小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

昆虫博士・牧田習が解説!意外と身近にいる巨大テントウムシの正体は?

2025.04.05

突然ですが、テントウムシというと、どんなイメージがありますか? おそらく多くの方がナナホシテントウやナミテントウを思い浮かべるかと思います。しかし、テントウムシは日本にいる種類だけでも180種類以上が存在し、様々な大きさや形、色の種類がいます。その中でも今回は、ナナホシテントウやナミテントウよりも大きく、時には赤い汁を出すこともある個性的なテントウムシについて解説しましょう。

巨大テントウムシ・カメノコテントウ

よく見かけるナナホシテントウは体長8mmほどですが、それより一回り大きい体長1.2センチほどのカメノコテントウという種類が存在します。1.2cmというと、小さく感じるかもしれませんが、普段ナナホシテントウなどに見慣れていると、とても大きく感じます。僕も中学生の頃、初めてカメノコテントウを見た時には目を疑いました。ここでは、そのカメノコテントウの基本的な情報について解説します。

【どんなテントウムシ?】

黒に赤い模様が特徴的なテントウムシで、テントウムシらしい丸い形をしています。胸に白い模様があり、一見、目のように見えるかもしれませんが、これは目ではありません(目は頭にあります)。また、ナナホシテントウがアブラムシを食べるのに対して、カメノコテントウはクルミハムシやヤナギルリハムシなどといったハムシ類の幼虫を食べます。

【どこにいる?】

カメノコテントウは国内では北海道から九州まで広く分布しており、東京都内など街が近い場所でも見ることができます。しかしながら、クルミ類やヤナギ類などの葉を食べるハムシ類の幼虫を食べるため、木の葉の周りで見つかることが多く、意図して探さない限り、見かけることは少ないかもしれません。

【どうやって捕まえる?】

オニグルミやヤナギの木を見つけたら、捕虫網で葉っぱを掬ってみましょう。餌であるハムシ類と共にカメノコテントウをゲットすることができるかもしれません。

カメノコテントウが赤い汁を出す!?

カメノコテントウはまるで血のような赤い汁を胸の部分から出すことが知られています。どのような時に出すかと言うと、彼らが危険を感じた時です。この赤い汁を出すことによって天敵から身を守ろうとしているのです。僕も捕まえた時に赤い汁を出されたことがあります。

また、汁を出すテントウムシはカメノコテントウだけではありません。カメノコテントウが赤い汁を出す習性があるのに対して、ナナホシテントウは危険を感じると、黄色い汁を脚から出します。

これらテントウムシが出す汁を天敵が食べると不味い思いをしてしまいます。そこで、テントウムシたちは汁を出すことにより、「食べたら不味いよ!」というメッセージを伝え、食べられないようにしようという狙いがあります。

テントウムシの多様性

ここまでカメノコテントウを中心に多くの方にとっては意外なテントウムシの情報をお伝えしてきましたが、他にも「そんなテントウムシもいるの!?」というような種類も存在し。そこで、ここでは国内の種類から海外の種類までの中で、個性的なテントウムシ3種類を紹介します。

(1) ジュウサンホシテントウ

ナナホシテントウはその名の通り、7個の黒い点を上翅に持っていますが、13個の点を上翅に持つジュウサンホシテントウというテントウムシがいます。水辺のヨシ原に生息しており、アブラムシを食べる習性があります。国内では北海道から九州まで広く分布しています。

(2) キイロテントウ

テントウムシというと、赤やオレンジ色のイメージがあるかもしれませんが、黄色い種類も存在します。キイロテントウはその名の通り、まるでレモンのような黄色い上翅を持っています。また、食性も興味深く、葉っぱに発生するうどんこ病菌を食べるため、益虫として扱われています。国内では本州から南西諸島にかけて広く分布しています。

(3) 青いテントウムシ Steelblue ladybird

最後は海外のテントウムシを紹介します。Steelblue ladybirdというテントウムシはなんと青く輝く体を持っており、様々な昆虫やダニを食べることが知られています。オーストラリア原産なのですが、ニュージーランドやアメリカにも人為的に持ち込まれています。先日、ニュージーランドのオークランドを訪れたのですが、最も多く見かけたテントウムシでした。

ここまで、世間のイメージとは異なるテントウムシについて解説してきましたが、テントウムシはとても興味深い昆虫で、種類によって大きさや形、色、食性、冬の過ごし方などもガラッと変わってきます。同じテントウムシでも農作物にとって害虫もいれば、益虫もいます。テントウムシたちとの上手な付き合い方が私たち人間の生活を豊かにしてくれるはずです。

昆虫ハンター・牧田習

博士(農学)。1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学し、2025年3月に同大学院博士課程を修了。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発見している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。

著書:「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my

文/牧田習

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年4月16日(水) 発売

DIME最新号は、「名探偵コナン 熱狂の舞台裏」。長野県警全面協力!劇場版最新作の舞台の新聖地とは?長野県警トリオ〟をあしらったトリプルジッパーバッグの付録付!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。