
Google Mapが大進化を遂げている。
いや、これはより正確に言えば「Google MapがGeminiと連携することにより、新しい機能を身につけるに至った」ということだ。Googleの生成AIモデルGeminiは、Google Mapと紐付けするとまるで別のアプリを使っているかのような長足の進歩を味わうことができる。
GWの旅行前には、とりあえずGeminiのアプリをダウンロードすることが必須である。これはiPhoneユーザーに対する筆者からのアドバイスだ。
まずはGeminiとGoogle Mapを連携させよう
そのようなことを偉そうに言う筆者自身も、iPhoneユーザーである。
この記事を書いている最中、iOSのアップデートがついにやって来た。これにより、Apple Intelligenceの日本語版が利用できるようになった。が、それでもiOS版のGeminiアプリはインストールしておくべき! と筆者は声を大にして主張したい。
全体的な使いやすさ、そして「使い方の分かりやすさ」においてGeminiのほうが数枚上というのが筆者の実感だからだ。
ただ、「どう使いやすいのか」という点を詳しく書くのも正直一苦労である。なぜなら、Geminiにできることは今や多岐に渡り、しかもあらゆる情報源からシームレスにその答えを導き出してくれるので、本当に「いろんなことがスムーズにできて使いやすい」としか書けないのだ。
が、だからといってここで記事を終わらせるわけにもいかない。
とりあえず、GeminiとGoogle Mapを連携させた上でこう話しかけてみる。「静岡から車で東京駅まで行きたいけれど、途中相模原市の橋本駅を経由したい。ナビして」と。
具体的な所要時間と距離、そしてGoogle Mapでのナビを提示してくれたではないか。おおっ、これはすごい!
声で操作できるGoogle Mapが爆誕!
Google Mapでの経由地の指定は、はっきり言って面倒な作業だった。
「経由地を編集」からわざわざそれを手入力しなければならなかったため、お世辞にも「シームレスな操作」とは言えなかったのだ。それがGeminiを使うことにより、声の操作だけで経由地を考慮したルートを導き出すことができる。
なお、今回の実証は平日昼間のカフェの中で行った。雑多な環境でGeminiに小声で話しかけたのだ。それを一字一句漏らさず拾ってくれた点は、大いに評価すべきだろう。
これはもちろん、運転中の車内でも活用できる。まさか運転しながらスマホを手で操作するわけにはいかないはずで、実際に「携帯電話を保持して通話したり画像注視したりした場合(保持)」に対する罰則は6月以下の懲役または10万円以下の罰金、違反点数は3点。「携帯電話の使用により事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合(交通の危険)」に対する罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金、違反点数は6点となっている。
しかし……いや、それ故に「声で操作できるAIモデル」というのはドライバーの間でも重宝されるようになるはずだ。
AppleのSiriではダメなのか?
もっとも、「音声操作で指定した目的地までのナビを出す」ということならAppleのSiriにもできることだ。
が、「PDFファイルを読み込ませ、その中身を認識させる」ということに関してはGeminiに軍配が上がる。
たとえば、PDFファイルで届いた書類に「今回のイベントの会場は〇〇です」と記載されていた場合、Geminiはそれを認識してくれる。つまり、「このPDFファイルに記載されている会場までナビして」と声で指示すると、Google Mapで会場までのナビを提示してくれるのだ。
もっとも、筆者がこれを試したところGeminiはまずPDF資料にある会場の住所を文字起こしして、そのあと筆者が改めて「ナビして」と言って初めてGoogle Mapを出した。要するに、ナビをしてくれるまでに音声指示を2回しなければならなかった(最初の指示で全ての要求を叶えてくれなかった)。また、「会場」を「海上」と認識してしまう事もあったが、この辺は近いうちに学習してくれるはずだ。
Appleでは、これと同様のことはChatGPTに委任……というより丸投げしている状態だ。このあたりで、残念ながらAppleはGoogleの後塵を拝している。
早合点するなSiri!
ともかく、GeminiはPDF資料の読み込みもできるのだから、これはもはや「スマホユーザーの個人的秘書」と言えるだろう。敢えて繰り返すが、iPhoneユーザーはGWに入る前にGeminiアプリをダウンロードしておくべきだ。
言い換えれば、Apple IntelligenceとSiriはまだ「秘書」にはなり切っていないということでもある。
Apple Intelligenceに最適化された新しいSiriが未完成にもかかわらず、Apple公式サイトでその広告を大々的に掲載していた。このあたりでAppleが訴えを起こされてしまったのだが、筆者が実際に使った感想を振り返っても「あの広告は勇み足だった」と思わざるを得ない点が多々ある。目的地までのナビを音声指示する際、少しでも言い淀んでしまったらそれが「指示の終わり」とSiriが認識してしまうという問題を筆者は見つけてしまった。
「東京駅まで車で行きたいからナビして。(言い淀み)ただし、途中で神奈川県の橋本駅を経由したい」とやると、Siriは「東京駅まで車で行きたいからナビして」の部分で早合点の仕事をしてしまう。一方でGeminiではそういうことはなく、それどころか「と、と、と、東京駅まで」というような吃音や「あー、うー」といったフィラーを認識し、それを情報として考慮しないというパフォーマンスさえ見せてくれた。
Appleの熱狂的ファンには大変気の毒な結論だが、現時点ではGeminiを擁するGoogleがAppleに対して優位な立ち位置にいると言わざるを得ない。そして、2025年のGWを彩ってくれるAIプラットフォームはGeminiをおいて他にないだろう。
文/澤田真一
Geminiを使ってGoogleドキュメントで秀逸な文章を書く裏ワザ
Googleドキュメントを普段使っている人は、右上にいつの間にかダイヤのようなマークがついていることに気づいているはずだ。 右上に突如としてあらわれたマーク こ...