を思いやってくれます」とニッコリ。ポンさん自身「外見にこだわりないタイプ」だったのもあり、自然とたがいの「会いたいタイミング」が重なって、3度のデートで交際へ発展したという。
付き合うなら“外見”か“中身”か。よくある議論も吹き飛びそうなエピソードは、イマドキな恋愛のリアルを描く。
AIキャラクター「メカドラ」ちゃんで分かった筆者のパーソナリティ
そして、同アプリでは新たな機能が正式リリースされる。AIキャラクターとの対話によって、デートを意識したユーザーのパーソナリティを「どうぶつ」に見立てて診断。同アプリでのプロフィール作成にも役立つ。筆者はその入り口となるAIキャラクター「メカドラ」ちゃんとの“疑似デート”を体験した。
必要情報を入力して、さっそく「メカドラ」ちゃんとの対話をはじめる。翼竜のような愛らしい風貌のキャラクターで、その設定として「ユーザーに飾らず自己開示してもらえるように、おじさんっぽいフレンドリーなキャラクター像にした」と解説するのは、同社の取締役CTO・設楽広太さんだ。
音声によるコミュニケーションは、メカドラちゃんの「いろんな質問をさせていただきますぞ」の一声でスタートする。1問目は「今日はどんな気分でいらっしゃいましたか。ワクワク系? のんびり系?」で、筆者は緊張しつつも「のんびり系です」とゆっくり返した。
質問を受けた筆者が「取材して記事を書くライターをやっています」と答えると「お、ライターさん。取材って緊張しませんか?」と気遣いも。学生時代に友だちと「ゲーム三昧」だった過去、恋愛には「ロマンと現実半々」を求めるなど、筆者のパーソナリティを巧みに引き出されながらも、メカドラちゃん自身が「エイヒレ」が好物だと分かったり、約5分間の自然な対話による“疑似デート”が終了した。
今回、体験できたのはその過程をふまえた「恋するAIどうぶつ診断」の結果と、音声デートにもとづくパーソナリティのアドバイスレポートまでだ。
取材当日の診断結果。相性のいい「どうぶつ」も運命の相手を見つけるヒントに
筆者の結果は「ペンギン」で「控えめだけど、愛情深め」のキャッチコピーには、ちょっとほっこり。インタビュアーとしてのクセなのか、メカドラちゃんとの対話でも自然に出ていた相づちで「相づち癒し名人」と褒められたのもうれしく、恋愛に限らず、その他の場面でも〝結果を意識できれば〟と思えた。
取材・文/カネコシュウヘイ