
過酷な環境に晒されているビジネスパーソンの悩みは深い。だが、日々の課題の中にこそ人生を豊かにするためのヒントが詰まっている。異色の経歴を持つVTuberが、最終回は連載初回と同様、担当編集からのお悩みに答えます!
連載終了への処方箋
かなえ先生の連載が今号で終了してしまいます。担当編集としては不甲斐ない気持ちというか、切ないです。 毎号良い原稿を執筆いただけていたと思っていたので、そのギャップがつらいのかも。どう折り合いをつければいいのでしょうか?
【 結論!】栄枯盛衰は世の理です。受け入れましょう
まずは読者の方へお礼を申し上げたいです
担当編集さんからのお悩みにある通り、今回をもって『DIME』での「教えてかなえ先生」の連載を終えることになりました。これまで支えてくださった皆様に心から感謝を申し上げます。読者の皆様のご声援やファンレターなどは執筆にあたり、私にとっては何よりも大きな励みになりました。本誌を通した皆さまとの交流は、私にとってかけがえのない宝物です。
DIME読者の皆様とは、これからもどこかでお会いできることを楽しみにしております。
これまでのご愛顧に感謝しつつ、新たな冒険へと歩み出して参ります。今後とも「犯罪学教室のかなえ先生」と『DIME』を応援よろしくお願いします。
さて、最後のお悩みがまさかの担当編集さんからのお悩みということで、これまで以上に全力でお悩みに向き合っていこうと思います。どうか最後までお付き合いくださいませ。
冷静なツッコミをすると、ショックなのは私の方だったり……
この小見出しは冗談ですよ(笑)。
雑誌の方針転換ということで連載中止を告げられた時は「いよいよか〜」と思った記憶があります。元々Webメディア『@DIME』での短期間のみの連載のつもりが1年ほど続き、気づいたら本誌で連載を持てるようになって今に至ります。Webを含めると3年近く執筆を続けていたわけですから、ライターとしてはかなり長生きさせてもらえたなと思っています。また、連載を続ける中で、本を2冊も出版できたのは良い思い出になりました。
正直な話をすると、さっきも説明しましたが、元々は3か月で終わるはずの企画だったのに3年も続き、本も出すことができました。両方とも重版しましたし、最初に出した本は発売前重版という偉業を達成できました。これからのクリエイター人生にも活きる良き経験になったと思います。
特に思い出として残っているのは、2024年2月に発売された『世の中の8割はどうでもいい。』の不買運動に巻き込まれたことでしょうか。ちょうど『セクシー田中さん』の件で世間が大騒ぎしている時と販売時期が重なってしまって起きたことになりますが、当時騒動に全く無関係な私の元にも「小学館から本を出すなんてけしからん」「予約をキャンセルしました」「なぜ小学館に抗議しない」「沈黙するな」などなど本当にたくさんのご意見が寄せられました。私からすると、作家にとって出版社は取引先のひとつでしかありません。出版社にとってもそうでしょう。そもそも「作者を守れ」から始まった抗議運動なのに私という作者の行動を制約するような行ないは方向が間違っているような気がしていて、静観していました。自分が騒動に巻き込まれて初めて炎上の怖さをこの身をもって知りました。
ここで私が言いたいのが愚痴や不満ではなく、良い思い出としての話です。実は炎上騒動後、事態を聞きつけた担当編集さんや編集長などからご連絡をいただき、とても真摯で丁寧な対応をしてもらい、ますますDIME編集部が好きになりました。同時に、普段皆様がどれくらい「創作」や「クリエイター」のことを考えてモノづくりに取り組んでおられるのかを知ることができ、またここから本を出したいなと思うようになりました。
今回お悩みを送ってくれた担当編集さんが感じている不甲斐なさやショックなどは、おそらく私が担当編集さんや編集部の皆様に対して抱いていた「リスペクト」を私に対してもってくれていたからだろうなと思います。違ったら恥ずかしいですけど(笑)。そのため、ショックはショックですが、ここで縁が切れるわけではなく、表に出てこなくなるだけで縁は続いていくはずですから、落ち着いたら三作目の相談とかできればと思っています。きっとこの記事を読んでくれている方も、期待をしてくれているでしょう。
今まで一番むずかしいお悩みかもしれません
さて、いよいよ最後ですね。
改めてお悩みを拝見して、本当にここまで大事にクリエイターのことを考えてくれる担当編集さんに使ってもらえてよかったと思いました。出会ったときは登録者2万人程度の底辺VTuberでしたが、今や同時接続者ランキング上位勢の常連になった登録者23万人のVTuberになりました。「DIMEの連載を読んだよ!」「美容院で読んで先生にハマった!」というコメントも少なからずいただけるようになった私は幸せ者ですし、本当に良い機会をたくさんいただけたと思っています。
それでは『DIME』を引き続き応援よろしくお願いします!
2022年5月号の初登場以来、大変お世話になりました。今後はWebメディア『@DIME』でニュースを斬っていただきます!(担当編集)
犯罪学教室のかなえ先生
元少年院の先生で、犯罪心理学や教育犯罪学の知見からニュースなどを解説するVTuber。近著に『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』。
©夢乃とわ SDイラスト/紀羅わたり