「名探偵コナン」のファンはどんな人？他の作品とは異なるコナンの特異性

2025.05.02

毎年、映画の公開に合わせてのイベントはもちろん、カードやオンラインゲーム、アパレルに雑貨、通信教育など、多岐にわたってのコラボレーションが展開されている『名探偵コナン』。人気の秘密はどこにあるのか？　博報堂DYグループのコンテンツビジネスラボに取材した。

『名探偵コナン』ファンって、どんな人？

　博報堂DYグループのコンテンツビジネスラボでは「コンテンツファン消費行動調査」を約10年前から毎年のように行なっている。

「アニメ、マンガ、ゲームといった11ジャンルのコンテンツを対象とし、どれだけ時間を費やし、どれほど支出をしているのかを、約1万人に対して聞いています」

　そう話すのは、同ラボのメンバーである後皓介（うしろこうすけ）さん。同調査で対象とするのは、500～600作品ほど。有料・無料を問わず作品に触れさせる「リーチ力」、有料サービスの利用やグッズの購入を促す「支出喚起力」などを算出。2024年は『名探偵コナン』の「リーチ力」が9位、「支出喚起力」が19位にランクインした。

「後者でいえば、約107億円の支出喚起力を持つという結果が出ました。『名探偵コナン』に対し、1年間に何らかの支出をしたのは約160万人と見ています。また『約7割が女性』『10～30代の年齢層が多い』という、珍しい結果も出ました。その人たちが利用する主なインターネットサービスには「LINE NEWS」「TVer」「Instagramストーリーズ」が上位に挙がったのも特徴のひとつ。ほかの漫画やアニメの作品を好む層では上位に挙がらない、一般的なインターネットサービスばかり。『名探偵コナン』がコアなアニメファンとは異なる層から支持されていることがわかりました」

　支出先の内訳も『名探偵コナン』のファンは個性的だとか。

「複数回答可で質問したうち『映画館での視聴』を挙げたのは約42％。『キャラクターグッズなど関連商品の購入』は約37％。『作品と他企業とのタイアップの商品』は約26.1％という結果に。映画館での視聴がこれだけ多く挙げられたのは珍しく、そのことが近年における興行収入の大幅アップにつながっているのかもしれません」

　また、支出先のカテゴリーとして、聖地巡礼が含まれる「リアルイベント」の項目は約88.3％、展示会をはじめとする「レジャー」という項目が約58.2％。これら「リアルイベント」と「レジャー」について高い数字が出ているのも『名探偵コナン』の特徴のようだ。

「同時に視聴するアニメとしては『SPY ×FAMILY』『鬼滅の刃』『【推しの子】』が挙げられたものの、ほかの漫画・アニメ作品に興味を広げる傾向が強くありません。ある意味〝浮気をせず〟に『名探偵コナン』に支出する人が多いことも、大きな経済効果を生む背景にあるのではないでしょうか」

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