
劇場版『名探偵コナン』シリーズでは、作品の舞台となった場所への〝聖地巡礼〟がファンの間ではおなじみとなっている。最新の劇場版では長野県が舞台。人気の〝長野県警組〟にもフォーカスが当たる本作の魅力を重原克也監督に聞いた。
2025年は新作の舞台・長野への〝巡礼者〟が増えること必至!
〝聖地〟への興味関心を高める魅力的な作品づくりへのこだわり
重原克也監督
富山県出身。劇場版『名探偵コナン』シリーズでは『~ゼロの執行人』(2018年)、『~紺青の拳』(2019年)、『~黒鉄の魚影』(2023年)で演出を担当。監督は今回が初。
4月18日に公開された劇場版『名探偵コナン 隻眼(せきがん)の残像(フラッシュバック)』は、雪深い長野県で繰り広げられる〝ホワイトアウトミステリー〟だ。作品のファンの間では〝長野県警組〟と呼ばれる大和敢助・上原由衣・諸伏高明の3名が劇場版でフォーカスされる。そのことは劇場版において初めてのこと。その経緯について、重原監督は次のように話す。
「青山剛昌先生と初めて打ち合わせをした時に『今回は長野県警をメインにしたい』という言葉をいただきました。同時に『舞台は長野』『派手なアクションやラブコメも欲しい』『雪崩は欠かせない』という話をしながら、物語づくりが進んでいったことを覚えています」
作品のファンが長年待ち望んでいた「大和警部が隻眼になった事故」を掘り下げるのも、青山先生直々のオーダーだった。
「原作では『ある事件を追ってる最中に雪崩に遭って左目と左足を負傷して』と簡単に語られていた大和の過去ですが、青山先生に原作の該当シーンを見せられて『このエピソードを劇場版で描きましょう』と言われたんです。正直、かなりの難題でしたが、原作をよく読み直すとヒントが隠されていて『この傷跡は銃弾だろう』『なぜ雪崩が起こったのか』と考えていくうちに物語がつながり、今回のストーリーが完成していきました」
当然、入念なロケハンも重原監督自ら長野県に足を運んで行なわれている。現地取材では改めて長野の壮大さに驚かされたという。
「今回の劇場版では、雪山を中心に雪崩、山、崖など多くの自然が登場します。野辺山や佐久平といった長野の実景を使用しているシーンもあれば、実はヨーロッパの山々を参考に描写したシーンもあります。そのようにしたのは、実際に足を運んでみると、長野には海外の大自然にも通じる壮大さを肌身で感じられるからなのです」
しかしながらアクションシーンの肝となる雪崩だけは、自分の目で取材することはできないため、監督ならではのこだわりとチャレンジで巧みに表現したそうだ。
「自然描写の迫力については、アニメ映像では実写映像に絶対にかないません。そこで、雪崩を表現するのに当たり、実写映像を参考に雪崩を表現しつつも、そこにキャラクターの心情を絡めることで、その過酷さや恐怖を感じさせる、自然災害を描写しました」
今回のメインビジュアルではパラボラアンテナが描かれており、そのモデルを『国立天文台野辺山宇宙電波観測所』だと推測したファンが、すでに現地を訪れている。そんな人に対し、重原監督は〝ある挑戦状〟を突き付けた(!?)
「〝とあるシーン〟では、ブラジルのレンソイス・マラニャンセス国立公園がモデルになっています。それはどのシーンなのか楽しみにしていただきつつ〝我こそは〟と思う人は足を運んでください」
劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』
公開中 配給/東宝
劇場版『名探偵コナン』シリーズ28作目。コナン、小五郎と、大和敢助をはじめとする長野県警組のほか、人気キャラクターの安室透(降谷零)も登場。重原監督いわく「シリアスな展開と大人の男の魅力を詰め込んだ」そうだ。
劇場版を観る前に知っておきたい主な登場人物
探偵
江戸川(えどがわ) コナン
本作では小五郎とともに事件に遭遇し、長野へ行くことに。正体はバレていないものの、長野県警の大和警部や諸伏警部には「頭の切れる子ども」として一目置かれている。
毛利 小五郎(もうり こごろう)
私立探偵。旧知の仲である元同僚の通称〝ワニ〟から連絡を受けたことを機に事件に遭遇。刑事時代も迷推理を披露することも。拳銃の腕前は本物で、数々の伝説を残す。
長野県警
大和 敢助(やまと かんすけ)
長野県警捜査一課の警部で本作のキーパーソン。上原由衣とは幼なじみ、諸伏高明とは小学生からの同級生でライバル。とある事件の捜査中に雪崩に巻き込まれて左目と左足を負傷した。
上原 由衣(うえはら ゆい)
長野県警の刑事。大和警部に好意を抱くも、彼が雪崩事故で行方不明になったことを機に退職、結婚をする。夫が亡くなり刑事に復帰した。昔から大和警部のことを「敢ちゃん」と呼ぶ。
諸伏 高明(もろぶし たかあき)
東都大学法学部を主席で卒業するもノンキャリアで長野県警に入った変わり者の警部。あだ名は「コウメイ」。中国の故事成語を好み、よく口にしている。弟の景光は降谷零の同期。
警察庁/警視庁
安室 透(あむろ とおる)
公安警察。本名は降谷零。安室透として喫茶ポアロで働く私立探偵の顔と、黒ずくめの組織のバーボンとしての顔を持つ男だ。
風見 裕也(かざみ ゆうや)
警視庁公安部に所属する降谷の部下。降谷やコナンからの無理難題にもしっかりと応える優秀な仕事人で、降谷からも信頼されている。
重原監督オススメ!長野に行きたくなるMovie Highlights
★舞台は「長野の壮大な山々」
★観測施設は「国立天文台野辺山宇宙電波観測所」がモデル
★少年探偵団が食べている長野名物「おやき」
「長野にまつわるエピソードの中でも、特に少年探偵団が〝おやき〟を食べるシーンに注目。それぞれの具材が違います。誰が何味を食べているのか予想してみてください」(重原監督)
取材・文/峯 亮佑 編集/田尻健二郎 ©2025 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
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編集者、声優、地方自治体、コラボ企業に聞くコナン人気の深層とは!?
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