
スマートウォッチが運動療法を後押しして糖尿病コントロールを改善
糖尿病患者にとってスマートウォッチが、運動療法のための力強いサポートツールとなり得ることを示すデータが報告された。英ランカスター大学のCeu Mateus氏らが、診断から間もない2型糖尿病患者を対象に行ったランダム化比較試験の結果であり、詳細は「BMJ Open」に3月26日掲載された。
この研究により、スマートウォッチを介して運動を奨励したり、患者が実際に行った運動についてフィードバックしたりすることで、運動療法を開始・継続しやすくなることが明らかになった。さらに、血糖値や血圧の管理も良好になる可能性が示唆された。Mateus氏は、「糖尿病の治療にとって重要な非薬物療法を継続できていない2型糖尿病患者が少なくないが、われわれの研究結果はスマートウォッチを用いることで、そのような臨床課題を改善できる可能性を示している」と述べている。
この研究では、英国およびカナダから募集された、2型糖尿病と診断後5~24カ月でメトホルミン以外の血糖降下薬が処方されていない、40~75歳の患者125人(平均年齢55±9歳、女性48%)を、ランダムに半数ずつの2群に割り付け。そのうち1群のみ、スマートフォンの健康アプリと連動しているスマートウォッチを装着して生活してもらった。両群ともに、参加者のニーズに応じて、運動の専門家によるオンラインサポートを受けることができた。
健康アプリは、参加者の身体活動量を計測しつつ、運動を促すようなガイド機能を有していた。
具体的には、参加者の運動量を徐々に増やしていき、6カ月以内に週当たり150分の中~高強度運動が達成されるようにプログラムされていた。この仕組みについて、論文の筆頭著者である英バーミンガム大学のKatie Hesketh氏は、「ジムに行かなくてもできる有酸素運動や筋力トレーニングなど、さまざまなトレーニングを提供できるようにした。目指したことは、2型糖尿病患者が日常生活の一部として運動を続けられることであり、それにより結果として心身の健康を改善することだった」と解説している。
解析の結果、スマートウォッチを利用した群では、運動療法を開始していた患者が対照群の10倍以上(オッズ比〔OR〕10.4〔95%信頼区間3.4~32.1〕)であり、運動を継続していた人も6カ月時点で約7倍(OR7.1〔同3.2~15.7〕)、12カ月時点で約3倍(OR2.9〔1.2~7.4〕)だった。さらに、スマートウォッチを利用した群ではHbA1cや収縮期血圧の改善傾向が顕著だった。
Hesketh氏は、「2型糖尿病と診断されて間もない患者がスマートウォッチというウェアラブル技術を利用することで、居ながらにして個別化された運動プログラムを継続できるようになり、多くの健康上のメリットを享受できることが明らかになった」と結論付けている。
これらの結果に基づき研究者らは、スマートウォッチを利用した運動プログラムが、2型糖尿病患者の疾患コントロールの改善ももたらし得るかを検証することを目的とした、より大規模な臨床試験を計画している。(HealthDay News 2025年3月31日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://bmjopen.bmj.com/content/15/3/e092260
Press Release
https://www.lancaster.ac.uk/news/smartwatches-may-help-control-diabetes-through-exercise
構成/DIME編集部
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