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メールの要約機能やiPadの作文ツールは◎、一方で微妙だったのは?Apple Intelligenceの実力をスマホのプロがチェック!

2025.04.12

 4月1日に「iOS 18.4」「iPadOS 18.4」が配信されたのに伴い、アップルのAIである「Apple Intelligence」がついに日本語に対応した。これまでも、言語設定を英語に切り替えるなどすれば利用はできたが、日本で暮らしていると用途が限られていた。日本語に正式対応したことで、普段使いできるAIになったと言えるだろう。iPhoneでこれに対応しているのは、iPhone 16シリーズやiPhone 15 Pro/15 Pro Maxに限定される。

 一口にApple Intelligenceといっても、その機能は多岐に渡る。文章を成形、編集する「作文ツール」や、通知、メールなどの要約機能、さらには画像を生成する「画像マジックワンド」や「Image Playground」「ジェン文字」といった具合で、何か1つアプリを呼び出せば使えるというものではない。様々なアプリや機能に組み込まれ、自然に使えるAIの総称がApple Intelligenceというわけだ。

4月1日のアップデートで、Apple Intelligenceが日本語に対応した

 一方で、あまりにもその適用範囲が広いため、ユーザーによっては、ガラッと変わった操作方法に戸惑ってしまうこともあるだろう。また、機能によっては、まだまだブラッシュアップが必要なものも存在する。そこで、ここでは、英語版オンリーだったときからApple Intelligenceを使ってきた筆者が、お勧めの使い方や便利な使い方を紹介していきたい。

Apple Intelligence入門編としてお勧めなのは「要約機能」

 AIや生成AIにあまり慣れていないユーザーでももっとも恩恵を受けやすいのは、要約機能だろう。Apple Intelligenceでは、「メール」や「Safari」、さらには通知などをザックリまとめる機能を用意している。ワンタッチで利用でき、ある程度受け身でも役に立つため、Apple Intelligenceがどのようなものかを理解するにもいい機能だ。

 Apple Intelligenceを有効にして、AIモデルのダウンロードが済んでいれば、開いたメールの上部に「要約する」というボタンが表示されるはずだ。ユーザーは、これをタップするだけでいい。数秒後に、メール本文の中身を数行にまとめた要約が上部に表示される。長文で読むのに時間がかかりそうなメールの中身を、サクッと把握したいときに便利だ。

メールの上部に表示された「要約する」ボタンをタップすると、要約が生成される

 筆者の場合、比較的長いプレスリリースが毎日数十通届く。これらすべてに目を通すと、それだけで1日が終わってしまう。かと言って、タイトルだけでスルーしていたら、面白い発表を逃してしまうおそれもある。このようなときに、要約機能が使える。

 安心なのは、この要約の処理がデバイス上で実行されているということだ。なぜなら、Apple IntelligenceはオンデバイスAIとクラウドAIの組み合わせだが、要約機能は前者を利用しているからだ。また、クラウドAIもプライバシーを担保した状態でサーバーにログなどを残さず、かつデータを学習に使わないことが明言されているため機密情報を含んだメールでも安心して要約することができる。

 メール1つだけでなく、往復が続いたメール全体のやり取りを要約する機能も備わっている。メールのピンポンが長く続くと、どのような経緯で今の流れになったかを思い出すのがなかなか大変。このような経験がある人は、多いだろう。このような時には、スレッドになったメールの上部の「要約する」をタップすると、最初からさかのぼって、今に至るまでの経緯がまとめられる。

メールの要約は、やり取りが続いたスレッド全体にも適用できる。どのような経緯で最新のメールが来たのかが分かりやすい。やり取りが長く続くような時に、過去の情報を忘れるのを防げる

 複数の人とスレッドになるようなやり取りをしている際には、特に便利。メールを1通1通さかのぼる必要がなくなるからだ。こちらの要約も、メールを開いてボタンをタップするだけと使い方が簡単。Apple Intelligenceの効果のほどを試してみたい人が、まず使う機能としてお勧めできる。

Safariや通知の要約は微妙なことも、ボイスメモは文字起こしに対応

 ただし、同じ要約でもSafariの要約には少々物足りない部分もあった。Safariの要約は、記事などからサイドバーなどの要素を省いて見やすくする「リーダー」モードで利用できる。使い方はメールと同様、リーダーモードにしたあと、「要約する」というボタンをタップするだけだ。記事が数行にまとまるため、概要は把握しやすい。

Safariは、リーダーにすると要約ボタンが表示される。ただし、短くまとめて内容を端折りすぎてしまうきらいがある

 一方で、かなり長文の記事でも、数行になってしまい、ディテールはまったくつかめない。概要程度であれば、冒頭に載っていることもあるため、これだと要約が意味をなさない。もう少し長く変更することができればいいが、それをするには、別途、後述する作文ツールを呼び出す必要がある。また、記事が複数ページに分割されている場合も、そのページだけの要約になってしまう。

 同様に、通知の要約も短すぎて、どんな通知だったのかが分かりづらいことが多い。例えば筆者が受け取った「povo2.0」アプリの通知は、「データ使い放題延長; データボーナス1GB、4/11消滅」とだけ記載されていた。後者については、トッピングの有効期限が間もなく終わることは分かるが、前者は何のことかがつかみづらい。通知を開いて初めて、「データ使い放題(1時間)」というトッピングの販売期間が延長されたことが分かった。

