
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業が、メークの崩れを防ぐ新たな技術を発表した。これまでの概念とは異なり、肌環境に応じて汗を吸収、毛穴補正力がアップするベースメーク技術だという。
本稿では同社リリースをベースに、その概要をお伝えする。
ベースメークに関する悩みは主に「毛穴の目立ち」
季節や年代を問わず「毛穴の目立ち」は常に上位にあがる肌悩みだ。毛穴の悩みは、「朝きれいに仕上げたメークが崩れてしまう」といったベースメークの崩れとも関連がある。
崩れの主な原因は、汗の水分によってメークの膜が弱くなり、毛穴の部分に落ち込むなどして深いひび割れや穴が生じたり、汗に溶けて液状になったメーク膜が肌の上を流れ、表面に大きく不均一な凹凸(ヨレ)が生まれたりすることが挙げられる。
こうした状態になると、メーク膜は光をきれいに拡散できず、毛穴の影やくすみ、さらには皮脂浮きによるテカリが目立ってしまうのだ。
新たな着目ポイント: 汗を味方に
■どんなに汗をかいても崩れない、しなやかなメーク膜を作る
従来の化粧もち向上技術は、撥水性を高めることで汗をはじくか、粉体などの成分に汗を吸収させる手法が主流だった。しかし、汗の量は人それぞれであり、また夏場などは汗の多さに対応しきれず、キレイなベースメークの持続時間は極端に短くなってしまうのが実情だった。
そこで、同社ではメーク膜のしなやかさを保ったまま、膜そのものに汗を吸収して一体化させることができれば、ひび割れや流動を防ぎ、きれいな仕上がりが続くのではないかと考えたという。
さらに汗を取り込むことで膜表面の状態が整い光拡散性が向上する性質を持たせることも目指した。
同社では、これにより時間がたっても毛穴が目立たず、つるんと滑らかで崩れのない仕上がりが続くと説明している(図1)。
また同社では、様々な化粧品素材をテストし、膜のベースとなり汗を吸収し一体化できる素材(水とのなじみが非常に良く汗を抱え込む性質を有する) と、汗を取り込むことで膜の光拡散性を高める素材(表面を適度な滑らかさに整える性質を有する)を見出すことに成功。
これらを最適なバランスで組み合わせることで、ひび割れたり流れたりしにくく、しかも光拡散性に優れたベースメーク技術を確立した。またこのメーク膜は、汗を取り込むほど光を拡散する力が高まることが実験的に確かめられている(補足資料1)。
■8割以上が従来技術に比べて化粧持ちが良いと評価
肌に直接触れるメーク下地に本技術を活用し使用試験を行なうと、つるんと滑らかで毛穴が気にならない仕上がりが続くことが確認できたという。
また開発品と従来技術のメーク下地について専門評価者24名にアンケート調査を行なったところ、84%の評価者が毛穴や凹凸のない滑らかな肌になっていると判定した(補足資料2)。
補足資料
■1:汗の量とメーク膜の光拡散力の関係
本技術を用いたメーク品で膜を作り、汗をかいた状態を実践的に再現すると、汗の量が多いほど光拡散率が高くなることが確かめられた(図2)。これにより、汗によって毛穴補正効果が向上して、つるんと滑らかな仕上がりをキープできると考えられる。
■2:新技術を採用したメーク膜の化粧もち
メーク下地は、メーク膜の土台を形成することから、皮膚から分泌される汗を素早く吸収、メークへの影響を最小限に抑えるのに適していると考えられる。そこで本技術を活用したメーク下地で効果の検証が行なわれた。
その結果、従来技術を活用した比較対象に比べて、メークしてから時間が経過しても毛穴などの凹凸やくすみがほとんど目立たず、つるんと滑らかな仕上がりが続くことが確認できた(図3)。
さらに、新技術を活用した下地の毛穴補正効果に関する満足度調査では、84%の専門評価者が満足と判定しした(図4)。
関連情報
https://www.po-holdings.co.jp/index.html
構成/清水眞希