
日常的にアレヤコレヤとお世話になっているユニクロ。そのユニクロに「RE.UNIQLO STUDIO」なるサービスがあるのをご存じだろうか。それはユニクロ服のリペア、リメイクのことだが、いまこのサービスがアツイ! というわけで編集部はその実施店舗「ユニクロ 世田谷千歳台店」を取材したぞ!
国内では16店舗、世界的には22の国と地域、59店舗で展開
「「RE.UNIQLO STUDIO」誕生のきっかけは2021年にドイツの店舗で行っていた服のリペアやアップサイクルを行うワークショップです。それがサービスとして他の地域に広まり、2022年に初の「RE.UNIQLO STUDIO」がロンドンにオープンしました」。
と語るのはユニクロのサステナビリティ マーケティングチームの若井康一郎さんだ。
ユニクロのサステナビリティチームの若井康一郎さんと、ユニクロ 世田谷千歳台店RE.UNIQLO STUDIOスタッフの千葉菜保子さん。
国内では16店舗、世界的には22の国と地域、59店舗で展開しているというから、すでに「実験段階」ではなく、正式サービスのひとつといっていい。
ユニクロ 世田谷千歳台店「RE.UNIQLO STUDIO」全景
サービスの内容は<リペア>なら穴修理、ほつれ、ボタン付けなどが主なメニューとしてあり、価格は穴修理で500円からとなっている。きっかけがリペアやアップサイクルの促進だっただけあり、サービスの基本スタンスとしては「一着の服をできるだけ長く着てもらうことで服の廃棄削減を目指す」一助となることだ。色柄も気に入っている、履き心地もよい、でもうっかりひっかけてカギ裂きを作ってしまった、といった場合、「もう捨てるしかないか」を、「RE.UNIQLO STUDIOでリペアすればもっと着れるよね!」に発想を変えよう、というわけだ。
というわけで、記者は膝に穴が開いてしまった5歳の娘のジーパンを持参し、リペアを願うことに。
手順としてはスタジオスタッフと「どんなふうに直すか」を相談する。たとえば今回の「穴あき」の場合、穴あき修理が目立たないようリペアするか、否か。敢えて当て布とするならどんな色柄にするか、縫い糸の色はどうするか、縫い方はどうするか、などを決めてゆく。案外、現場で判断する項目が多いので、事前に考えておいた方がスムーズだ。
今回は着用時にストレスのかかる膝部分ということもあり、刺し子パッチをあてることに。刺し子とは幾何学模様などを施した日本の伝統的な刺しゅう技法のことで、国内のRE.UNIQLO STUDIOの中でも3店舗のみで実施している特別なサービスだ。この模様も複数から選べる。
またこのパッチの切れ端を折り返して処理するか、ラフにほぐれるようにするかなど選択項目が続く。もちろん「目立たないように穴あきを直したい」なら手順はよりシンプルだ。
刺し子によるリペアはなんと手縫いなのです! 今ドキできる人の方が少ない!?
修理には数日かかるので再来店による手渡しが基本だが、混雑状況によって日数は変動する。余裕をもってサービスを楽しんでほしい。
刺しゅうサービスがブレイク!
また本記事タイトルで【RE.UNIQLO STUDIOがアツイ!】と書いたが、実は、リペアと同時に実施されているリメイクの利用者が増えているのだ。
リメイクは「直す」というより「カスタム」で、特にブレイクしているのが刺しゅうサービスだ。刺しゅうテンプレートは文字も含めて約100種類を用意。ひと手間かけた服には愛着が増すから、結果として長く、大切に着る気持ちが強まるという理屈だ。子供服に名前やワンポイントを刺しゅうしたり、ユニクロで作業服を調達している企業であれば社名や社員名を入れるなどの活用も進んでいるという。一点一点刺しゅうするため、小ロットに対応できるのが強みなのだ。
ユニクロ、古着もやってるってよ!
ところで、今回訪問したユニクロ 世田谷千歳台店は「RE.UNIQLO STUDIO」実施店舗の中でもちょっと異色の店舗と言っていい。その理由は、ミシンや刺しゅう機の並ぶスタジオの横に「ユニクロ古着プロジェクト」売り場が併設されていること。
世田谷千歳台店の「RE.UNIQLO STUDIO」に併設される「ユニクロ古着プロジェクト」の売り場全景。
「ユニクロ古着プロジェクト」もユニクロが進めるサステナビリティ活動の一貫だ。古着は全店舗に設置されているRE.UNIQLO 回収BOXなどから集められ、その多くは難民支援やリサイクル素材として活用されているが、一部、状態は良いのにニーズに叶わない(季節的な要因やサイズ等)ものなどを中心に古着として販売されている。これは実施店舗が世田谷千歳台店に加え、群馬と福岡のみなので、多くの人はご存じない取り組みだろう。
古着として再販売するにあたってクリーニングするのはもちろんだが、染め直しをして販売当時とはまた違った魅力が引き出されていたり、ユニクロのオールドタグに出会えるなどのマニアックな喜びも! 実施店舗は限られるが、ぜひ足をお運びでいただきたいところだ。
ユニクロジーンズも古着なら歴代のバージョンが並ぶ。トップボタンにこんな種類があったとは!
染め直したスウェット。木綿部分は染まるがポリエステルの糸は染まらないため、写真のような「古着プロジェクト」商品ならではの個性が出る。
おそらく1990年代後半コーデュロイシャツ。UNIQLOタグが今では見ないレアモノだ。
服屋が服を大切にするなんて当り前のようだが、案外当り前ではなかったのかも知れないのが服飾業界の「着る~飽きたら捨てる~トレンドの服を買う」というビジネスモデル。しかし「その服、ぜんぜん着られるよね!」。
リペア善し、リメイク善し、古着もまた善し。こだわり派の@DIME読者のみなさんから、令和時代の服のサステナスタイルをとことん楽しんでみてはいかがだろうか!
愛娘の愛着ジーパンが超愛着ジーパンに! 今回のリペア代は2000円でした(※ 刺し子サービスは柄や面積によって代金が変動します)。
取材・文/前田賢紀