
2025年3月24日から、マイナポータルでパスポートの申請ができるようになった。
少し前まで、パスポートの申請というのは「一大作業」だった。何しろ、申請窓口に2度も足を運ばなければならない。普段真っ当に働いている人に、そのような時間があるのだろうか?
また、筆者の知っている限りパスポートの申請にかかる手数料はキャッシュレス化が立ち遅れている分野だった。国の収入印紙と都道府県の収入証紙の両方を購入しなければならず、普段クレカを使っている人にとってはかなり骨が折れる部分と言わざるを得なかった。が、申請のオンライン化によりそのあたりが大きく改善されようとしている。
この記事では「マイナポータルを使ったパスポート申請の方法」を解説しつつ、手間だった作業がどれだけ効率化・簡略化されたかを見ていきたいと思う。
パスポートの新規申請から紛失届出まで可能!
マイナポータルは、少しずつだがその機能を充実させている。
パスポート関連の手続きをマイナポータルで行う場合、マイナンバーカードの読み取りに対応するカードリーダーを接続したPCか、やはりカードの読み取りができるスマートフォンを使う。署名用電子証明書のパスワード(英数字混在の6文字以上)、利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)の入力も必要だ。
マイナポータルでできる手続きは「新規申請」「切替申請」「記載事項変更」「紛失届出」。驚くべきことに、パスポートを紛失した際の届出もオンラインでできるようになっているのだ。ただし、これらの申請を行ったとしてもパスポートの受け取りなどに必ず一度は窓口へ赴かなければならない点にも注意が必要である。
このパスポート受け取りは、もちろん居住の市区町村によって窓口が異なる。が、便利なことにマイナポータルには受け取り窓口を指定する機能も備わっているのだ。北海道だろうと沖縄だろうと東京だろうと静岡だろうと、マイナポータルを使ってパスポートの申請ができる。数年前までは夢のまた夢とも思えた光景が、いよいよ現実となったのだ。
顔写真もスマホ撮影でOK!
さて、パスポートといえば顔写真と自署を届けなければならないものである。
実はこれらも、マイナポータルを使って手軽に届け出ることができるのだ。
顔写真は、スマホを使えばマイナポータルアプリでそれを撮影・アップロードするボタンが現れる。ガイドの枠に輪郭を合わせて自撮りするというものだが、これはかなり難しいだろう。なぜなら、背景は影のない白でなければならないからだ。となると、自室で撮影する際は白いシーツを背後に張らなければならないということか。これはちょっと面倒だ……。
■面倒な写真撮影のコツ
そういう場合は、背景を白く加工するアプリを使って自撮り写真を加工し、それをマイナポータルアプリにアップロードするという手段を選ぶことができる。
その他、パスポートに使用できる写真は以下のような条件が課せられている。
・正面を向いて撮影されたもの
・申請日から6ヶ月以内に撮影されたもの。
・縁なしのもの
・脱帽しているもの
・眼鏡、カラーコンタクトレンズを装着していないもの
・髪が顔面にかかっていないもの
このように写真のアップロードは若干手間のかかる部分ではあるが、それに比べたら自署の登録は非常に簡単だ。これも写真にとってアップロードする方式で、適当な白い紙にフルネームを書き、枠内に収まるよう写真撮影すればいい。これがパスポートのプロフィール欄に印刷されるのだ。
さよなら収入印紙
オンライン申請の審査が完了すると、次はパスポート交付日に関する通知がマイナポータルを通じて申請者に送られる。同時に、パスポート発行手数料の決済プラットフォームのURLが通知される仕組みだ。
ここでクレカを使って手数料を支払ってしまえば、わざわざ収入印紙など購入する必要はない。
これは行政の「脱収入印紙化」を如実に表している。2020年10月13日、当時行政改革担当相だった河野太郎氏が記者会見で「納税のキャッシュレス化」について言及した。その際、河野氏が同時に触れたのが収入印紙の存在である。これがキャッシュレス化を阻害している、ということは当時から言われていたのだ。
筆者の記憶では、これとまったく同じ時期に河野氏は「印鑑の廃止」に取り組んでいたはずだ。今でも賛否両論あるマイナンバーカードだが、これが印鑑と収入印紙という「行政のDX化」を阻んでいた二大巨壁をやすやすと乗り越えてしまったことは誰にも否定できないだろう。
収入印紙とは、もともと国が迅速な徴税を行うために発明されたもの。これを使えば手っ取り早い課税ができるため、結果的に「やり過ぎ」も起きたほどだ。アメリカ独立戦争の最大の原因は、イギリスがアメリカ植民地に絡むあらゆる物品に対して収入印紙の貼付を求めたからだ。
しかし、時代は大きく変わり収入印紙はその歴史的役割を終えようとしている。それよりもさらに利便性の高いキャッシュレス決済プラットフォームの登場により、我々はついに「オンラインでパスポートを申請する」という恩恵に恵まれるに至ったのだ。
【参考・画像】
04 国機関の手続に申請する – パスポート申請 – マイナポータル
文/澤田真一
「マイナ免許証」がスタート!運転免許証から切り替える方法は?
本日、3月24日から「マイナ免許証」が解禁される。 これはマイナンバーカードに運転免許証の情報が収録できることを意味し、希望によってはマイナンバーカードだけで自...