小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

スタバ併設で22時まで営業!?三井住友銀行が「銀行のラウンジ化」に取り組む理由

2025.04.22

「銀行」とは何だろうか?

これは業務の内容を指した疑問ではなく、我々の意識の中で銀行はどのような位置付けにあるものなのかを指した疑問である。銀行とは、多くの人にとっては「堅苦しい場所」ではないか。

なぜ、我々がそのようなイメージを持っているのかは分かりかねる。しかし、現実問題銀行とは仕事をサボってフラフラと足を運ぶような場所ではない。銀行は喫茶店ではないのだ。

……が、三井住友銀行のOlive LOUNGEはまさに「銀行が生活の一部になる」ことを目指している。

「銀行=役場」のイメージを払拭

東京には既に数店舗が設けられているOlive LOUNGE。

4月7日、大阪府大阪市の船場地区にOlive LOUNGEの関西地方初店舗となる『Olive LOUNGE船場』がオープンした。今回、筆者はそれに先駆けて開催された記者発表会に足を運んだ。

静岡県静岡市在住の筆者にとっては、Olive LOUNGEは恐ろしく斬新な施設である。ここが銀行だって?そんなまさか!

表にはスターバックスの看板が掲げられているし、2階は『SHARE LOUNGE』という名の飲食提供店舗になっている。午後3時になっても、この施設自体が閉まる様子はない。やはりここが銀行とは思えない!

「澤田さん、“銀行”とはどういうイメージですか?」

筆者にそう問いかけたのは、三井住友銀行リテールIT戦略部の米本滉貴氏である。

「イメージですか?そうですね、どちらかといえば市区町村の役場の窓口のような……」

「その通りです。銀行をそのようなイメージで捉えているお客様は少なくなく、それもあって特にパンデミック以後は実店舗への客足が遠のくようになってしまいました」

COVID-19のパンデミックは、あらゆる分野でのデジタル化を促した。その反面、実店舗へ赴く利用者が減ったまま元に戻らないという現象も見受けられる。

銀行であれば尚更で、我々は銀行といえば「15時で閉まってしまう」という印象を抱いている。仕事帰りに寄るところでは決してないし、気まぐれにふらりと入れるところでもない。

Olive LOUNGEも15時で銀行業務が閉まるが、店舗そのものは22時まで営業する。スタバと一体化している1階の銀行ラウンジには、シャッターというものがない。これに起因する店内の開放感は、未熟な筆者の筆では完全に書き表せないほどだ。

金融セミナーも実施

筆者がこのOlive LOUNGE船場に関して特に評価したいのが、金融に関するセミナーを受講するためのスペースが設けられているという点だ。

利用者は、ここで投資についての基礎的な知識を学べるという。

日本では2022年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた。それまでは「未成年」とされた人でも金融商品や不動産、自動車などの契約に臨めるといったメリットが発生する一方、金融リテラシーを身につけないまま無謀な契約を結んでしまう可能性も考えられる。

いや、「考えられる」どころではない。実際に18歳、19歳の消費トラブルは増加傾向にあり、何と19歳で自己破産したという例も。最近ではディープフェイク技術の発展により、有名経済アナリストの名を語る投資詐欺も横行している。「絶対に儲かる投資セミナー」といったオンラインサロンにも注意が必要だ。

そうした詐欺行為に対抗するためには、金融機関が「正しい金融知識」を啓蒙しなければならない。Olive LOUNGE船場には、それを実施するための場が用意されているのだ。

ここは「ギルド」だ!

さて、そんなOlive LOUNGE船場の2階は、上述の通りSHARE LOUNGEという施設が入っている。

ここは「酒も飲めるコワーキングスペース」と形容すべきか。何と、1,540円/1時間の飲み放題コースがある。ソフトドリンクプランは、1日利用で3,850円。複数人で利用できるボックス席や、仕事に集中したい時に利用できる半個室ブースも備えられている。毎日利用するにはかなり高い料金設定だが、たとえば「大事な会談のために1日利用する」といったような用途はまさに最適だ。

銀行を利用でき、会談場としてもちょうどよく、ちょっとした食事もできるしアルコールも飲める。ここは異世界ファンタジーものによく出てくる「ギルド」のような場所である。

「日本経済の中心地」だった船場

RPGや異世界アニメにありがちなギルドは、考えてみればよくできた施設である。

そこには商人や銀行員が常駐し、声をかけて大事なお金を預けることができる。コルク製の掲示板には仕事の依頼やパーティーメンバーの募集要項が貼られている。かと思えば、ギルドの施設自体が飲食店になっていて、ダンジョン攻略から戻ってきたばかりのパーティーが腹ごしらえをしている―—。

そのようなギルドが、2020年代の大阪船場に存在するというのは一体何を意味するのだろうか。

船場は日本経済にとってはボールベアリングのような役割を果たした場所だった。我々現代人が「江戸時代」と呼んでいる時代区分は、実質的には大坂(大阪)が列島の経済を動かしていた。そして大坂商人とは、イコール船場商人と言ってもいいだろう。

船場にOlive LOUNGEが設けられたことは、至って自然な流れである。そしてこれは、かつての船場商人を現代に復活させ、大阪を再び「商業の中心地」にするための取り組みのひとつと考えることができるのだ。

「人間同士の対面」を実現させる場所

「パンデミックは時計の針を10年進めた」と言ったテクノロジーライターがいる。パンデミックのおかげでビデオ通話プラットフォームやクラウドサービス、キャッシュレス決済、オンラインバンキングが急速に発達し、本来なら2030年代まで実現し得なかったはずのことが2020年代に現実の一景色となってしまった。筆者自身、その進化の勢いを全身で感じている。

ただし、実体経済とは最終的には「人間同士の対面」を経て初めて形になる。

船場に登場した「ギルド」は、日本経済にとっての新たなステージをはっきりと見据えているようだ。

文/澤田真一

何度試しても決済できない!?便利なクレカタッチ決済に潜む「落とし穴」

普及するタッチ決済対応クレジットカード。海外では「Tap」と呼ばれる方式だが、実はこれには落とし穴もある。 それは、「タッチ決済は少額決済のための手段」という点...

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年4月16日(水) 発売

DIME最新号は、「名探偵コナン 熱狂の舞台裏」。長野県警全面協力!劇場版最新作の舞台の新聖地とは?長野県警トリオ〟をあしらったトリプルジッパーバッグの付録付!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。