
日常を送っていると、深くリラックスしたり自分を見つめなおしたりする時間を忘れてしまう。そんな時、リラックスやストレス発散のために音楽を聴いたりライブに行ったりする人も多いだろう。もし、こうした音楽を聴くことができる空間で、瞑想やヨガ、茶道などの体験ができたら――、深いリラックスや自身の内面との共鳴を感じ、ウェルビーイングな時間を過ごすことができるかもしれない。
DJ・LISA MIZUNO主宰 五感を研ぎ澄ます音楽イベント『Resonance』
アーティストでDJのLisa Mizunoが主宰する音楽イベント『Resonance』が、4月27日に埼玉・川口市の大泉工場で開催される。
『Resonance』は、“音楽を通じて心と身体の調和を探求する場”。Resonance(共振・共鳴)という言葉が表すように、エレクトロニックミュージックやアンビエントミュージック(※環境音楽/静かな音響の変化を基調に、特定の空間に雰囲気を添える音楽)を中心に、アーティストたちが生み出すサウンドが空間と共鳴する。音楽だけでなく、ヨガや瞑想、茶道などのウェルネスやアート要素を取り入れ、五感を研ぎ澄ませる多次元的な体験を提供する。音楽とウェルネス、そして精神的な共鳴を体感することができるイベントとして、過去に5度開催されている。
これまで、東京のアンダーグラウンドシーンで都内のクラブやライブスペースで展開してきた『Resonance』。今回は場所を大泉工場へ移し、新たなステージへと進化する。大泉工場は創業100年を超える企業。各種機械器具の製品製造販売の他、コールドプレスジュースなどのJUICE事業、日本初のオーガニックコンブチャを手がけるKOMBUCHA事業など、食料品や飲料品などの販売も行っている。「地球を笑顔で満たす」をミッションに、「素敵な環境を創造する」ことをビジョンに掲げており、腸内のミクロな環境から、衣・食・住・遊・働といった生活環境、さらには大自然というマクロな環境まで、「あらゆる環境をより良く創造すること」を目指している。
都内から約30分という好アクセスの大泉工場には、工場として使われていたWARE HOUSE(倉庫)やSecret Garden(庭園)、昭和13年から現存する石造りの洋館や、約80年前に建築された日本家屋など、美しく広々とした空間が広がる。そんな大泉工場を舞台に開催されるのが『Resonance』だ。
今回は『Resonance』を手がけるLISAさんに、『Resonance』の魅力や見どころ、自身の音楽やウェルネスに対する考え方などを聞いた。
共鳴や“ゾーンに入る”経験「自分が体感した感覚を皆さんにも同じように提供できたら」
モデルとして活動してきたLISAさんは、幼い頃からダンスミュージックやロック、ヒップホップなどに親しんできた。その後、アンダーグラウンド音楽やエレクトロニックミュージックを楽しむ中、2022年の27歳の時に、沖縄で開催された音楽イベント『Agaitida(アガイティーダ/※沖縄の方言で“陽が昇る”を意味する)』に参加したことから、音楽を通して“繫がる”・“調和する”・“共鳴する”といった感覚を体感。その後、山波言太郎氏の著書『音楽進化論:音楽で人は進化する』を読んだことから、音楽が人々の身体や精神に与える影響に興味を持つように。
波言太郎氏の『音楽進化論:音楽で人は進化する』に影響を受けたLISAさん
「音楽を通して何が出来るか」を考えた際、自身もDJとして音楽とともに“共鳴”を届けることを目指した。未経験からDJに挑戦し、スペイン・バルセロナや中国・北京など、海外でも活躍。テクノやサイケデリック、エレクトロニック、アンビエントなどをベースに、“意識”に働きかける音楽を提供している。
――4月27日に開催される『Resonance』について教えてください。どのような音楽イベントでしょうか。
LISA MIZUNOさん(以下、LISA)「人からの会話で生まれる共鳴や、音から生まれる共鳴もそうですが、“そのような力”にすごく魅了されてきました。これまでの体験から、『そのようなモノで世界が成り立っている』とすごく感じていたので、イベントには『Resonance』という名前を付けました。
自分がDJやイベント、フェスティバルで遊んで来た中で、自分の自信のなさだったり、幼少期からのトラウマだったりを、自分なりに解消してきた自覚がありました。その気づきを通して、(そういった悩みやトラウマを持っている人の)お手伝いができるプラットフォームを作れたらいいなと思って、『Resonance』を始めました。
