小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

SNSの誹謗中傷からアスリートを守るには?JOC・JPC共同ホットライン開設の意義

2025.04.07

SNSなどの発展で、さまざまな人が著名アスリートと直接結びつける機会が増えました。

一方で、ダイレクトであるがゆえに、アスリートが根拠の無い誹謗中傷にさらされることもあります。

アスリートが安心して競技に打ち込めて、不安無くスポーツを行う環境づくりを目指して、日本オリンピック委員会(JOC)と日本パラリンピック委員会(JPC)は共同で、オリンピック・パラリンピックのアスリートとその関係者を守るためのホットライン(相談窓口)を、2025年4月25日に開設します。

なぜ、ホットラインが必要だったのでしょうか? そして、アスリートはどのような想いでSNSなどによる誹謗中傷を受け止めているのでしょうか。

前列左からJPC三阪 洋行アスリート委員会委員長、Shigekix(シゲキックス)半井 重幸選手、奥左からJ0C谷本 歩実理事、J0C尾縣 貢専務理事、JPC河合 純一委員長、J0C八木 由里理事

パリ2024オリンピックでSNSの誹謗中傷に苦しむアスリートがいた

フランス・パリで2024年7月26日から8月11日かけて行われた「パリ2024オリンピック」。世界中からトップアスリートが集い、さまざまな競技で感動を与えてくれました。

華やかなシーンに注目が集まる中、その裏側ではSNSなどによる誹謗中傷に苦しむ選手もいたのです。

JOCの尾縣専務理事によると、「大会期間中にチームジャパンとして、そのような誹謗中傷に対してメッセージを発信し、選手とスタッフをサポートする体制を構築しました」とのことですが、アスリートへの誹謗中傷は沈静化しませんでした。

J0C(日本オリンピック委員会)尾縣 貢専務理事(中央)

パリ2024パラリンピックでも不安を感じるアスリートがいた

また、同年8月28日から9月8日に行われた「パリ2024パラリンピック」でも、誹謗中傷が問題になっていました。

JPC河合 純一委員長は、パラリンピックに参加するアスリートについて「身体的な特徴などがあると、それに伴う差別や偏見を助長することがあります。ぶつけられる言葉などによって、傷つくアスリートがいるのも事実だと思っております」と言います。

JPC(日本パラリンピック委員会)河合 純一委員長

実際、JPCが日本代表選手団へ大会直前に行ったアンケートによると、「『誹謗中傷で不安を感じる』と答えた選手が13%ほどいました」(河合委員長)とのこと。

「こういった数をゼロにしていくことなくして、アスリートが落ち着いて安心安全な状況で大会に臨み、最高のパフォーマンスを発揮できる環境にはつながらない」(同委員長)とも指摘します。

JOCとJPCが共同して誹謗中傷対策に取り組む

パリ2024オリンピック、パリ2024パラリンピックは、共に盛況の中で幕を閉じました。しかし、アスリートや関係者に向けた誹謗中傷が途絶えたわけではありません。また、アスリートや関係者の不安も消え去っていません。

そこで、JOCとJPCは共同で、誹謗中傷対策に取り組むこととなりました。

スポーツ庁は、アスリートがトレーニングや試合に臨む姿、そして普段の姿を発信することで、ファンとの交流につながるなど、SNSの活用は大変有効なツールであるとしています。

室伏広治スポーツ庁長官

一方、「匿名性や発信のしやすさがゆえに、他人に心ない言葉をぶつけることにつながり、著名人だけではなく、一般の方々にもSNSなどでの誹謗中傷により心を痛める方が生まれている」(室伏長官)とも指摘。

そして、「SNSの活用にあたっては、アスリートは自身の影響力の大きさを十分に理解し、SNSとの付き合い方をしっかりと考える必要があります。しかし他人を誹謗中傷する行為はいかなる理由があっても許されることではありません」(室伏長官)と言及しています。

それを受けて、令和6年度補正予算において「誹謗中傷などに悩むアスリートの相談により、必要に応じて発信した情報開示請求や削除、要請などの対応を行う体制を整えるとともに、アスリートを誹謗中傷などから守るための普及啓発活動を行う」(室伏長官)ことになりました。

