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ツラい膀胱検査はなくなる!?尿失禁治療に新たな選択肢が登場

2025.04.11

尿失禁の不快な膀胱検査は回避可能

少量の尿漏れがある女性でも、治療のために不快で侵襲的な膀胱の検査を受けなくて済む可能性があるようだ。新たなランダム化比較試験において、尿失禁に対する治療を検討する上で、包括的な臨床評価(comprehensive clinical assessment;CCA)は尿流動態検査(ウロダイナミクス検査)と同程度に有効であることが示された。英アバディーン大学女性健康研究センター所長のMohamed Abdel-Fattah氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet」に3月22日掲載されるとともに、欧州泌尿器科学会年次総会(EAU25、3月21~24日、スペイン・マドリード)でも発表された。

尿流動態検査は、膀胱内にカテーテルを挿入して、被験者が排尿を我慢できる限界まで生理食塩水を注入し、排尿時の流量や残尿量などを測定するもの。同時に直腸にもカテーテルを挿入して腹圧を測定することもある。研究グループは、「尿流動態検査は尿失禁の診断と治療における標準的な方法であるが、その有効性を示すエビデンスはあまりない」と説明する。

今回の臨床試験は、投薬、骨盤底筋体操、膀胱訓練などのファーストライン治療では症状の改善が認められなかった難治性の過活動膀胱または混合性尿失禁(腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状がある状態)を呈する18歳以上の女性1,099人を対象に実施された。Abdel-Fattah氏らは、対象者を、尿流動態検査とCCAを行う群(550人、尿流動態検査+CCA群)とCCAのみを行う群(549人、CCA群)にランダムに割り付け、尿流動態検査の有効性と費用対効果を検討した。CCAでは、詳細な病歴の確認、臨床検査、3日間の排尿日誌、排尿後残尿量の膀胱スキャンが行われた。主要評価項目は、追跡調査時(ランダム化から15カ月後)の患者報告による症状の改善度(Patient Global Impression of Improvement;PGI-I)、主要な経済的評価項目は、質調整生存年数(QALY)当たりの増分費用であった。

その結果、ランダム化から15カ月後の時点で症状が「非常に改善した」または「かなり改善した」ことを報告した試験参加者の割合は、尿流動態検査+CCA群で23.6%、CCA群で22.7%であり、両群間に有意な差は見られなかった(調整後オッズ比1.12、95%信頼区間0.73~1.74、P=0.60)。また、有害事象の発生についても、両群間に有意な差はなかった。1QALY当たりの増分費用は4万2,643ポンド(1ポンド194円換算で827万2,742円)と算出され、支払い意欲の閾値を1QALY当たり2万ポンド(同388万円)と設定した場合、尿流動態検査が費用対効果のある治療法である確率は34%と推定された。この確率は、患者の生涯を通じて見るとさらに低くなる。

研究グループは、尿流動態検査は専門医の診療所への紹介と数週間から数カ月の診察待ちが必要で、治療が遅れる可能性があるのに対し、CCAは看護師や医師が特別な器具を使わずに実施できるため、患者にとっても受けやすいと指摘する。Abdel-Fattah氏は、「本試験の結果は、尿失禁に効果的な治療法を見つけるのに苦労している多くの女性に、症状と生活の質(QOL)を改善させる上で、もはや尿流動態検査で経験するような思いをしなくて済むことを示している」と話す。

本研究には関与していない、EAU会員でレンヌ大学(フランス)泌尿器科教授のBenoit Peyronnet氏は、「ヨーロッパ諸国の多くで尿流動態検査の待機リストは長い上に、侵襲的な検査は女性にとって不快な経験となり得る」とEAUのニュースリリースの中で指摘する。同氏は、「この試験結果は、患者によっては侵襲的な尿流動態検査が回避可能であり、治療の成功について患者の自己報告に基づいて評価した場合でも、尿流動態検査と同等の転帰を得られる可能性があることを初めて示した点で、極めて重要だ」と述べている。

その一方でPeyronnet氏は、「これは患者のアウトカム報告をベースにしたわずか2年間の研究に過ぎないことにも留意する必要がある。エビデンスの質は実践に影響を与えるに足る高さだが、より長期的な追跡試験の結果がどうなるかは非常に興味深い」と話している。(HealthDay News 2025年3月24日)

Copyright (C) 2025 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)01886-5/fulltext

Press Release
https://uroweb.org/press-releases/uncomfortable-bladder-tests-for-female-incontinence-can-be-avoided-say-researchers

構成/DIME編集部

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