日本のアンダーグラウンドのパーティーシーンって、全然有名じゃないんですよね、やっぱりダンスミュージックの世界は、ヨーロッパや海外がすごく有名です。実は日本でもすごく盛り上がっているし、野外イベントもあるのですが、あんまり知られていない。そのアンダーグラウンドのシーンをもっと広めていくために、『Resonance』を立ち上げました。アンダーグラウンド音楽やダンスミュージックと、ヨガや茶道や瞑想を取り入れています」
――音楽にヨガや瞑想、茶道などのウェルネス要素を取り入れたのはなぜですか。
LISA「今まで、私自身はあまりウェルネスというモノの感覚を感じないで生きて来ました。でも振り返った時に、『私の生き方って、音楽を通したウェルネスだな』と感じて。周りのお友達に瞑想や茶道をやっている方がいて、今そのようなモノは『ウェルネス』と言われているけど、元々私の身近にあったモノだった。そういったモノを純粋に広めたいと思いました。実際に、瞑想や茶道を経験した上でDJをした時の感覚が、すごく“ゾーン”に入りやすかったので、自分が体感した感覚を皆さんにも同じように提供できたらいいなと思い、今回こういうイベントになりました」
大泉工場のもとで「ウェルネスやウェルビーイングというものを吸収してみたい」
――大泉工場を会場に選んだ理由も教えてください。
LISA「今まで私の生活は、ウェルビーイングやウェルネスを意識してきたものではありませんでした。DJという特殊な仕事で、夜のお仕事がほとんど。タバコやお酒はたまたま自分の体質的に合わないのでしてこなかったですが、それでもウェルネスとは遠いところにいました。
でも、ここ最近本当に初めてそういうワードを聞いて、私の妹も『エシカル』をテーマにSNSで発信していて、そのような暮らしをしている人が自分の周りにいることに気づき始めました。そこから、『エシカルとは何だ』『ウェルネスって何だ』『ウェルビーイングって何だろう』と興味を持ち始めて、まだまだそこに関しては全くといっていいほど知識がないんですよね。
そんな中で大泉工場さんと出会って、大泉工場さんは、今まで工場として先代がやってきた物からガラッと変えて、コンブチャなどのフード面だったり、環境だったり、ミクロからマクロの世界まで『人間の健康のあり方を考える経営理念』のもとでやっていらっしゃる。私にとっては、個人として何かお勉強の場というか、そのような視点を持って活動されている企業の考えや意識を吸収したいという思いもあります。
あとは純粋に、やっぱり場所が素晴らしい。先代が築き上げてきた場所で、下見をした時に『素晴らしい場所だな。いつかここでできたらいいな』と思っていました。ご近所の小学校の子どもたちと桜の木を一緒に植える活動もされていて、素晴らしい活動をしてらっしゃるなと心の底から思っていました。1人の人間として尊敬できる方たちの元で、自分のレベルを上げてみたい。人間力の面でウェルネスやウェルビーイングというものを吸収してみたい。そう思って、大泉工場さんを選びました」
『Resonance』が目指すのは内省「“生きていく術”を感じて、気づいて帰ってもらえたら」
――今回の『Resonance』のラインナップを教えてください。
LISA「今回のタイムテーブルは、DJのKento Morishigeさんのアンビエントから始まって、その後、ヨガを組み込んでいます。ヨガで体を柔らかくリラックスさせて、動かしやすい状態に持っていきます。その後、Kenji AzumaさんとAyane Ohnoさんのアンビエントミュージックで癒され、その後に瞑想とお茶を日本家屋でやる。私もDJをしますが、『4つ打ちの音楽を聴いたら、もうゾーンに入れますよ』という、そういう流れを設計しています」
――ヨガや瞑想、茶道などもLISAさんが担当するのですか。
LISA「すべて私が1からコーディネートしていますが、ヨガや茶道、瞑想の部分は外部のプロの方にお願いしています。音楽も流しっぱなしではなく、DJタイムがあったり、薄く流れている部分もあったり、でも瞑想の時は流さない。そこは普段の(瞑想の)やり方などに合わせています」
――夜までさまざまなプログラムがありますね。
LISA「夕方からのWARE HOUSE(倉庫)タイムでは、Sogen Handa君がアートインスタレーションやライティングを行います。彼はそのような人間の機能的なアプローチをしている子なので、そこに向けたアプローチをするインスタレーションと、オーディオビジュアルライブのセットを組んでいます。流れとしては、夜が更けて行くごとに少し深めの音楽にしていく。その中で、瞑想だったりヨガだったり茶道で、(深めの音楽に向けて)整えて行くみたいな感じです」
