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Gemini vs 官公庁議事録!AIは「お堅い文章」をどこまで簡潔に要約できるのか

2025.04.12

日本の学校教育では「長い作文を書く」ことはもてはやされるが、「長い作文を要約する」ことは重要視されない。しかし、誰しもが注目する文章を書くには「自分の書いたことを自分で要約する」技術が物を言うのだ。

当たり前のことだが、自分自身で「この話は要するにこういうことだ」ということが分からなければ、どんな文章を書いたとしても「単に長いだけで、何を言いたいのか分からない内容」になってしまう。校長先生の朝の集会でのスピーチ、結婚式での新郎新婦の知り合いのスピーチがやたら長いのは、つまるところ本人が話の要点を押さえていないからだ。

しかし、今やAIがどんな話でも正確に要約してくれる。

そこで今回は、官公庁の会議の議事録を用意して、それをAIに認識させた上で要約させるという実験をやってみよう。

官公庁の議事録は全て公開されるって知ってた?

日本の官公庁は、そこで行われたあらゆる会議や大臣の公的発言を必ず議事録という形で記録する。それだけでなく、議事録をPDFファイルにして公式サイトにリンク貼りしてくれるのだ。

たとえば、2024年1月1日の能登半島地震発生時、石川県の馳浩知事は東京の自宅にいた。これには批判があったが、一方で馳知事はその日のうちに石川県に戻り、同日23時45分に開催された第2回石川県災害対策本部員会議に参加している。なぜこの事実が分かるのかというと、石川県公式サイトにこの会議の記録がPDFファイルという形で公開されているからだ。緊急故に議事録の文字起こしはないが、その代わり動画のリンクが貼られている。

大臣や知事が公の場でああ言ったこう言ったは、全て記録されている。

しかし、災害発生時という非常事態は例外として「丸のままの議事録しか用意してくれない」という悪癖も見受けられる。

中央、地方問わず日本の官公庁は「会議の結果を一般人の目でも即座に分かるレベルに簡略化する」ということはしてくれない。そのあたりは報道に任せる、ということなのだろう。したがって、我々一般人は報道記事に触れてからようやく「この会議の主旨はこうだった」ということを知るのだ。

Geminiがフランクにまとめてくれるぞ!

だが、そのような状況もAIの確立・浸透により大きく変わるかもしれない。

この記事では、2023年6月6日にデジタル庁で開催された第4回デジタル社会推進会議の議事録(PDFファイル)の内容の要点を抽出してみたい。もちろんこれは、Geminiを使った実験である。Geminiの設定は日常的なタスクをサポートする2.0Flashである。

これにPDFファイルをアップロードした上で、「この議事録の要点を出して」とだけ指示する。結果は以下の通り。


ふむふむ、この議事録のポイントはこんな感じだね!

● **「デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)」**がメインテーマ。6月9日に閣議決定される予定なんだ。
● この計画は、デジタル社会形成基本法に基づいて、政府が重点的に取り組むべき施策の基本的な方針を定めているよ。有識者の議論も経て改定されるんだね。
マイナンバーカードの機能拡充が大きな柱の一つ。利便性向上、機能向上、そして安全・安心対策が重要視されているよ。運転免許証などとの一体化やスマホ搭載も進めるみたいだね。申請ベースで約9700万枚になったんだって!
データの利活用とAIの推進もポイント。G7広島サミットでの議論を踏まえ、国際的な官民連携の枠組みを作ることで、DFFTを具体化するんだね。
アナログ規制の見直しとデジタル改革の一体的推進も進める。デジタル臨時行政調査会の動きに注目だね。
地方自治体や準公共分野のDX推進も重要。デジタルに不慣れな人への配慮も忘れてないんだ。「書かないワンストップ窓口」っていいね!
システム調達関連サービスの拡充として、デジタルマーケットプレイスの試行導入などが予定されているよ。
ガバメントクラウドやネットワークの刷新など、デジタル社会を支える基盤の強化も進めるんだね。
● 経済産業省からは、AIへの対応(計算資源の拡充、データ整備、民間開発の加速、研究開発)、デジタルライフライン全国総合整備計画の策定、そしてIPAを中心としたデータ連携のエコシステム推進について説明があったよ。
● 総理大臣からは、アナログ規制の一掃とデジタル完結の推進、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化、デジタル田園都市国家構想の展開といった新たな取り組みが示されたね。
● 特に、マイナンバーカードの信頼確保に向けて、データやシステムの再点検、インシデント対応体制の強化、ヒューマンエラーを防ぐデジタル化の徹底が指示されたのは重要だね。

要するに、マイナンバーカードを軸に、データ活用やAI推進、アナログ規制の見直しなどを通して、より便利で信頼できるデジタル社会を作っていこう! って会議だったみたいだね。


……ちょっと待ちなさいGeminiくん、君どうしてそんなにフランクな言葉遣いなの? てか、官公庁の広報担当が作るポスターよりもよっぽど出来のいい宣伝になってるじゃないか! ちなみに、文中の太字もGeminiによるものである。

Geminiは会議の重要部分を理解している!

内容自体は的を得ている、と評価してもいいだろう。

この会議でメディアが注目したのは、「マイナンバーカードの機能充実」。その中に運転免許証との一体化の話もあり、それが2025年の今では現実の光景になっている。Geminiはその話題も、

運転免許証などとの一体化やスマホ搭載も進めるみたいだね。申請ベースで約9700万枚になったんだって!

と、馴れ馴れしい……もとい、気さくな調子で解説してくれている。偉いぞGeminiくん!

公文書と民主主義

これはたとえば、さらに昔の議事録を要約する用途にも使えるはずだ。

昔の国会本会議の議事録は、古い言葉遣いや漢字の使い方もあり非常に読みづらい。しかし、それらの記録は今現在の日本の制度がどのように形作られたのかを示す貴重なものである。これがなくなったら最後、日本の議会制民主主義は終焉を迎えるだろう。AIは古い公文書を読み解き、要約した上で我々に提示し直してくれるのだ。

人類は、AIと共に進化していることは間違いないだろう。

【参考】第4回デジタル社会推進会議-デジタル庁

文/澤田真一

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