
2025年3月21日に出版され、好評発売中の『イラストでたどる女子高生制服100年図鑑』。本の中には制服の歴史とともに、学生服メーカーの様々な取り組みについても取り上げている。そのひとつが、創業170年以上の歴史がある菅公学生服(以下、カンコー学生服)のカンコーショップ原宿を拠点に活動するカンコー委員会。カンコー委員会とは、10代のメンバーで構成され「学生が学生自身で作るライフスタイル」をテーマに、商品開発、モデル、PRなどの各種活動を行なっているメンバーたちのこと。オーディションをもとに毎年の構成メンバーを選出しています。2025年3月には、8期生がお披露目されたばかり。11人いるメンバーそれぞれの個性や、今後期待される活動予定などについて、同社のカンコーセレクトスクエア事業部・堀さんの話をもとに紹介しよう。
商品企画や研究にも積極的に参加!10代で構成されるカンコー委員会
カンコー委員会が発足したのは、2018年4月のこと。メンバー10人がオーディションを経て選出された。以来、昨年度の7期生までメンバー構成が毎年のように変わりながら、カンコー学生服の直営店『カンコーショップ原宿』が取り扱う製品の企画やPR活動などを行なっている。
「弊社が展開しているセレクト制服ブランド『KANKO Harajuku Select』の立ち上げ時に行なった商品開発のほか、定期的に行なう商品の見直しを、カンコー委員会のメンバーと一緒に進めてきました。その中で、例えば、同ブランドのスカート、リボン、ネクタイの色や柄を検討する際、今までの商品展開になかったような柔らかいソフトな色合いにしようというメンバーの意見をもとに商品化したものもあります。私服のトレンドを取り入れるような商品企画も議題に挙がっていて、10代のメンバーが自身の目線で『着たい』ものを提案してくれる意見はとても貴重だと考えています」
研究機関・カンコー学生工学研究所の「かわいい制服研究室」が行なっている取り組みにも、カンコー委員会のメンバーは参加しているという。
「その研究室では〝学生が思う可愛いって何だろう?〟〝制服の可愛いってどういうことだろう?〟といったテーマの研究を進めていて、カンコー委員会も交えて取り組んだこともありました。そのようなことが、各学校側に提案する制服の企画・開発にも、間接的に還元できているのではないかと思います。そういう意味でも、カンコー委員会の存在は大きいですね」
中学生から大学生まで幅広い年齢層で構成された8期生
カンコー学生服にとって欠かせない存在になりつつあるカンコー委員会。2025年3月には8期生が発表され、計11人が選ばれた。構成されたメンバーの年齢構成には意味があるという。
「日頃から制服を着用する中高生だけでなく、今は大学生が弊社ショップを利用して制服のレンタルを楽しむことも多いんです。そのようなことも考慮して、8期生では中学生から大学生まで幅広い年齢のメンバーを選びました。8期生の大きな選出基準としては、制服が好きで、制服を魅力的に着こなせることはもちろん、SNSでの発信力も重視しました。中には、動画を使って制服をアピールできるモデルとしての強みを持っている人も選んでいます」
カンコー学生服担当者の掘さんが語る「11人の8期生メンバーはこんな人たち」
カンコー委員会は10人くらいで構成することから、できるだけいろいろな個性のメンバーを選出。
8期生は全11人のうち、7期生からの継続しているメンバーは4人参加している。
「こちらから『継続してほしい』とは伝えていませんが、1年間やってみて楽しかったし、いろんな経験ができるからさらに1年やってみたいと、毎年、数人は継続してくれています。新しいメンバーに指南し、先導してくれるのは、我々カンコー学生服側としても非常に助かっているんです」
大学1年生
武山 瑠香(たけやま・るか)さん
「発信するのがすごく上手! オーディションで、お気に入りの制服コーデをご自身のTikTokで紹介してもらうことがあったのですが、動画がたくさん視聴されたことも、選出理由のひとつです」
高校3年生
鳥栖 賢明(とりす・けんめい)さん
「明るくてコミュニケーション能力が高く、人柄が良いです。カンコー委員会の活動を盛り上げてくれることを期待しています。佐賀県在住者で、我々がショップを展開している関東圏以外の声も大切にしたいという思いも、選出につながりました」
高校3年生
ジェニ(じぇに)さん
「7期生からの継続メンバーのひとり。カンコー委員会の取り組みに対する思い入れがあり『メンバーを引っ張っていきたい!』とい意気込みも強い! 私たちと一緒に頑張ってくれたらと期待しています。YouTubeやTikTokなど動画での情報発信もしているので、そのあたりにも期待しています」
高校2年生
朝陽 海翔(あさひ・かいと)さん
「7期生としても活動してくれたひとりで、身長が高く、スタイルもすごくいい! モデルとしてのポテンシャルがとにかく高く、制服の見せ方は上手。制服をきれいにカッコよくアピールしてくれることを期待しています」
高校2年生
奥村 桃夏(おくむら・ももか)さん
「顔立ちが可愛らしく、手足は長くてスタイルが良いです。可愛い系の制服をより魅力的に見せてくれるのではないかと考えたのが選出理由です」
高校2年生
毛利 果鈴(もうり・かりん)さん
