このサイズらしからぬ後席居住空間を確保
パッケージングは見事だ。1610mmの車幅だけに、横方向に余裕はないが(乗車定員4名)、後席前後160mmスライド機構によって、後席の居住空間は身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で頭上に150mm(ラウンジの電動サンルーフ付き車)、膝周りに150mm(後席スライド前端)~265mm!!(後席スライド後端)という、後席でもゆったりできるこのサイズらしからぬ後席居住空間が確保されているのだ。ちなみに後席膝周り空間はアウトランダーが250mm、ホンダZR-Vが245mmだから、いかに広いかが分かるだろう。シートはリクライニングでき、フロアは完全フラットで、前席下の足入れスペースもあるから、5ナンバーサイズのミニマム&スモールサイズの域を超えたリラックス度がある(サンルーフ付き車の頭上方向と乗り心地は別にして)。
ラゲッジルームも使いやすい。実測で開口部地上高770mm、フロアへの段差70mm。奥行470~630mm(後席スライド位置による)、最小幅960mm。最低天井高740mm。後席を倒し、パネルでフラット化したときの最大荷室フロア長は1210mmに達する。前席までフラット化(全席フォールディング)すれば、車中泊も可能なベッドスペースが出現する点にも注目だ。しかも、床下全体が大容量のサブトランクスペースになっているのだから、荷物の積載性は文句なしと言っていい。
装備類も充実している。SIM搭載のため、10.25インチナビは関連プログラムが5年間無線通信アップデート可能で、前席頭上にSOSコールも完備。上級のアイオニック5と同じステアリングにはインタラクティブピクセルライトを備え、ドライブモード(エコ、ノーマル、スポーツ、スノー)のほか、パドルシフトが回生ブレーキコントロールとなっていて、右パドル1秒長押しによる回生AUTOモードも装備。これは一般道での前車追従~停止までもっていけるACCに近い機能を有するから便利すぎる(前車の急ブレーキなどでは機能が働かないこともあるので注意)。
ウインカーを出したときに、左右のメーターがブラインドスポットモニター化するのも、ほかに見られない先進運転支援機能で、レーンチェンジ、とくに左折時の巻き込み事故を防ぐのに効果的。ウインカーを左に出せば左側のメーター、ウインカーを右に出せば右側のメーターに、後方の死角になりやすい部分の画像が表示されるのである!!
さらに「ラウンジ」グレードには合皮のシートとそれぞれ2段階に調整できるシートヒーター、および、高級車にしか装備されないシートベンチレーション機能(エアコンの冷気を吸い取り、背中や腰回りを涼しくしてくれる機能)、電動スライドサンルーフまで標準装備されるのだから驚きだ。
電動車ならではの装備としては、全グレードにUSBソケット(A/C)はもちろん、AC100V 1360Wのアクセサリーコンセント(1500Wではない)を装備しているところも注目点で、車内外V2L(ビーグル・トゥ・ロード)が可能になり、アウトドアや災害時、停電時に威力を発揮。クルマが大容量の電源になるというわけだ。