――このイベントを通してどういったことを感じてほしいですか。
LISA「音楽やDJをやってきた中で感じる重要なところって、“グルーブ”だなと。その流れやスムーズさは、DJをしている時間の中で、人がひとつも思考を巡らせないで『今ある感覚に委ねさせる』ことができる。そこがすごいことですし、大事だと思います。『感覚に委ねること』に集中できるような音楽体験にするために、DJ のラインナップやライブパフォーマンスを設定しています。アンビエントでリラックスしたり、溶け込むような感じを体験したり、自分の持っている感覚を全て解放させるような音楽だったり。
私がやっているような4つ打ちのテクノ音楽を通して、また別の解放や、意識をそこに集中させていくことができれば」
『Resonance』で溶け込む感覚や解放する感覚を体験してほしいと語る
――『Coachella』や『Glastonbury』など、メジャー音楽の世界でもフェスはたくさんありますが、テンションを上げていくようなものが主流だと思います。『Resonance』が目指しているのはどういうものでしょうか。
LISA「いわゆるフェスとか音楽って、何か『テンション上げていく』みたいイメージで、そういうシーンも多い。もちろん純粋に音楽は楽しんでほしいですが、『Resonance』はどちらかというと内省的なものにしたい。意識や自分の中の何か1点に集中させる行為に近いかなと思います。
今回、実は障害者手帳を持ってらっしゃる方は無料にしています。なぜかというと、もちろん『身体的な障害を持ってらっしゃる方も来やすくて、遊ぶことができるプラットフォームでありたい』というのもそうですが、最近は精神面での障害がある方も多い。その方々へのアプローチもしていける場になったらいいなというのがあります。“癒しの場”として純粋に 存在して、そこで何か更に気づきがあって、この世界を生きて行く上で何か勇気を持つことができたり、自分に自信がついたりするといいなと。
私のイベントを通して、この世の中に対してもう少し楽な視線を持って、『人間力』という面で“生きていく術”を感じて、気づいて帰ってもらえたらすごくうれしいです」
音楽や瞑想、ヨガ、茶道体験を通して、精神的に共鳴する感覚を味わえる『Resonance』。日常から解き放たれ、ウェルビーイングを体感できる時間を味わえるかもしれない。
取材・文/コティマム 撮影/五十嵐美弥
◎『Resonance』イベント情報◎
開催日時:4月27日(日)10時~22時
場所:大泉工場(332-0004 埼玉県川口市領家5丁目4番1)
https://www.oks-j.com
都内から車で30分程(チケット購入者のみ駐車場あり)
※最寄り駅
電車 : 埼玉高速鉄道「川口元郷駅」より徒歩25分
バス :
SR川口元郷駅下車後、バス停留所「エルザタワー」より 赤23 国際興業バス乗車8分
JR赤羽駅東口 赤23 国際興業バス乗車12分
JR川口駅東口 川21 国際興業バス乗車13分
「梛木の橋」バス停留所下車徒歩3分
○出演アーティスト
Ayane Ohno
ISA (Berlin)
Kaoru Inoue
Kenji Azuma
Kento Morishige
LISA MIZUNO
Notte Infinita (Berlin)
Shhhhh
Sogen Handa (live,Installation Art)
Sound: Meta audio funktion-one EVO
Art direction: RGB
○講師
Akira Nagasawa (茶道)
ARISA (Yoga)
Atsuko Satori(瞑想)
PARISA (瞑想)
Tyaerbi Epoche(茶道)
Yuri Nakajima (Yoga)
○料金/Ticket (下記の価格にZaiko販売手数料が発生します。)
『Resonance』インスタグラムページURLに記載。
https://resonance.zaiko.io/e/resonance2025
前売り6000円
U25割 5500円
U23割 4800円
(身分証、学生証要提示)
当日 8000円
アフター5 4500円
ワークショップ3つ参加券4000円 ※数量限定
(全てのセッション最大3枠選択可能)
※当日ワークショップに参加したい場合は受け付けにて空きがあるかご確認ください。(当日価格にて案内)
※障害者手帳提示 無料(ワークショップどれでも参加可能)
※6歳以下のお子様は保護者同伴に限り無料でご入場頂けます。
駐車場 1000円 ※数量限定販売