
年収200万円の所得税はいくらか。所得税の計算方法と源泉徴収されている場合の確認の仕方、住民税との関係について、会社員と個人事業主の違いも解説しつつまとめた。
目次
一年間の合計所得に課される所得税は、所得の額によって税率が変わる。具体的な計算は複雑な上、会社員と個人事業主では所得の求め方が異なるが、考え方を知っておけば自分でざっくり計算することも可能だ。
本記事では、年収200万円の所得税や住民税の求め方について解説する。
年収200万円の所得税を計算する場合に知っておきたい「年収」「手取り」「所得」「収入」の違い
年収200万円の所得税を調べる際に押さえておきたいのが、「年収」「手取り」「所得」「収入」といった言葉の意味だ。
「年収」とは、一年間に自分の手元に入ってきた「収入」のこと。ただし、所得税はそこから様々な費用を控除した「所得(課税所得金額)」に対して発生する。そのため、特に「収入」と「所得」の違いを理解しておかないと混乱しやすい。
■年収200万円の所得税を調べる際の「収入」と「所得」の違い(会社員の場合)
会社員の場合は、給与の支給額(額面給与)が「収入」に該当する。この「収入」から社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料・雇用保険料・労災保険料)や住民税などを差し引いたものが「所得」だ。
多くの会社員は「所得」からさらに源泉徴収され、この時点で仮の所得税=源泉所得税を支払っている。源泉徴収まで終えた段階の最終的な金額が「手取り」となる。
■年収200万円の所得税を調べる際の「収入」と「所得」の違い(個人事業主の場合)
一方、個人事業主の「収入」は、事業で得た売上や報酬が該当する。収入から経費を差し引いた金額が個人事業主の「所得」だ。なお、個人事業主であっても原稿料や講演料といった一部の報酬は源泉徴収する決まりがあるため、源泉所得税が差し引かれた状態で支払われる。
個人事業主は会社員と異なり、社会保険料(個人事業主の場合は国民年金、国民健康保険など)の天引きを会社が代行しない。そのため、毎年2月から3月に自分で「確定申告」を行い、一年間の売上や経費、支払った社会保険料などを申告して所得と所得税額とを確定させる必要がある。
年収200万円の所得税は「所得」に所得税率をかけて求める
このように、同じ年収200万円でも会社員と個人事業主では所得税のベースとなる「所得」の求め方が異なる。どちらの所得も収入から控除される金額が人によって異なるため計算は非常に複雑だ。
税金額をざっくり知りたい場合は、40歳以下で扶養家族がいないケースでおおよそ年収の4~6%(所得税と住民税の合算)を支払うとイメージしておくとわかりやすいだろう(年収200万円であれば、200万円×0.04~0.06=年8万~12万円)。
以下では、会社員と個人事業主のそれぞれの所得が決まる仕組みと、求めた所得にかける所得税率について解説する。
■年収200万円の会社員の「所得」は年末調整で確定。個別に確定申告が必要なケースも
会社員の場合は、先述の通り、所得を計算する作業のほぼすべてを会社が代行している。
毎月の給与から社会保険料・住民税・源泉所得税が差し引かれているほか、毎年12月頃に年末調整を行い、社員一人ひとりのケースに応じて実際の所得を確定させる。
年末調整の際は、源泉徴収によって仮徴収した所得税を実際の所得に応じた税額に精算するほか、「基礎控除」や「給与所得控除」、扶養家族がいる場合の「扶養控除」「配偶者控除」、自分で生命保険料や地震保険料・iDeCoの掛金などを支払っている場合の「生命保険料控除」「地震保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」などを適用して所得額を確定する。
所得税の再計算と各種控除の適用によって、あらかじめ天引きされていた源泉所得税が還付されるケースが多いはずだ。
※参考:
令和7年度保険料額表(令和7年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会
なお、年末調整で対応できない一部の収入や支出は、会社員であっても自分で確定申告をする必要がある。たとえば、一年間で10万円以上の医療費を支払った場合の「医療費控除」や、住宅ローンを借り入れた場合の「住宅ローン控除」などだ。これらは確定申告をすることで、所得税と翌年の住民税が減額される可能性が高い。
一方、投資や副業で年間20万円以上の所得(収入から経費を差し引いた利益)があった場合も確定申告をする必要がある。この場合は所得の増加に伴い、追加の納税必要になる可能性が高いだろう(無申告はペナルティ対象となる)。
■年収200万円の個人事業主の「所得」は確定申告で確定し、所得税を納付
個人事業主も先述のように毎年の確定申告で所得を確定させ、所得に応じた所得税を支払う。確定申告の際には、売上に加えて経費や国民年金保険料、国民健康保険料(自治体ごとに異なる)を申告する。基礎控除や扶養控除・配偶者控除・生命保険料控除・住宅ローン控除といった各種控除も会社員と同様に適用できるが、すべての申告手続と書類作成を自分で行う必要がある。
個人事業主の場合、会社員とは異なり、月ごとの所得から源泉徴収をする仕組みがないため、確定した所得に応じて所得税を納付するケースが多いだろう。ただし、事業の赤字や経費の増加などにより納税がない場合もある。
また、売上や報酬のうち支払い元から源泉徴収されている分については、確定申告をすることで所得税の還付が受けられるケースがある。
※参考:
■所得税は求めた「所得(課税所得金額)」に所得税率をかけて求める
所得税は、給与や売上から各種控除や経費を差し引いた所得(課税所得額)に対して以下の税率を当てはめて計算する。
【所得税の税率と控除額の一覧】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
※参考:
たとえば、控除後の課税所得金額が120万円であれば、「1,200,000円×0.05=60,000円」となり、所得税額は6万円となる。
なお、2013年から2037年までは所得税に「復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)」が課される。これを加えると、6万円×0.021=1,260円となり、納税額は6万1,260円となる。
年収200万円の住民税の求め方
住民税は、一年分の所得に対して市町村・道府県が課税する「市町村民税・道府県民税」のこと。国税である所得税とは異なり地方税で、1円でも所得があった場合は自治体への申告手続きが必要となる(確定申告をする場合は住民税もあわせて申告可能)。
■住民税の金額は住まいの自治体によって異なる
住民税は所得額に応じて課税される「所得割」と一定以上の所得がある場合に定額で課税される「均等割」があり、二つを合計して収める。
所得割は、東京都の場合で都民税4%、区市町村民税6%。均等割は都民税が1,000円、区市町村民税が3,000円、令和6年度より森林環境税が1,000円となる。
地域によって税率・税額が異なるため、マイナポータルや、住まいの自治体の役所、ホームページ等で確認したい。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部