
2024年、iPhone 16シリーズが発売されたタイミングで登場した、アップルの新しいAI機能「Apple Intelligence」は、日本語対応が待たれる状態が続いていましたが、2025年4月1日(日本時間)に、満を持して日本語版がリリースされました。
近年のスマホでは、各社が独自のAI機能を搭載し、競争を始めている段階。有名どころでいえば、グーグルのPixelシリーズや、サムスンのGalaxyシリーズが先行していますが、iPhoneシリーズでも、(日本語版としては)ようやく他社を追従する形となりました。
本記事では、執筆時点(2025年4月上旬)で利用できる、Apple Intelligenceの便利な機能について、実際に試しながら紹介していきます。
Apple Intelligenceの対応端末と機能
あらかじめ押さえておきたいのが、Apple Intelligenceの対応端末。iPhoneシリーズでいうと、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Max、iPhone 16シリーズ4機種に、iPhone 16eを加えた、計7モデルが対応となります。
iPad、Macシリーズでいえば、Mシリーズのチップセットを搭載したモデルが対象。ただし、A17 Proを搭載している、iPad miniでも利用できます。
このように対応機種を見ると、比較的新しいモデルでのみ、Apple Intelligenceが利用できることがわかります。これは、Apple Intelligence機能の多くは、オンデバイス上で処理を行うことから、高い処理性能や、ある程度のメモリ容量が求められるとされているためです。
そのため、Apple Intelligenceの機能をいち早く享受したいという場合は、機種変更が必要となるケースもあるでしょう。重要なのは、「機種変更をしてでも、Apple Intelligenceの機能を使いたいか」という視点なので、これから紹介していく機能を、ぜひチェックしてください。
■新しいデザインになったSiriはより〝人間らしい〟パートナーに
Apple Intelligenceの機能としてまず紹介したいのが、Siriのアップデート。iPhone、iPadで利用できるSiriは、起動すると、ディスプレイ縁が虹色に光るようなデザインに変更されています。Macシリーズでは、デスクトップ上にSiriのアイコンを配置できるようになりました。
機能面での進化ポイントとしては、より人間らしい会話ができるようになり、ユーザーのパートナーとしてのスペックが向上。人間同士の会話のように「10分……、いや、15分後にタイマーをかけて」といい直した文章でも、内容を認識し、正確に動いてくれます。
また、「ドイツの人口は何人?」と尋ねた後、続けて「じゃあスペインは?」といったように、すべての文章を正確に伝えなくても、文脈をくみ取って回答してくれます。Siriとのやり取りは、音声のほか、チャットベースでも行えるので、声を出せない環境でも、利用しやすくなっています。これが結構便利で、これまでGoogle検索を行っていたような内容を、Siriに尋ねる機会が増える可能性を感じます。
Siriに加え、後程紹介する作文ツールには、ChatGPTが統合されており、Siri単体では応えることが難しい質問の場合は、ChatGPTに情報を送信して、回答されます。複雑な質問において、ChatGPTに丸投げしている印象も否めませんが、日本語対応は始まったばかりなので、これから日本語の認識能力は向上していくはずです。ChatGPT自体の動作は非常に早く、機能を使うために、別途アカウント作成といった手間がかからないのも、1つのメリットでしょう。
■文書作成を肩代わりしてくれる作文ツール
「作文ツール」は、名前の通り、文章をApple Intelligenceが代わりに作成したり、文章の校正や要約をしてくれる機能です。
文章の校正は、先にユーザーが書いた文章を、よりビジネスライクに編集したり、逆にフランクな文体に編集するといった使い方が可能。要約機能では、長い文章を簡潔にまとめ、要点を抽出してくれます。
Apple Intelligenceが編集した文章が気に入らない場合は、ワンタップで元の文章に戻せるので、確認がてら一応AIにチェックしてもらうといった使い方が、手軽に行えるのが特徴です。
文章の校正や要約は、現時点で、メモアプリやメールアプリで利用できます。テキストを選択した際に表示されるApple Intelligenceのアイコンをタップし、任意の項目を選択すればOK。別のアプリやSiriを起動することなく、その場ですぐにAI機能にアクセスできるのが魅力です。また、APIが公開されているので、これから対応するアプリが増えていくことに期待ができます。