「SNSでの発信が非常に得意。オーディションの際には〝制服に似合う髪型〟の動画を自ら作って発信してくれました。カンコー学生服側が思いつかないようなコンテンツもいろいろと考えてくれるのではないかと期待しています」
高校2年生
つるこ(つるこ)さん
「7期生からの継続メンバー。モデル事務所に所属しているモデル経験者。服を魅力的に見せるのがすごく得意です。7期生の際にはカタログ撮影に参加できず、すごく悔しかったそうで。8期生のオーディションでは、そのことを熱く語っていました。そんな思いを持っているからこそ、8期生を引っ張ってくれるのではないかと期待しています」
中学3年生
前川 美桜(まえかわ・みお)さん
「可愛らしい顔立ちと制服をきれいに見せるモデル力があります。幅広い世代の学生にとって憧れの存在になれそうな、何かポテンシャルを秘めていると、多くの審査員が感じて選出しました。今後の活躍にすごく期待しているメンバーのひとりです」
中学3年生
村田 結(むらた・ゆう)さん
「ローティーン向けのファッション誌『nicola』(新潮社)には二コラガールズとして参加しているなど、すでにモデルの活動も始めています。モデルとして今後さらに活躍して、中高生の憧れの存在になれそう。160cm台という高めの身長なので、スラッとした装いをきれいに着こなしてもらえると思ったことも、選出したポイントのひとつでした」
中学2年生
心々実(ここみ)さん
「すごく自然体でフレッシュな魅力があります。制服姿が非常に似合っていて、カンコー委員会のイメージにピッタリです。コミュニケーション能力が高くて、年上のメンバーたちと一緒にいても物怖じしません。自分の意見もしっかりと言えそうだし、カンコー委員会での活動がとても楽しみなひとりです」
中学2年生
COCOA(ここあ)さん
「7期生からの継続メンバーのひとり。前回も最年少で参加してくれて〝愛され力〟がとても高く、場の雰囲気を和やかにしてくれるところもあります。中学2年生ながらモデル経験も豊富で、ウォーキングなどのモデルレッスンも受けているそうです。制服のきれいな見せ方も、いろいろと考えてくれるのではないかと期待して選出しました」
8期生メンバーの写真からも見て取れる制服の最新トレンド
8期生のメンバーが写真で着用している制服には最近のトレンドも反映されている。
「入学シーズンに合わせて弊社が販売している自由制服(学校の指定ではない、いわゆる「なんちゃって制服」)のうち、ブレザーの場合、ベーシックなネイビーやグレー以外にも、今期はブラウンのような個性のあるカラーのタイプが好まれています。リボンやネクタイでいえば、ここ数年はピンク系が人気。そういったことも考慮した装いでプロフィール写真を撮影したメンバーもいました。また、学校の制服としては採用されることの少ないセーラー服ですが、弊社のショップでは依然として人気がありますね。特に最近では、国内の人がセーラー服のレンタルを利用する一方、海外から来られた人はセーラー服を購入される傾向が強くなっています。8期生メンバーの2人がプロフィール写真でセーラー服を着ている理由は、そのような〝セーラー服の根強い人気〟があるからなのです」
これからの1年、8期生のメンバーは、どのような活動を予定しているのだろうか。
「これまでのカンコー委員会と同様に、季節に合わせた制服のコーディネート姿の写真を8期生メンバーで撮影し、毎月欠かさずに発信していこうと考えています。それに加えて、8期生の場合は動画も撮影し、SNSでも見てもらえるようにできればと。まだ具体的には決まっていませんが『KANKO Harajuku Select』の商品企画も一緒にできたらなと思っています。弊社はもちろん、8期生メンバーが自分たちのSNSでそのあたりの情報を積極的に発信していくと思いますので、気になる人は、ぜひチェックしてみてください!」
『イラストでたどる女子高生制服100年図鑑』好評発売中!
大正時代から令和時代まで、100年あまりに及ぶ学生服の変遷をたどる書籍「女子高生制服100年図鑑」が発売中。全国42校を例に挙げながら、イラストおよび写真で紹介している。
制服のイラストは、書籍・広告のほか『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』といったアニメのEDイラストなども手がけてきたイラストレーターめばちさんが、計129点を本書のために描き下ろし。めばちさん特有のふんわりとしたやさしいタッチの絵で、制服の歴史をたどるという構成も話題。
学校および制服の選定には、170年の歴史を誇る老舗学生服メーカー菅公学生服に協力を仰ぎ、制服研究の第一人者として知られている森伸之氏による監修のもと、新旧105着の制服を紹介している。
堀口さんが通われていた山脇学園中学校・高等学校の内容も含め、必読の内容だ。
■関連情報
https://www.shogakukan.co.jp/books/09311585
■公式Instagram
https://www.instagram.com/100years_school_girl_uniform/
【訂正のお詫び】
『イラストでたどる女子高生制服100年図鑑』P127の撮影協力の記述に誤りがありました。正しくは「東京菅公学生服」になります。関係各位にはお詫びするとともに訂正いたします。
取材・文/田尻健二郎