
ソニーは、小型の産業用カメラXCシリーズの開発で培った小型化技術やレンズの光学技術など、同社の様々な技術や知見を活用した高い測距性能と、世界最小・最軽量(※1)の筐体を両立するLiDAR(ライダー)デプスセンサー『AS-DT1』を開発。2026春より発売を開始する。
※1 屋外晴天下で10m以上の測距レンジを持つ3D LiDARとして(モジュールを除く)。2025年4月時点。ソニー調べ。
『AS-DT1』の概要
本機は、計測精度や距離分解能(※3)、測距レンジにおいて高い性能を発揮する「Direct Time of Flight(dToF)方式(※4)」のLiDARデプスセンサーだ。
SPAD(Single Photon Avalanche Diode)(※5)センサーを組み込んだ独自開発のdToF測距モジュールを採用しており、距離の計測に複数の測距点を用いることで、縦、横、奥行の3次元での距離を正確に測定することができる。
Direct Time of Flight方式の原理
また、『AS-DT1』は他の測距方式では検知が難しい、低コントラストの被写体や反射率の低い被写体までの距離測定にも対応。このため、人や什器といったさまざまな対象物が想定される店舗などの環境においても、正確に距離を測定することが可能だ。
このように対象物までの距離を屋内外問わず正確に測定できることに加え、小型軽量かつ、金属製の堅牢な筐体を実現しているため、飲食店の配膳ロボットや倉庫の自律走行搬送ロボット、点検や調査で活用されるドローンといったさまざまな機器に組み込むことで、活用の範囲が広がることも期待される。
※3 複数の対象物の微小な距離の違いを認識する能力。
※4 被写体へ照射した光が反射して戻って来るまでの時間を測定することで距離を算出する測距方式。
※5 入射した1つの光子(フォトン)から、雪崩(アバランシェ)のように電子を増幅させる「アバランシェ増倍」を利用することで高感度を実現する電子素子(ダイオード)。
『AS-DT1』の主な特徴
■1:高い測距精度と距離分解能
SPADセンサーを組み込んだ、独自開発のdToF測距モジュールを採用することで、高い測距精度と距離分解能(※3)を実現している。10mの距離からの計測で、屋内外ともに±5cm(※6)の誤差で測距が可能だ。
また、dToF方式以外の測距方式では難しい、さまざまな対象物までの距離を正確に測定することもできる。
低コントラストの被写体や反射率の低い被写体、宙に浮いた対象物なども正確に測距可能なため、多様な対象物が混在する店舗や倉庫などの環境で使用されるロボットへの組み込みにも対応する。
※6 数値は暫定数値であり、最終仕様と異なる場合があります。
■2:長い測距レンジ
屋内で40m、真夏の晴天の屋外(10万ルクス想定)で20m(※6)の遠距離からでも正確な測距が行なえる。屋外でも遠距離から正確な測距が可能なため、橋梁や高速道路、ダムといった、人が近づ区ことが困難な対象物の測距にも活用できる。
■3:小型軽量かつ堅牢な筐体
幅29×高さ29×奥行き31mm(突起部除く)、質量50gの世界最小・最軽量(※1)を実現。筐体にはアルミニウム合金を採用することで、軽量化と堅牢性を両立した。
デプスセンサーを組み込めるスペースが限られた自律移動ロボットや、重量が飛行距離に影響を与えるドローンなど、さまざまな機器に組み込みやすい筐体設計と言える。
■コンセプトムービーはこちらから
関連情報
https://www.sony.co.jp/Products/ISP/products/model/as/AS-DT1.html
構成/清水眞希