
今年の春の行楽シーズン、ゴールデンウイークに高速道路を使ったロングドライブに出掛ける人も多いと思う。そこで、高速道路を走るロングドライブをより快適に、より低燃費で走る方法を伝授したい。
ゴールデンウイークのドライブを快適に楽しむ方法とは?
その方法が、すでに使い慣れているドライバーにとっては釈迦に説法だが、先進運転支援機能のひとつ、ACC(アダプティブクルーズコントロール)を使うこと。今では軽自動車にも採用されているACCとは、高速走行でペダル操作から解放され、ロングドライブや渋滞で威力を発揮してくれる機能で、高速道路の走行中、設定した速度を上限に一定の速度で走行してくれるだけでなく、前車がいれば追従し、前車が車速を落とせば自動でこちらも追従(減速)する加減速をクルマが行い、カーブをスムーズにトレース(ステアリングの支援)してくれる機能もあるため、運転にかかわるストレスが低減するのだ。これは長時間、長距離の運転ほど、威力を発揮してくれると言っていい。
しかも、加減速をクルマに任せることで、下手にアクセル、ブレーキを踏む運転よりずっとスムーズに走ることが可能。つまり快適で車酔いしにくい走行になりうるのだ。
ACCはゴールデンウイークのドライブにつきものの渋滞にも効果絶大!!
ACCは渋滞追従型も増え、渋滞時に自車が停止(保持)したあとも、一定の時間内なら自動再発進してくれるから便利この上ない。自動再発進機能がなくても、あるいは停止保持時間をすぎても、アクセルペダルをチョンと軽く踏めば、ACC機能が復帰してくれるのだ(停止保持時間は自動車メーカー、車種によって異なる。国産車の場合、約3秒~約30秒と差がある)。行楽シーズン、ゴールデンウイークのドライブにつきものの渋滞時でもこれなら疲れにくい。
また、高速道路の渋滞の原因となる、知らず知らずのうちに起こる速度低下を防いでくれる効能もある。つまり、目視的には平たん路に見えても、じつは緩い上り坂になっていて、自然に速度が低下してしまうことがある。そんな場所には標識で「速度低下に注意」、「この先上り坂」、「速度回復願います」などの案内があるものの、意味をよく理解していなければ、自然と速度が落ちてしまい、それが渋滞を招く原因のひとつになったりする。が、ACCを例えば80km/hにセットしておけば、上り坂だろうと、下り坂であろうと、ACCが80km/hをずーっと保つように走行してくれるため、気が付かないうちに速度低下することはなく、全体的な交通の流れに悪影響を及ぼさずに済むことになる。
もちろん、前車との距離を一定に保つこともスムーズな交通の流れに寄与し、さらに前車に近づきすぎることもないから、あおり運転と勘違いされることもなくなるというわけだ。
すでにACCを駆使して高速走行をしている人はともかく、ACCをまだ使っていないドライバーも、事前の機能認知、ACC走行慣れは必要ながら、高速走行ではACCをぜひとも活用してほしい。そのスイッチはほとんどの場合、ステアリングの左右のどちらかにある(国産車は右、輸入車は左が多い)。
さらに、JAFのユーザーテストでも明らかにされたように、ACCを使って走ると高速燃費が向上する可能性もある。そのテストでは、同車種のハイブリッドミニバンで新東名高速道路のテスト区間(東名高速道路御殿場IC~新東名高速道路新城IC間の約162km走行)を100km/hで走行したとき、ACC不使用時の実燃費は19.1km/L。ACC使用時は20.7km/Lの実燃費となったというデータがある。燃費面でACC=コンピュータによるアクセル、ブレーキ操作を行った走行に軍配が上がったというわけだ。もっとも、同区間でもっとも燃費が良かったのはACC使用で80km/h走行だったというデータもあり、速度増による燃費低下が見られた事実も併せて報告されている。なお、同区間をACCで80km/hにセットして走った時と、100km/hで走った時の所要時間差は約15分だったそうだ。一方、新東名高速道路の120km/h制限区間でACCを使い、120km/hで走った時の所要時間は100km/hで走った時より約28分速かったそうだが、当然、燃費は17.1km/Lに悪化。所要時間か燃費(ガソリン代)のどちらを優先するかは人それぞれ、状況にもよるが、いずれにしてもACCが高速走行で威力を発揮し、低燃費で走ることが可能で、ドライバーの運転ストレス低減、乗員の快適性にも効果的と言えるだろう。目的地に到着したときのドライバーの疲れ具合がまるで違うことにもなりそうなのである。
ただし、ACCはあくまでドライバーの”運転支援”でしかなく、自動運転ではない。各機能の能力に限界があるため、機能を過信することなく、周囲の状況に気を配り、安全運転を心がけ、ドライブを楽しんでいただきたい。
文/青山尚暉 モータージャーナリスト
写真/雪岡直樹 青山尚暉