2025年4月、新しい制度である出生後休業支援給付が施行された。本記事では、制度の概要や申請の方法、よくある質問に関して解説し、出産や育児に関するその他の給付金についても紹介する。
目次
2025年4月より、子育て中の親をサポートする制度である出生後休業支援給付が施行となったが、給付の対象者や申請方法、支給額などがわからない方も多いはずだ。
この記事では、出生後休業支援給付の概要や、申請方法について詳しく解説する。また、制度に関してよくある質問も回答する。
就業中の出産や育児に関するその他の給付金も紹介するため、参考にしてほしい。
出生後休業支援給付の概要
出生後休業支援給付は、政府が掲げる「共働き・共育て」をサポートする制度の一つ。概要は、母親の産後8週の間に父親が育休を取ると、既存の育児休業給付金に上乗せして給付が受けられる制度だ。
収入が減ることを懸念して育休取得を諦めている男性が多いことを受け、収入減を補填するために新設された。周囲のサポートが特に必要となる、母親の産後8週の間に男性が収入源を心配することなく育休を取得し、育児に参加できる環境をつくることが目的だ。
まずは、出生後休業支援給付の支給要件や支給額について解説する。
■支給要件
出生後休業支援給付は、被保険者が次の二つの要件を満たした場合に支給される。
- 被保険者が、対象期間に14日以上の育休(産後パパ育休も含む)を取得する
- 被保険者の配偶者が、産後休業後8週間以内に14日以上の育休を取得する
つまり、子の母親も父親も育休を取得しており、就業していないことが要件だ。ただし、配偶者が無業の場合など例外もある。(例外のケースに関しては後述する)
■支給額
出生後休業支援給付の支給額は、次の計算方法で算出する。
「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%」
既存の育休では最大で休業前賃金の67%の給付金が支給されるため、出生後休業支援給付の13%が上乗せされ、最大で休業前賃金の80%が支給される。
■支給対象期間
出生後休業支援給付の対象となる期間は、被保険者が父親と母親のどちらであるか、さらに子の出生日や出産予定日などの条件により異なる。ただし、どの場合においても支給日数は最大28日だ。
被保険者が父親の場合
多くの場合は被保険者が父親となる。支給対象となるのは「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から、「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間。
例えば、出産予定日が8月1日で子が8月5日に生まれたケースの場合。出産予定日の8月1日から、出生日(8月5日)から起算して8週間経過する日の翌日、9月30日までの間が対象期間となる。
出産予定日が8月1日で子が7月30日に生まれた場合、対象期間は7月30日から、出産予定日(8月1日)から起算して8週間経過する日の翌日、9月26日までの間になる。
被保険者が母親の場合
被保険者が母親である際には、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して16週間を経過する日の翌日」までが、支給対象期間となる。
出生後休業支援給付金の申請方法
出生後休業支援給付は、基本的に出生時育児休業給付金、または育児休業給付金の支給申請と同時に行う。原則、被保険者を雇用している事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークに申請書等を提出する。
取得する育休によって提出する書類が異なり、子の出生日を確認できる書類など被保険者で準備が必要なものもあるため、事前に確認しておこう。
ここでは、出生後休業支援給付の申請方法について詳しく解説する。
■出生時育児休業給付金と同時に申請する場合
産後パパ育休を取得し、出生時育児休業給付金と併せて申請する際には、以下の二点を提出する。
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書
また、添付書類として以下の二点も必要だ。
- 産後パパ育休を開始・終了した日、賃金の額と支払状況を証明できるもの(賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、育児休業申出書、育児休業取扱通知書など)
- 育児の事実、出産予定日及び出生日を確認することができるもの(母子健康手帳、住民票、医師の診断書など)
■育児休業給付金と同時に申請する場合(初回)
初めて育児休業給付金と同時に出生後休業支援給付金を申請する際、提出する書類は次の通り。
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書
なお、添付書類は、産後パパ育休と同様に先述の①と②の両方。該当する場合のみ、③出生後休業支援給付金の支給要件を満たしていることが確認できる書類も必要。
■2回目以降の育児休業給付金と同時に申請する場合
育児休業を分割して取得し、2回目以降の育児休業給付金と同時に申請するときには、提出書類は「育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」のみ、添付書類も①のみとなる。
出生後休業支援給付に関してよくある質問
新しく始まったばかりの制度なこともあり、支給の対象者や支給額について疑問を持つ人も多い。ここからは、出生後休業支援給付に関するよくある質問について回答する。
■手取り10割とはどういうこと?
