
価格高騰や節約志向、食品ロスへの意識の高まりなど、食を取り巻く環境は変化し続けている。こうした「食の今」と、消費者はどのように向き合っているのだろうか?
ぐるなびはこのほど、20代~60代のぐるなび会員2,199名を対象に「日本人の食に関する意識・実態調査」を実施し、その結果を発表した。
米、肉類、野菜を中心に1か月あたりの食費が2,000円以上増加
最近の暮らし向きについて尋ねたところ、「かなり良くなった」(2.2%)と「良くなった」(11.2%)が合わせて13.4%だったのに対し、「悪くなった」(25.7%)と「かなり悪くなった」(5.9%)を合わせた割合が31.6%と2倍以上高かったことから、暮らし向きは悪化傾向にあるとわかる。
昨年と直近の1カ月あたりの食費を尋ねると、米、肉類、野菜にかかる費用が400円以上増加していた。また合計金額で見ると2,000円以上増加する結果に。果物、菓子類は、昨年より減少しており、他の食材に費用が多くかかる分、これらの消費を減らしている傾向もみられた。
食材別で直近半年の買い物においてどの程度、国産品を選んでいるかについて尋ねたところ、米、乳卵類では「必ず国産」が5割以上の結果に。魚介類、肉類、果物では「特に国産にこだわらない」が3割を超えたが、いずれも「出来る限り国産」が4割を超えているため、できれば国産にしたいという考えもみてとれる結果となった。
6割超の人が「米と野菜の国産品購入が難しくなったと頻繁に感じる」と回答
「ここ最近で、国産の購入が流通量の減少や価格の高騰で難しくなってきたと感じることはあるか」と尋ねたところ、米と野菜においては「頻繁にある」との回答が6割を超えた。「まったくない」との回答は「豆・豆製品」で2割を超えるのみで、ほとんどの食材で、国産の購入が難しく感じることが「頻繁」または「たまに」ある様子がうかがえた。
「自身や家族の食生活・食事の考え方についてどうありたいか」と尋ねたところ、できるだけ安いものを選んだり、食品ロス削減、家族の健康や栄養面、食材の質(国産や旬)を気にする様子がみられた。また、気候変動や物価高騰への対応については、考えが分かれる様子もみられ、今置かれている環境に合わせながらも、健康や質にこだわりたいが、これまで通りの生活を続けたいと考える様子もみられた。
「前問で回答した『こうありたい』と思うイメージについてどの程度実現できているか」と尋ねたところ、「かなり実現できている」は2.6%と多くはないものの、できているとのポジティブ回答が、できていないネガティブ回答を上回る結果となった。
社会的課題に対する対応度、「食品ロス」が55.9%で最多に
「自身や家族の食生活・食事の考え方について、実現したいのに実現できていないと思うこと」について尋ねたところ、「栄養が偏らないような食事をしたい」が27.3%と最も多く、次いで「物価高騰による影響を気にせずこれまで通りの食生活を続けたい」が20.8%となった。また、「災害時にも困らないように普段から食材を備蓄して使いまわしたい」が18.1%で続くことにも注目だ。
「実現したいのにできていないことについて、実現している飲食店があるとしたらそのお店で飲食したいか」と尋ねたところ、「かなりそう思う」が6.0%、「そう思う」が42.7%とあわせて約半数となった。この結果から、食品ロス削減や健康、食材の質(国産や旬)の担保ができている飲食店へのニーズが高まる可能性がある。
社会的課題に対する対応度では、「食品ロス」が55.9%で最多となり、半数を超えたのは、この食品ロスのみという結果となった。したいと思っているができていないものでは、「気候変動と食糧生産」が約65%で最多。全項目のうち11項目について、過半数が「したいとは思っているができていない」と回答しており、主な理由としては「経済的な問題」「知識や情報の不足」などがあげられた。
「フードテック」の意向を尋ねると、「フードシェアリング」や「密封・真空技術を利用して従来よりプラスチック使用量を削減し、鮮度保持が可能になった食材」、「特殊な冷凍技術で鮮度を保持して運ばれた食材」などで、取り入れ意向が高くなった。ゲノム編集技術や昆虫といったところはまだ受け入れ率は低いものの、間接的な最先端技術から取り入れることができそうだ。
<調査概要>
調査期間:2025年2月9日(日)~12日(水)
調査方法:WEBアンケート
調査対象:全国
回答者 :20代~60代のぐるなび会員2,199名
出典元:株式会社ぐるなび
構成/こじへい