
第一興商(だいいちこうしょう)といえば、カラオケ店「ビッグエコー」のイメージで、株主優待はカラオケ店でも使えるものの、“あるコーヒー店でも”利用できます。同じように、「庄や」や「大庄水産」など居酒屋を展開する大庄の株主優待は、“あるパン屋でも”使用可能。
そう考えると、「この株主優待はこれで使える」と知ることで、駆使して楽しめるようになるわけです。
※株価は2025年4月11日時点
意外性のある使いみちで目指せ「株主優待マスター」!
例1:第一興商(7458)(株価1,713.5円、200株での投資額34万2,700円)
まずは、第一興商(だいいちこうしょう)。200株保有していると、半期で5,000円分(500円券10枚)、年間で1万円分がもらえます。権利月は9月、3月。この株主優待券は、カラオケハウスの「ビッグエコー」で使えます。
ただし、カラオケをあまり利用しない人でも大丈夫。第一興商が運営する飲食店、DKダイニングのお店で利用でき、個室居酒屋の「ウメコの家」や「じぶんどき」、「楽蔵」といったお店でも使えます。使える店舗のひとつには「銀座珈琲店 銀座数寄屋橋店」もあり、平日頼めるメニューには、ナポリタンやグラタン、サンドイッチのランチセットもありました。ちょっとした休憩時間にも利用できるので、外勤の多いビジネスマンにとっても嬉しいのではないでしょうか。
例2:大庄(9979)(株価1,106円、最低投資額11万600円)
居酒屋の「庄や」、「日本海庄や」を展開する大庄も、意外な使い方ができます。「庄や」では新鮮な刺身を使った定食を味わえることでも有名ですが、この大庄の株主優待券はデニッシュパンで有名な「MIYABI」でも利用でき、パンを買う時に株主優待券を使えます。
この「MIYABI」、モーニングタイムサービスセットがあり、写真はコンチネンタル(税込830円※筆者調べ)。看板メニューのデニッシュは、プレーンのほか、ショコラやオレンジ、メープルなどからも選べました。洋風サラダや和風サラダとセットになったモーニング、目玉焼きがついたサニーサイドアップorターンオーバーのセットも同価格、税込830円で注文できます。
株主優待は100株で500円券6枚、3,000円分(年6,000円分)。権利月は8月、2月の年2回。株主優待券が1枚あたり500円なので、端数330円で味わえるわけです。気合いを入れて朝食を取っておきたい日に活躍しそうです。
例3:木曽路(8160)(株価2,235円、最低投資額22万3,500円)
木曽路は、しゃぶしゃぶや日本料理を味わえるお店ですが、木曽路が運営する他店舗でも株主優待券が使えます。写真は、焼肉店の「くいどん」。他に、から揚げの「からしげ」でも使えました。
写真の「くいどん」では、焼肉食べ放題メニューもありますが、平日限定の3種類のお肉が食べられるコスパのよいセット「バリューランチセット」もあり、価格は税込1,000円(※筆者調べ)。仕事をしていると、お肉を食べて気合いを入れたい時もあるはずなので、そんな時に利用するのがおすすめです。
木曽路では、100株で半期1,600円、年間3,200円の優待券がもらえます。権利月は9月3月の年2回。木曽路ではしゃぶしゃぶを注文すると、お昼でも金額は3,000円を超えてしまうため、100株ホルダーだと支払い額が多くなってしまうものです。支払い額が少なくなり、複数回利用できるこのようなテクニックも考えてみてほしいところです。
例4:トリドールホールディングス(3397)(株価4,150円、最低投資額41万5,000円)
トリドールホールディングスといえばうどんの「丸亀製麺」が有名ですが、ハワイ料理を楽しめる「コナズ珈琲」でも株主優待が使えます。写真映えする「ストロベリー&バナナホイップパンケーキ」は家族でとりわけてイベントみたいにして楽しむのもあり。大きなハンバーガーを味わえば、日本にいながらつかの間のハワイ気分……。
トリドールホールディングスの株主優待は優待カードがもらえ、2回目以降は保有カードにチャージされます。権利月は9月、3月。
