変わった問題から見える「今の時代に必要な能力」
一見、ゲームのように見えつつも、しっかりと今の時代に必要な能力が問われる試験問題だ。このような“凝った”試験問題を出す狙いとは?
「徹底的に受験対策をして臨む家庭が増えている中で、できるだけ『素の子どもの様子』を見られるよう、各学校が工夫を凝らしています。単なる暗記では太刀打ちできない、その場で子ども自身が考え、どう伝えるかを通して、思考力・表現力・育った環境が自然に見えてきます。
また、コロナ禍以降は特に『行動観察』という協調性やコミュニケーション力を見る課題の比重が高まっています。近年は外遊びのほか、友達と一緒に遊ばない子が増えていますが、そうした中で、友達とのうまい関わり合いができる子どもが求められています」
受験合格を目指すために、家庭で求められる教育とは
こうした試験問題を受け、小学校受験合格を目指す家庭では、どんな教育が求められているのか。
「知識や技術の詰め込みではなく、日々の生活の中で育まれる『思考力』『表現力』『共感力』が重視されます。近年は小学校受験対策が過熱しており、親が子どもにはじめからやり方も答えも与えてしまう家庭が増えています。しかし子どもには本来『なぜ?どうして?』と自ら深く考える力があり、その芽を伸ばすことが大切です。
例えば料理の中にも季節を知り、段取りを学び、人の気持ちを思いやるチャンスがあります。そうした日常生活の中での学びを丁寧に行い、親子一緒にその学びのプロセスを楽しめる家庭で育った子は、主体的に学ぶ姿勢が身についており、やはり受験でも強いと感じます。お子さんの『なぜ?どうして?』を引き出してあげましょう」
面白い試験問題は、暗記では測れない日頃の学びの習慣が見透かされる、親にとってはドキッとするような問題ばかり。もし受験対策を始めるなら、まずは試験問題の意味を考えてみるのも有意義といえそうだ。
取材・文/石原亜香利