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ポーラ化成工業がタンパク質分解酵素の複合体「プロテアソーム」の働きが肌の透明感に関わる可能性を発見

2025.04.15

ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、タンパク質分解酵素の複合体である「プロテアソーム」の働きが肌の透明感に関わる可能性を発見した。

本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。

表皮細胞の働きは肌状態を大きく左右する

皮膚は表皮、真皮、皮下組織の三層構造となっているが、なかでも表面に位置する表皮は肌の水分保持やシミ・くすみなどの色調と深く関係しており、乾燥やシミ・くすみといった肌悩みの一因として、表皮細胞の働きの低下が関係していると考えられている。

■表皮細胞のプロテアソーム活性が低下するとメラニン色素の産生が過剰に

プロテアソームは、細胞の中で不要になったタンパク質を取り込み分解する酵素の複合体のこと(補足資料1)。プロテアソーム活性が低下すると細胞分裂をはじめとした細胞の基本的な働きが滞るなど、さまざまな悪影響を及ぼす。

ポーラ化成工業のこれまでの研究では、表皮細胞でプロテアソーム活性が低下すると、表皮自身の重要な働きである水分を保持する働きが弱ってしまうことがわかっていた(図1)。

一方、表皮細胞は表皮の下層にいる色素細胞(メラノサイト)に指令を与える因子を分泌する役割も担っている。しかし、これに対するプロテアソームの影響は解明されていなかった。

そこで本研究では、表皮細胞のプロテアソーム活性がメラノサイト刺激因子の産生に及ぼす影響を調べた。細胞実験の結果、表皮細胞でプロテアソーム活性が落ちるとアドレノメジュリン(ADM、補足資料2)というメラノサイト刺激因子の遺伝子発現が活発になることが判明した(補足資料3)。

実際にプロテアソーム活性が低下した表皮細胞の分泌物をメラノサイトに与えると、黒っぽくなり触手を伸ばす様子が観察された(図2)。

このことは、メラノサイトがメラニン色素を大量に作り、周りの細胞に受け渡す準備をしていることを示している。つまり表皮のプロテアソーム活性低下は、シミやくすみにも影響すると考えられる。

■皮膚三層のプロテアソーム活性が高ければ複数の肌悩みに同時にアプローチできる可能性 

本研究により、表皮におけるプロテアソームの重要性がますます高くなった。これまでの皮膚のプロテアソーム研究では、すでに真皮や皮下組織でもプロテアソーム活性低下が弾力低下やたるみなどの肌悩みにつながる可能性が示されている(図1)。

これらの知見を総合すると、表皮・真皮・皮下組織それぞれの細胞のプロテアソーム活性が高いと、シミやくすみをはじめさまざまな肌悩み改善へつながると期待される。

補足資料

■1:プロテアソームとは

プロテアソームは細胞の中に存在するタンパク質分解酵素複合体の一つ。不要になったタンパク質にユビキチンという目印が付くと、プロテアソームがユビキチンを認識してそのタンパク質を選択的に内部に取り込み、分解する(図3)。

タンパク質が分解されて生じるアミノ酸は生体内で再利用される(※1)。この働きが鈍り不要なタンパク質が溜まってしまうと、細胞増殖やタンパク質の産生など、細胞にとって基本的な働きが滞るなど、さまざまな悪影響を及ぼす。
※1 細胞内の不要なものを分解し再利用する機構として「オートファジー」の存在も知られている。オートファジーは原則として非選択的に起こり、タンパク質以外にミトコンドリアなどの細胞小器官も分解する。

ポーラ化成工業では、表皮細胞、真皮線維芽細胞、そして皮下組織の腱細胞のプロテアソーム活性を高める植物エキスを見出した(※2)。
※2 「プロテアソーム活性の低下が表皮、皮下組織の状態を悪化させることを発見 皮膚三層のプロテアソーム活性を高め、健やかな肌へ」(2024年3月13日)

■2:メラノサイト刺激因子アドレノメジュリン(ADM)

アドレノメジュリン(ADM)はもともと血圧に関わる作用を持つ因子として知られていたが、ポーラ化成工業の研究によりメラノサイトを刺激して、活性化させる作用も持つことが明らかになった(※3)。
※3 「遺伝子研究からシミの一因を発見 メラノサイト活性化因子ADMがメラニン産生量を増加させることを確認」 (2011年09月21日) 

皮膚ではADMは表皮細胞によって分泌される。ADMを受け取ったメラノサイトはメラニン色素を活発に産生して(図4)、表皮細胞にメラニンを受け渡すための触手の本数を増やす(図5)(※4)。本研究成果は化粧品技術の国際学会のポスター発表部門で最優秀賞を受賞している(※5)。
※4 「メラノサイト活性化因子ADMの新たな作用を発見するとともに ADMの作用を抑制するエキスを配合したルシノールCXを開発」 (2011年11月22日)
※5 「ポーラ化成工業 世界で唯一の国際的な化粧品技術専門学会 第27回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会でポスター賞を受賞」 (2012年10月19日)

■3:表皮細胞におけるプロテアソーム活性の低下による影響

表皮細胞において、プロテアソーム活性が低下すると、メラノサイト刺激因子ADMの遺伝子発現量が増加することが確認された(図6)。

これまでの研究により、表皮細胞のプロテアソーム活性が低下すると皮膚の乾燥につながる可能性が報告されていたが(図1)、新たに皮膚のシミやくすみにも影響している可能性が示唆された。

関連情報
https://www.po-holdings.co.jp/index.html

構成/清水眞希

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