通知も自動的に要約されるようになるが、こちらも2行と短いため、中身が分からないことが多い

 要約と言っても、人によって必要としている長さは異なる。今のままだと、そのようなカスタマイズができないのが少々残念。せめて、2段階か3段階程度、要約に盛り込む情報量を変更できるようになるといいのだが。アップデートで、こうした点が改善されることを期待したい。

 要約は、同じく文章を扱う作文ツールでも利用可能だ。筆者は発表会などのメモをiPadの「メモ」アプリで取っているが、あとからそれを要約にかけると、重要内容が一目瞭然になる。しかも、比較的、原稿のような文体になるため、ここに肉付けしてけばそのまま速報用の短い記事になるぐらいのクオリティ。会議で議事録を取り、そのまとめを作る際にも役に立つだろう。

発表会中に取ったメモを要約すると、キレイな読み物風にまとまる。これに肉付けしていけば、概要を伝える文章が出来上がる。個人的には、iPadで利用することが多い

 作文ツールは、メモアプリの下部にあるApple Intelligenceのボタンをタップするだけで簡単に呼び出せる。そのあと、「要約」を選ぶと文章全体を対象に要約がかけられる。利用機会はほとんどないが、文体を変えることも可能だ。こちらは、日本語よりも、英語などの外国語を書いて、それを清書する際に使うことの方が多い。

 メールの返信に使うのも役に立つ。このような時には、作文ツールの「作文」ボタンをタップするといい。メールの文面を読み取ったうえで、相手の名前や用件などを引用しながら、返信を書いてくれる。どのような返信を書くのかの指示は必要だが、短い文章だけで比較的長めの返信を書いてくれるので、キーボードをあまり使わないiPhoneでサッとメールにリアクションしたい時に役に立つ。

メールの返信を作文ツールに書いてもらうことも可能だ。この場合は、ChatGPTが使われる

アプリによっては対応しない作文ツール、画像生成はテイストが課題か

 もっとも、メモの要約は文章の長さによっては失敗してしまうこともある。複数回試すとうまくいくこともあるなど、やや安定性に欠けている印象だ。メールの返信も、まれに相手とのやり取りを踏まえていないことがあったりする。精度向上は、作文ツールの今後の課題と言えるかもしれない。

 また、アプリによっては、作文ツールを利用できないこともある。メッセンジャー系ではLINEで使えた一方、FacebookのMessengerでは作文ツール自体を呼び出せなかった。Gmailではボタンが表示されないため、本文欄にカーソルを合わせて「コピー」や「ペース」などと同じメニューに表示される「作文ツール」と書かれたボタンをタップする必要がある。ユーザーインターフェイスが統一されていないため、呼び出し方が少々分かりづらいのが難点だ。

Gmailは、本文欄から作文ツールを呼び出す必要がある

LINEも同様。ただし、メッセンジャーによっては作文ツールの呼び出しができないことも

 もう1つよく使う機能が、ボイスメモの文字起こしだ。ただしこちらは、厳密に言えばApple Intelligenceのくくりではなく、独立した機能として提供されている。AIモデルのダウンロードが必要だったり、テキストを扱ったりする点はApple Intelligenceに近いが、Apple Intelligenceをオフにしていても、文字起こしだけは利用できる。

 この文字起こしは、リアルタイムで行われている。録音中に、話されたことが次々と文字になっていくため、画面上で内容をチェックしやすい。その場で数字などの確認をする際に、役立つはずだ。一方で、iPhoneだと画面が消灯してしまい、文字がすぐに読めない。録音時だけ点灯時間を長くしておくこともできなくはないが、設定がかなり面倒。この点では、キーボード入力時に常時画面がついているiPadの方が使い勝手がいい。同じAI機能でも、デバイスによって使い勝手が変わるのがおもしろい。

Apple Intelligenceとは直接関係がないが、ボイスメモの日本語文字起こしも可能になる

 文字起こし可能なボイスレコーダーというとPixelのそれが有名だが、iPhoneで同じようなことをしたい人には便利。一方で、精度にはまだまだ改善の余地がある。特に、2025年、2024年などの年号をうまく文字にできないところは、早急な修正が必要だと感じた。その反面、リアルタイムで文字起こしできるボイスレコーダーを搭載したスマホは少なく、iPhoneやiPadの売りになりそうだ。だからこそ、その精度をもっと上げてほしい。

 対応当初から比較的使いどころが多い文章系のAIに対し、画像生成はやや用途が見出しづらい。手書きをイラストにできる画像マジックワンドや、提示されたキーワードや写真を組み合わせていくだけでイラストを生成できるImage Playgroundは、文字だけで画像を生成する一般的な生成AIよりとっつきやすい反面、出来上がるイラストのテイストが統一されすぎていて、融通がきかない。

キーワードや元になる画像を指定するだけでイラストが作れるImage Playground

テイストは3種類しか選べず、どれも若干アメリカンテイストがただよう

 しかも、そのテイストがアメリカのアニメのようで、日本のそれとは雰囲気が大きく違う。「アニメ」に設定した画風が、どことなく、故スティーブ・ジョブズ氏が大株主を務めたピクサー作品に似ているのは偶然だろうか……。いずれにせよ、より幅広いユーザーに受け入れられるようになるには、画風の多様化や現地化が必要だと感じた。ただ、それでも使いどころは限られてくる。絵文字を生成できるジェン文字はおもしろいアイディアなので、こうした工夫をどこまで広げられるかが成否を左右することになるかもしれない。

文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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