出生後休業支援給付により、育休中でも手取りが10割になると話題になっている。これは、本来の育休の給付金と、出生後休業支援給付金の総支給額が休業前賃金の80%となることで、通常の賃金から社会保険料などを差し引いた手取り額と同等になるためだ。
「共働き・共育て」には男性の積極的な育児参加が不可欠だが、育休取得により収入が減ることは、やはり不安を感じざるを得ないだろう。出生後休業支援給付により、育休中の給付金を手取り額に近づけることで不安を解消し、男性の育休取得促進を目指している。
■配偶者が専業主婦でも給付の対象になる?
原則として、給付対象となる本人と配偶者がともに育休を取得することが条件だ。しかし、例外も存在しており、配偶者が専業主婦の場合でも給付対象になる。
以下の場合には、配偶者の育児休業を要件としない。
- 配偶者がいない
- 配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
- 被保険者が配偶者から暴力を受け別居中
- 配偶者が無業者
- 配偶者が自営業やフリーランスなど雇用される労働者でない
- 配偶者が産後休業中
- 1~6以外の理由で配偶者が育児休業をすることができない
出生後休業支援給付以外にもある!就業中の出産や育児に関する給付金一覧

「共働き・共育て」実現のため、就業中の出産や育児に関してはさまざまな給付金制度がある。新設された制度も含め、就業中の出産や育児に関わる給付金を紹介する。
■出産育児一時金
出産育児一時金は、健康保険の加入者が出産した際に一定の金額が給付される制度だ。1994年に創設され、2025年現在の支給額は1児につき原則50万円。健康保険の加入者が対象のため、就業の有無は問わない。
(出典:厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について」)
■出産手当金
出産手当金は、被保険者の産前・産後休業中に健康保険から支給される。対象期間は、出産の日(予定日後の出産になった際は出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から、出産の翌日以後56日目までの範囲内で、支給額は賃金の3分の2相当額。
出産手当金は、会社の健康保険や公務員等の共済組合の被保険者本人が対象となるため、母親が就業している必要がある。
(出典:全国健康保険協会「出産手当金について」)
■出生時育児休業給付金
出生時育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合に支給される。対象期間は、子の出生日から8週間を経過する日の翌日までとなり、4週間(28日)以内の産後パパ育休取得が対象。
出生時育児休業給付金は、2022年から施行されている比較的新しい制度だ。なお、産後パパ育休は2回まで分割して取得可能。
(出典:厚生労働省「出生時育児休業給付金」)
■育児休業給付金
育児休業給付金は、育休中の給付金として広く知られているといえるだろう。1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した際に支給される給付金で、母親も父親も要件を満たせば支給対象となる。原則として休業開始時の賃金月額の67%が支給されるが、育児休業の開始から6か月経過後の支給額は50%になる。
(出典:厚生労働省「育児休業等給付について」)
■【2025年新設】出生後休業支援給付金
本記事のテーマである出生後休業支援給付は、2025年4月に新設された。父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内に、両親ともに14日以上の育児休業を取得した際に支給される。最大支給日数は28日。
(出典:厚生労働省「2025年4月から「出生後休業支援給付金 」を創設します」)
■【2025年新設】育児時短就業給付金
育児時短就業給付金も2025年4月に新設された制度で、2歳未満の子の育児のために時短勤務をする被保険者が支給の対象となる。支給額は、原則として育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当。ただし、育児時短就業開始時の賃金水準を超えないように調整される。
(出典:厚生労働省「2025年4月から「育児時短就業給付金」を創設します」)
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部







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