◎バッテリー駆動電車の可能性
EV-E301系に乗ってみての印象は、普通の電車だなぁというもの。EV(電気自動車)に乗った時はガソリンエンジンと違う、モーター駆動の強い低速トルクによる加速感に驚いたものだが、電車では当たり前なので普通に感じたのだろう。でも、気動車とは明らかに違う乗り味だ。交通量の多い鉄道線では架線から集電できる電車が普及したのだが、本来、架線は設備投資、維持管理が大変なので、資金に乏しい地方鉄道には困難。だからといって、気動車は給油やメンテナンス、排気ガス、火災事故などに不便を持つ。これからの地方鉄道にバッテリー駆動電車は、まさにうってつけ。車両価格の問題さえクリアになるのであれば、今後は気動車の代替に利用される機会は増えるかもしれない。
架線が無ければトンネルの断面を小さくできるから、地下鉄にも向いているといえよう。東京メトロ銀座線や丸ノ内線が保守保安が大変な第3軌条方式をやめて、バッテリー駆動電車に切り替えることも考えられる。そして何より、架線が無く、視界を遮らない風景は魅力だ。緑濃い田園地帯をEV-E301系が走る姿は、とても美しかった。
文/中馬幹弘
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