小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

ヒョンデのスモールEV「インスター」に乗ってわかった驚きの実用性と走行性能

2025.04.27

乗り心地重視=ライドコンフォートのセッティング

高速走行に入れば、厚みのあるウインドーガラスや二重ウェザーストリップ、ラゲッジボード追加などの遮音対策もあって、強風のベイブリッジを通過したときの風切り音はほぼ気にならなかった。ただし、その上屋が静かなぶん、下から入ってくるロードノイズはやや気になるレベルと言えるかも知れない(もっとも筆者の愛車の静音タイヤを履いた2020年型VWゴルフ7.5ヴァリアントハイラインよりロードノイズは小さい)。一方、高速走行ではフラットライドが際立ち、路面のジョイントを通過した時のショックも無視できるほど。日本向けの足回りの設定、つまり乗り心地重視=ライドコンフォートのセッティングが功を奏している印象だ。首都高速のカーブでの安定感もなかなか。常識的な速度であれば、路面に張り付くような安定感のまま走り抜けることができた。

ドライブモードはエコ、ノーマル、スポーツ、スノーの4種類が備わり、エコモードで走り始めても、アクセルペダルを深々と踏み込めば加速力に歯がゆさはない。ノーマルでは必要十分な加速力を示すし、スポーツにセットすれば、あくまで115psのミニマム&スモールサイズのEVとしては・・・という但し書き付きながら、心地よいレスポンスで機敏に走ることもできたのである。なお、ドライブモードを変更すると、助手席前トレイ部分などの照明も色が同調。スポーツモードにセットすると赤に変化するという具合だ。

高速走行ではACCも試したが、レーンキープ機能は文句なく、前車に接近した時などの減速感のスムーズさも悪くない。ただし、再加速性能は持てるパワーなりで緩慢。アクセルペダルの踏み増しが必要だった(追突されないように)。

というわけで、前席の乗車に限れば、想定外にしっかり軽快かつ静かで快適に走ってくれるインスターだが、試乗途中で後席に乗り換えてみると、停車時であれば足元はフラットで前席下につま先が入り、なにより身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で265mmもの膝周りスペースがあることから(ZR-V245mm ハリアー200mm フロンクス210mm エクストレイル235mm。すべて筆者のドライビングポジション基準)、「ラウンジ」のサンルーフ付きだと頭上方向にこそ余裕はないものの(150mm)、2人掛け(定員4名)であれば足元は想定外に広いという印象を持つことができる。もっとも、同行した身長180cm級の乗員になると、助手席では車幅・室内幅の狭さから右膝がセンターコンソールに干渉するとともに、後席では頭上方向が窮屈・・・とのことだった。

後席に乗車して走行した印象を述べれば、座面がフラットアレンジを優先したのか平板で、ドイツ車のように先端に角度が付いているわけでもないため(ヒール段差約320mm。一例として日産サクラ330mm。スズキ・スペーシア360mm)、やや落ち着き感に欠けるかけ心地を示す。併せて、市街地での乗り心地は日本向けサスペンションチューニングによる前席の快適さとは異なり、路面によっては前席で感じられないゴツゴツしたタッチが気になるシーンもあった。前席優先のカップルズカーとして割り切って乗るなら問題はなさそうだが、想像以上に後席が広いことから、後席を頻繁に使う用途であれば、ここは改善してほしいポイントになると思える。未試乗の「カジュアル」「ボヤージ」の16インチタイヤだとどうなるのかは、気になるところだ。

ところで、運転しながら、前方視界で「おやっ」と思ったことがある。それはルームミラーの奥、フロントウインドー上端中央に、4つの黒い物体が縦にドーンと並んでいることだ(カメラ×2、ドラレコ×1、その他らしい)。なんだか後付け感ムンムンで、走行中に視界に入る部分だけに、うざったく、残念に思えたのだ。運転支援機能として必要不可欠なものであるのは分かるが、もっとコンパクトにすっきりとした処理を施してもらいたいものである。

とはいえ、この「ラウンジ」と「ボイジャー」グレードであれば、いち充電でのEV航続距離はWLTCモードで458km。エアコンを使うなどして走っても満充電なら300km台後半ぐらいは走れる可能性があり、シティコミューターとしてのボディサイズ、キャラクターながら、EVとしてそこそこのロングドライブにも使える実力を備えていると言っていい。荷室~後席だけでなく、前席までフラットにアレンジでき(テーブルにもなる)、全グレードにAC1360Wコンセントが装備されていることもあり、アウトドアや車中泊カーとしても活躍してくれるミニマムサイズのEVの1台になりうるだろう。「ラウンジ」はシート表皮が合皮ゆえ(前席はなんとシートヒーターとベンチレーション完備)、後席に愛犬を乗せた時の抜け毛、臭い対策にも向いていそうだ。

今回の試乗、取材時点で補助金額は明らかになっていないものの、補助金を差し引いた価格は「ボヤージ」で300万円をギリギリ切り、「ラウンジ」でも320万円弱でいけると予想。東京都であればさらに補助金が上乗せされることもあり、価格対運転支援機能&先進運転支援を含む装備の充実度、実用性、コンパクトなボディを生かした取り回し性、駐車性という点で、注目すべきEVの1台になりそうだ。なお、インスターは2025年ワールド・カー・アワードの「ワールドエレクトリックビークル」を受賞している。

文/青山尚暉
写真/ヒョンデ 青山尚暉

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年4月16日(水) 発売

DIME最新号は、「名探偵コナン 熱狂の舞台裏」。長野県警全面協力!劇場版最新作の舞台の新聖地とは?長野県警トリオ〟をあしらったトリプルジッパーバッグの付録付!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。