100株で3,000円相当(年間6,000円)、200株では4,000円相当(年間8,000円)。また、1年以上継続して200株以上保有していると追加で3,000円分(年間6,000円分)のチャージがあるため、200株保有、長期保有だと年間1万4,000円分がチャージされるというわけです。
このトリドールでは、コッペパンに、から揚げや焼肉などさまざまな具材を挟んで提供する「焼きたてコッペ製パン」でも利用できます。
例5:すかいらーくホールディングス(3197)(株価2,971円、最低投資額29万7,100円)
すかいらーくホールディングスといえば、ガストやバーミヤンを思い浮かべる人が多いかもしれません。
パンケーキなどのハワイアンフードが楽しめる「ラ・オハナ」でも株主優待券は利用でき、写真は「チーズバーガー」。たまには少年の気持ちに戻って、大きな口を開けてかぶりつきたい──。そんなハンバーガーを食べる時にも株主優待が使えます。
このすかいらーくホールディングスの株主優待は、2024年12月度の株主優待から「資さんうどん」でも使えるようになったことでも有名です。
株主優待の権利月は6月と12月。100株は2,000円分、300株は5,000円分の株主優待カードといったように株数に応じてもらえる株主優待カードの額面は増えていきます。
使うときの注意点
株主優待を使う上で、注意点があり、紹介したお店は、東京都内や大阪府内など大都市圏に集中しがちという特徴があります。もし、地方在住だと、行けるお店が限られてしまう場合もあるわけです。例えば、トリドールホールディングスの「コナズ珈琲」は全国47店舗、「焼きたてコッペ製パン」に至っては東京都と千葉県に合計4店舗のみ。
ただ、地方在住者であっても、「遠征」をして旅行に組み込み、いわゆる推し活をするように旅行ついでに珍しいお店を楽しむのも楽しいものではないでしょうか。実際、優待族(優待を楽しむ人々)には旅行時などにその土地のお店を利用して楽しんでいる人もいます。
もちろん、東京都内在住者などは、お店を利用しやすい環境下にいるわけで、企業の主力店舗とは違うお店にも果敢に挑戦しやすいメリットがあります。
鉄道会社の株で観光ができる例も
愛知県在住の筆者が楽しんだ過去の例を紹介しましょう。
少し前、愛知県犬山市にある「博物館明治村」に行った時、株主優待を利用して入場料金が割引になった例があります。この時は、名古屋鉄道(9048)の株主優待を使いました。名古屋鉄道の株主優待は、3月と9月に権利月があり、うち、3月に200株を保有すると、電車線株主招待乗車証4枚のほか明治村の入村料が1,250円に割引になる券もついています。
通常の入村料は高校生1,500円、大人2,500円なので、1人あたり250円~1,250円の割引となります。名古屋鉄道の株主優待では、同じく200株保有でリトルワールドや南知多ビーチランド・南知多おもちゃ王国の入場招待券6枚ももらえ、雑貨店のオンセブンデイズの10%割引券5枚ももらえます。他にも割引券があり、優待内容は書ききれないほど。
名古屋鉄道は東海地方の私鉄のイメージを持っている人も多いはずですが、株主優待ではレジャーまでもがお得になるので、「私鉄の株主優待を使ってレジャー費用を節約し家族サービスできる」のです。
また、三重交通グループホールディングス(3232)の株主優待では、100株保有で三重交通・名阪近鉄バスの乗車券2枚のほか、雑貨や文房具も揃う「ハンズ」で5%割引になるお買物優待カードがもらえます。三重交通グループホールディングスの株主優待が使える店舗は、名古屋店、名古屋モゾ ワンダーシティ店、名古屋松坂屋店、桑名店に限られるものの、提示するだけで5%割引になります。
株主優待を深く理解すると、「この時のお買物ではこの株主優待を出せばお得に商品が買える」など知識が広がり、外食費やレジャー費などの削減につながっていきます。
文/谷口久美子