
LIXILは、世界初(※1)となるロールスクリーン状の屋内設置型太陽光発電設備「PV(太陽光発電)ロールスクリーンシステム」の受注を2025年6月から開始すると発表した。なお、「PVロールスクリーンシステム」は、LIXILリニューアルを通じ、公共施設および法人向けに関東エリアで展開を開始し、順次展開エリアを拡大する予定としている。
従来のロールスクリーン機能である遮光性やプライバシー保護に加えて、発電や給電機能を装備
「PVロールスクリーンシステム」は、従来のロールスクリーン機能である遮光性やプライバシー保護に加えて、発電や給電機能を備えた、ロールスクリーン状の屋内設置型太陽光発電設備。断熱性能の向上やコールドドラフトの抑制効果による快適性も得られ、「省エネ」と「創エネ」により脱炭素化とレジリエンスの強化が期待されている。
ビルの外壁や窓面に設置される建材一体型太陽光発電設設備(以下BIPV※2)のように、常時窓面の発電部により視界を遮られることがなく、開閉動作により必要な時に視界を確保することができる。また、本システムを全閉することにより既存窓との間に中空層が設けられ(簡易ダブルスキン化)、断熱性能の向上による省エネ効果が見込める。さらに、新築、既築ビルの窓の室内側から少ない手間(電気工事レス)で後付け設置とメンテナンスが可能となり、BIPVの設置が難しいとされる既築ビルでの低炭素化を促進する。
LIXILは、2022年・23年にNEDO助成事業(課題設定型産業技術開発費助成事業)の支援を受け、脱炭素社会の実現に貢献できる新しい技術のひとつとして、この「PVロールスクリーンシステム」を開発。日本政府が目指す2050年カーボンニュートラルの実現に向け、ZEB化が推進されているなか、特に既築ビルにおける太陽光発電設備の導入においては、設置スペースが限られていることや配線の取り廻しが煩雑であることおよび入居者への工事期間中に負担がかかることなど、大きな課題があった。
そのような課題に対応すべくLIXILでは、窓の室内側に容易に後付け設置できる「PVロールスクリーンシステム」を開発。2024年3月には福岡県宗像市と協定を結び、宗像市内の施設3か所で実証実験を行なったほか、同社施設での検証を行ない、製品化に向けた準備を進めてきた。
そして「PVロールスクリーンシステム」を発表して以降、多くのステークホルダーから導入や製品化の要望があったことから、今回「PVロールスクリーンシステム」の普及・利用促進に向け、マンションやビル・施設の改修を手掛けるLIXILリニューアルにて受注を開始する運びとなったという。
■「PVロールスクリーンシステム」の特長
配線レスで発電や給電機能(USB Type C⦅15W-60W対応⦆),DCジャック)などを兼ね備えているほか、窓の室内側から容易に後付け(設置)できるロールスクリーン状の太陽光発電設備。高い施工性やメンテナンス性を持ちながら、視界の自由度とプライバシーの両立、デザイン性に配慮している。
また、夏場は独自構造採用により、日差しを遮ることで隙間からの眩しさや暑さを軽減し、冬場は断熱性が約2倍に向上(※3)するなど、窓まわり全体の価値向上を実現している。
なお、「PVロールスクリーンシステム」1枚あたり最大スマホ9台、またはPC3台分を1日で発電可能で(※4)、日常使いのほか災害時のレジリエンス強化にも貢献する。
■概要図
※PVセルには薄膜シリコンを使用している。
■展開仕様
ファブリック仕様とスケルトン仕様の2種類を展開する。
左から、ファブリック仕様(拡大)、スケルトン仕様(拡大)、ファブリック仕様(全体)
※1 LIXIL調べ。2025年4月14日時点。直接給電できる機能を備えたロールスクリーン状の太陽光発電設備として
※2 BIPV:建材一体型太陽光発電(Building Integrated Photovoltaics)
※3 既存の単板ガラスにPVロールスクリーンシステムを後付けした場合
※4 実測値(千葉市、南向き、屋内側垂直面設置、3月における1日あたりの平均値)から最大値を試算、季節や設置環境及び機器により変動する。
関連情報
https://www.lixil-renewal.co.jp/
構成/立原尚子