1から文章を生成する場合に役立つのが、やはりChatGPTです。「新年度のあいさつ文を書いて」とお願いすれば、ChatGPTが生成した文章がそのままペーストされるのも便利です。
仕事柄、自分で文章を書いたほうが早いと感じることもありますが、校正機能は多用する未来もあり得るかなと思います。また、長文メールの要約や、英文の翻訳、英文の生成といった、自分で行うには少し手間がかかる作業に関しては、利用シーンも多く、便利な印象です。
■写真の検索、編集はよりAI任せになる
写真アプリも、Apple Intelligenceによって強化されます。検索機能は、より自然な言語での検索に対応したのに加え、動画内の特定のシーンを検索し、直接そのシーンを開くことができるようになっています。人物やペットに名前をタグ付けしておけば、その名前で検索することも可能。「空」や「芝生」といった、アバウトな情報でも、該当する写真や動画を抽出してくれます。
画像編集機能である「クリーンアップ」では、写真内に写りこんでしまった、不要なものを簡単に削除可能。いわゆる、消しゴムマジック的な機能となります。編集したい写真でクリーンアップツールを開き、不要物をタップするだけで、対象が取り除かれ、周辺の情報から欠けた部分を補完してくれます。
カメラ関連の機能として紹介したいビジュアルインテリジェンスは、iPhone 16シリーズの4機種に搭載されている、カメラコントロールから呼び出せる新機能。iPhone 15シリーズ以前や、iPhone 16eの場合は、アクションボタンや、ロック画面のコントロール、コントロールセンターを使って、アクセスできるようになっています。
ビジュアルインテリジェンスでは、カメラを起動し、写っているものに対してアクションが可能。文章を写して、要約や読み上げ、翻訳をしたり、電話番号やメールアドレスを検索することも可能。写したものをGoogle検索し、そのまま購入ページを開くといった使い方もできます。
写真の検索はいままでもできたし、クリーンアップは消しゴムマジック風、ビジュアルインテリジェンスは、Google レンズのような機能となっているため、AI機能の搭載という意味で、他社から遅れをとっている印象も否めませんが、ユーザーの多いiPhoneで使える機能なので、日本語実装からは、短スパンで精度が向上していく可能性も大いにあるでしょう。
そのほか、ビジュアル関係の機能としては、説明文やライブラリ内の人物、動物の写真からイラストを生成するImage Playgroundや、ジェン文字といった機能が利用できます。いずれも画風のパターンはまだ少なくなっていますが、今後学習を重ねていくことで、画風も追加されていくとのことです。
■地味だけど実は一番進化を感じるメールと通知
メールアプリのアップデートは、先に紹介した作文ツールにて、受信したメールの内容に基づき、返信候補の提案、ドラフトの生成ができる機能が特徴的ですが、〝自然と使い勝手が向上している機能〟として紹介したいのが、通知の要約や優先通知といった、メールの通知に関する機能と、受信ボックスの改良です。
通知の要約機能は、メールアプリだけでなく、Messagesやそのほかチャットアプリなどから届く通知を自動的に要約してくれる機能。従来、メールタイトルや、本文最初の数行のみが記載されていたのが、通知を見るだけで、具体的にどのような内容のメールなのかを把握できるようになっています。
また、メールアプリの受信ボックスでも、タイトル下に要約分が表示されるため、内容がわかりやすくなっています。複数スレッドに及ぶメールでも、要約を確認できるので、どのようなやり取りがされているのかを確認しやすくなりました。
重要度の高い通知をトップに表示してくれる機能も重宝します。通知を見逃す心配も少なくなるのに加え、使っていくうちにどんどんパーソナライズ化されていき、精度が向上していきます。その日に行われるミーティングのURLが記載されたメールが、最上位に出てくるなど、AIが人間の相棒として活躍していくことを実感できる機能となっています。
Apple Intelligenceを使っていると、各アプリや機能にAIがうまく溶け込んでいるシーンをたびたび見かけます。これは、ソフトウエアを長らく手掛けてきたアップルならではの特徴ともいえるでしょう。
スマホで利用できるAI機能の多くは、作文ツールや画像生成のように、「AIを使おう」という意識をもって、迎えに行く機能が多くあるが、日常的なスマホの使い方が便利になるという意味では、通知の要約や優先通知といった、さりげなくAIが活用されている機能が増えていくことに期待したいと思います。
取材・文/佐藤文彦