そして、誹謗中傷は認めないという強い意思のもと、スポーツ界が一丸となって対応できるよう、関係団体と連携して取り組んでいくことになっています。

アスリートを守りスポーツの価値を守る意思……2つのポスターを作成

誹謗中傷対策の活動にあたり、「社会に対して強いメッセージを発信してアスリートを守り、そしてスポーツの価値を守って参りたい」(尾縣専務理事)との想いを基に、広報・啓発のためのポスターが作成されました。

ひとつは、「その道のりに、賞賛を」というメッセージです。

J0C谷本 歩実理事がそのメッセージに込められた想いを伝えてくれました。

左からJ0C八木 由里理事、J0C谷本 歩実理事

「オリンピック、パラリンピックの舞台に立つ選手たちは長い年月をかけて努力を積み重ね、数えきれない困難を乗り越えてきました。しかし、スポーツには勝者がいれば敗者もいます。試合に敗れた時、選手たちに向けられるのは惜しみない拍手だけではありません。時には心ない言葉が彼らの努力を否定し、強く傷つけることもあります。

スポーツの価値は勝敗だけではありません。結果にかかわらず、その過程で選手が見せる努力や挑戦にこそ、本来の価値があります。私たちは選手たちの結果だけに目を向けるのではなく、その歩んできた道のりを称える文化を広げていきたいと考えています」(谷本理事)

もうひとつは、「STOP誹謗中傷」という強いメッセージです。

「スポーツは本来、人々をつなぎ感動を生み出すものです。しかし、近年、SNSやメディアを通じて選手たちに向けられる誹謗中傷が後を絶ちません。その言葉が選手たちの心を深く傷つけ、時には競技を続ける意欲さえ奪ってしまうこともあります。私たちはこれを決して許しません。

選手たちは誰かを傷つけるために競技をしているのではなく、自らの夢に向かって全力で挑戦し続けています。だからこそ、私たちがすべきことは批判ではなく、応援の言葉を届けることです。誹謗中傷を許さない社会を作るために、JOC、JPCが具体的な取り組みを進めていきます。このメッセージを広げ、スポーツの世界に敬意と感謝の気持ちがあふれる未来を目指していきます」(谷本理事)

このポスターの作成以降、誹謗中傷根絶のための施策として、SNSを利用するアスリートやスタッフにSNSとの向き合い方や効果的な利用法を知ってもらう取り組みや、自身のSNS活動に対する誹謗中傷があった際の対策などの教育研修活動を、各競技団体と連携して実施する予定となっています。

また、誹謗中傷やハラスメントに対して、迅速かつ的確な対応を行えるよう、各競技団体の窓口やセーフガーディングオフィサーなどの人材育成を行い、さらに、AIなどを用いて投稿の監視、モニタリングを行い、悪質な投稿への対処や傾向を分析し、対応していく予定です。

「オリンピック・パラリンピック誹謗中傷・相談『ホットライン』」を開設

広報・啓蒙活動が行われる中、誹謗中傷の根絶が望まれますが、現実的には、誹謗中傷に悩むオリンピック・パラリンピックのアスリートや関係者の数がゼロになるとは限りません。

そこで、JOCとJPCの公式Webサイトに法務相談窓口として、「オリンピック・パラリンピック誹謗中傷・相談『ホットライン』」が2025年4月25日に開設されることになります。

■「ホットライン」の利用方法

ホットラインの利用には、

1.ホットラインに相談フォームを通じて連絡
2.相談窓口担当と弁護士と連携し、相談内容を検討。必要に応じて電話または面会(オンライン含む)の実施
3.担当者が検討結果を連絡するとともに、具体的な支援を実施

する運びとなっています。

■JOC、JPC強化指定選手やその関係者をサポート

J0Cの理事でもあり、弁護士でもある八木 由里理事は「JOC、JPC強化指定選手がホットラインの利用対象者になります。そしてサポートに関わるコーチ、スタッフなど、さらに強化指定選手の親族に対して支援を提供します」としています。

ホットラインでは、

1.SNS運営事業者などに対する投稿の削除依頼
2.SNS投稿などの投稿者に対する警告
3.ホットライン利用者がSNS投稿などに対して法的措置を講じる場合の各種支援
(JOCやJPCが利用者を代理して裁判や交渉はできません)
4.各支援メニューのために必要なSNS投稿などに関する法的分析
5.その他、ホットラインが対応できる必要な支援

を行う予定です。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年3月14日(金) 発売

DIME最新号は、「人間ドッグの新常識」。医師が本音で語る、受けるべき検査・いらない検査とは? 鈴鹿央士ほか豪華インタビューも満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。