
職場で椅子を戻さない人の心理には、「無意識タイプ」と「配慮不足タイプ」の2種類があります。対処法として、雑談の話題にする、職場全体でルールを共有する、気にしすぎない工夫を取り入れることが有効です。相手を変えるのは難しくても、視点を少し変えることでストレスを軽減し、職場環境を快適にすることができます。
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職場の会議室や休憩スペース。誰かが使った椅子が、出しっぱなしのままになっているのを見かけること、ありませんか?「あれ?なんで戻さないんだろう」なんて思いながら、なんとなく自分で戻す。
ちょっとしたことかもしれないけれど、毎日のように続くと、じわじわと気になってしまうものです。こうした小さなモヤモヤは、意外と多くの人が感じています。
今回は、職場にいる「椅子をしまわない人」の心理を2つのタイプに分けて整理しながら、気にしすぎずに済むための3つの対処法をご紹介します。気になっていたあの行動が、自分の中で少しだけ整理できるかもしれません。
椅子を戻さないのはなぜ?その心理は2つに分けられる
職場にいる「椅子をしまわない人」、あなたのまわりにもいませんか? ただのうっかりかと思いきや、実はその背景には、いくつかの共通した傾向があります。ここでは心理カウンセラーの視点から、「椅子をしまわない人」の行動パターンを2タイプに分けて読み解きます。
(1) 無意識にやっているタイプ
まず1つ目は、椅子をしまうという意識そのものがない「無意識タイプ」です。家庭やこれまでの職場で椅子を戻す習慣がなかった人にとっては、そもそも戻すという行動が自然なものではないのかもしれません。
たとえば、誰かに注意されたことがなかったり、周囲の誰かがいつも戻していたという状況が続いていた場合、自分が戻す必要性に気づかないまま、そのままの行動が繰り返されてしまうことがあります。
このタイプの椅子をしまわない人には、もちろん悪気があるわけではありません。本人にとってはいつものことであり、「自分の行動がどう受け取られるか」まで考えたことがないだけなのです。
だからこそ、戻すことがマナーであるという意識を、周囲と共有しておくことで、自然と行動が変わることもあるかもしれません。「戻すのが当たり前」という共通認識があるかないかで、習慣は意外と変わってくるものです。
(2) 配慮が抜けているタイプ
2つ目は、「戻したほうがいいとはわかっているけれど、ついそのままにしてしまう」タイプです。このタイプの椅子をしまわない人は、共用スペースであるという意識がありながらも、「まあいいか」と見過ごしてしまうことがあります。
たとえば、「誰かが困るかもしれない」とか「嫌な思いをする人がいるかもしれない」といった想像がうまく働かず、結果として自分の都合やペースを優先してしまうのです。また、職場が忙しかったり、本人に余裕がないときなどには、こうした行動が出やすくなることもあります。
ほんの少しの気配りが抜け落ちてしまうのは、誰にでも起こりうることなのかもしれません。このタイプの場合は、その行動によって周囲がどんな気持ちになるか、嫌な思いをする人がいることに気づいてもらうことで、意識が変わるきっかけになるかもしれません。
モヤモヤしないために|今日からできる3つの対処法
「なんで戻さないんだろう…」と感じる小さなモヤモヤが、地味に積み重なってしまうことってありますよね。ちょっとしたイライラをため込みすぎないために、今日からできる3つの対処法をご紹介します。
(1) 雑談ネタとして軽く投げてみる
「あの会議室、椅子よく出しっぱなしになってるよね?」「最近ちょっと気になってるんだけど、自分だけかな?」こんなふうに、軽い雑談として同僚に投げてみるだけでも、意外と共感が集まることがあります。
真面目に問題提起するのではなく、“あるあるネタ”として扱うことで空気を和らげながら広げられるのがポイントです。自分以外にも同じように感じていた人がいるとわかるだけで、気持ちが軽くなることもあります。
(2) 職場全体のマナーとして共有してもらう
本人に直接言いづらいこともありますので、「椅子は戻しましょう」といった全体ルールとして共有してもらうのも有効です。
たとえば、朝礼で軽く一言伝えてもらう、掲示物で呼びかける、総務や上司を通じて案内してもらうなど。個人攻撃にならないように、職場全体で共通意識として持てるように促すことで、自然と行動が変わっていくこともあります。
(3) 気にしない工夫で、自分の心を守る
職場にはいろいろなタイプの人がいますので、自分の心を守るための気にしない工夫を持っておくと、ストレスをためにくくなります。たとえば、椅子が戻っていなかったときに、「そういう人もいるか」と軽く受け流してみる。
または、「私はこういう細かいところに気づけるタイプなんだ」と、ちょっとだけ自分を肯定してみる。相手を変えるのは難しくても、受け取り方を少し変えるだけで、感じ方はずいぶん違ってくるものです。完璧に気にしないのは難しくても、引きずらないコツを持っているだけで、心の疲れ方はグッと軽くなります。
気になる“あの人の行動”との、ちょうどいい距離感
椅子をしまわないという、ささいなことのように見える行動だけれど、それが続くと、モヤモヤがたまってしまうことがありますよね。
そんなときは、「なんで戻さないの?」と心の中でイライラが膨らんでしまう前に、「もしかしてこういうタイプなのかも」と、相手の背景を少しだけ想像してみたり、「じゃあ自分はどう向き合おうかな」と、自分側のスタンスを考えてみる。
相手を変えるのは簡単なことではないですが、見方を少し変えるだけで、職場の空気も、自分の心の疲れ方も、ほんの少し軽くなるかもしれません。
文/高見 綾
心理カウンセラー|“質上げ女子”のお悩み相談。カウンセラー養成コースで豊富な臨床経験を積み、心の世界で学んだことを現実に活かすアプローチに高い評価をいただく。相談数4千超。著書は『ゆずらない力』(すばる舎)。
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