
2月に発売されたiPhone 16eは、SEシリーズの実質的後継モデルである。
が、「小型・廉価版iPhone」という位置付けだったSEシリーズよりも価格が高く設定されていることが、強く批判されてしまったりも。これは最近の物価高という背景も考慮に入れなければならないことだが、それでも「最安モデルで10万円近く」というのは買い替えや初めてのiPhoneを考えている消費者の心理に少なくない影響を与えているのではないか。
そこで注目されるのが中古市場のSEシリーズである。
中古市場で最も販売数が多いiPhoneの機種とは?
iPhone SEシリーズは、日本人には根強い人気があることで知られた製品である。
軽量小型のボディ、必要十分の広さのディスプレイ、そしてホームボタン。実は筆者自身、初代と2代目のSEを使い続けてきた。上位機種は少し大きくて手に余る、と感じていたからだ。
16eを購入した今も、筆者はSE2を携帯し続けている。今話題のApple Intelligenceを利用することはできないが、スマホにオンデバイスのAI機能を求めていない人もまだ多く存在するはずだ。Apple Intelligenceは文章作成シーンでの利用を強く想定した生成AIモデルであるが、そもそも自分は文章などあまり書かない……という人もいるだろう。
そのような人は、中古市場で販売されているSEシリーズに目を向ける可能性が高い。
新品のラインナップからは既に消えたSEシリーズだが、中古市場ではその存在感がますます増しているという。中古スマホ販売・スマホ買取サービス『にこスマ』を運営する株式会社Belongによると、2025年2月の中古スマホ販売数ランキング1位はiPhone SE2(64GB)だったという。
このランキングを考察すると、安さの割に高パフォーマンスが見込めるのは(つまり、最もコストパフォーマンスが高いのは)現状ではSE2……といったところだろうか。
SEシリーズはなぜ選ばれるのか?
今回の記事を執筆するにあたり、株式会社Belong COOの大野正稔氏にメールで取材を試みた。
以下、そのやり取りである。
■iPhone 16eの登場は中古市場に変化をもたらす?
Q.先ごろ発売されたiPhone 16eは、実質的なSEシリーズの後継機にもかかわらず価格が高いと言われています。「この価格なら16を買ったほうがいい」という声もあり、「16eはSEユーザーから支持されない」と言い切っているテクノロジーメディアもあります。この16eは、中古市場でのSE3及びSE2の存在感にどのような影響を与えるのかお聞かせください。
A.弊社として16eに対するユーザーニーズについてコメントする立場にはないことと、そもそも中古端末は新品に対してコストメリットがあるものなので、16eの価格設定が直接的な影響がある可能性は低いと考えます。一方、ホームボタンの有無など、SEシリーズ特有の仕様に対するニーズについては、中古市場の果たす役割が一定程度強まるとは考えられます。
■なぜホームボタンのあるシリーズが支持されるのか
Q.日本ではiPhone 7/8/SEシリーズにあったホームボタンに根強い人気があります。その理由をお聞かせください。
A.一部のユーザー様の声ですが、例えば、
・ホームボタンに搭載のTouch IDで暗い場所などの特定の状況でも認証できる
・デバイスのロック解除や支払いの認証などQuickに出来る
・ホームボタンがあると”ここを押せばホーム画面に戻れる”という安心感
等、ホームボタンを使いやすいと感じるお客様もいらっしゃるようです。
またコンパクトさも一つの要因となっており、片手で使いやすく、軽量で小さい端末を好むユーザー様もいらっしゃると考えております。
■Apple Intelligenceが使えない機種の需要はどうなる?
Q. 4月から日本語に対応するApple Intelligence(16eも対応機種です)が、中古市場に与えると思われる影響についてお聞かせください(このAIモデルの実装によりSEシリーズの人気に陰りが出るのか、或いはそうしたことはあまり関係なく、今後も中古市場でのSEシリーズの人気は続くのか)。
A. Apple Intelligenceといった新機能の搭載された最新機種が出ることは、スマートフォンの買い替えが促進されることに繋がるため、中古市場にとってはプラスであると考えております。また前述のSEシリーズの人気に関しては、ご自身に必要な機能がある端末を手頃な価格で購入したいという中古市場のユーザー様ですので、Apple Intelligenceの動きとは別で、継続するのではと考えております。
SEシリーズを「iPod touch」のように利用する
大野氏からの回答も考慮すると、中古市場におけるSEシリーズの人気、存在感は今後も維持されると解釈したほうがいいだろう。
消費者視点から見れば、メイン機としてはもちろんのこと、サブ機や「人生初のiPhone」として中古のSE2もしくはSE3を選ぶ……というのは決して悪い判断ではないということだ。筆者自身がそうしているように、サブ機としてのSE2はメール送受信、ミュージックプレイヤー、スケジュール管理などで今も大活躍してくれる。
それは、Appleが2022年まで製造・販売していたiPod touchと同様の使い方である。
もしかしたら、今後は「SEシリーズをサブ機として携帯する」ことがちょっとしたブームになるかもしれない。
【参考】
にこスマ|2025年2月中古スマホ販売・買取数ランキング
文/澤田真一
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