
読売広告社(以下YOMIKO)は、同社の子会社であるショッパーインサイトが保有する食品購買状況を買物客単位で分析可能な日本最大級の食品ID-POS購買行動データベース「real shopper SM※」を活用。食品スーパーにおける肉の購買変化の分析を行なった。
※real shopper SM:食品スーパーのID-POSデータをもとに生鮮総菜を含めた全ての食品購買状況を全国規模の買物客単位で分析できるデータベース。
本稿では同社リリースを元に、肉類の時系列における傾向や国産牛と輸入牛の違いなど、調査結果から明らかになった傾向や兆候について、その概要をお伝えする。
食肉類の購入率は下降傾向:牛肉の購入率・購入金額が低下、食肉の購入品がシフトしている可能性
牛肉・豚肉・鶏肉・精肉類(羊肉、馬肉、ひき肉など)・精肉加工品(味付肉・ベーコン・ハム・ソーセージなど)の2024年2月から2025年2月における購入率(前年同月比)推移をみると、すべての肉類において減少傾向がみられた。
なかでも牛肉は、2024年2月では精肉加工品や豚肉よりも高くなっているが、2024年4月からは最も低くなっている。
2025年2月をみると、精肉類、鶏肉、豚肉の購入率は前月よりも高くなっているが、牛肉は前年同月比-7.7%と最も低い結果となった。米、野菜、あらゆる食品の価格高騰が止まらない現在、牛肉の購入を控えて支出を調整する節約志向が読み取れる。
2025年2月の買い物客1人あたりの購入金額(前年同月比)を年代別でみると、20~50代、80代では豚肉・精肉類・精肉加工品の購入金額が増加している。
一方、牛肉・鶏肉の購入金額はどの年代においても減少していることがわかった。購入金額では豚肉や精肉類、精肉加工品の購入金額の増加と牛肉や鶏肉の減少がみられ、購入率推移では牛肉の購入率低下がみられることから、食肉の購入品がシフトしている様子が推察できる。
■単価は和牛・国産牛では安定的に推移、輸入牛は105%前後を推移
牛肉を、和牛・国産牛と輸入牛に分けて分析し、単価推移の前年との比較(前年同月比)をみると、輸入牛は単価の前年比が105%前後を推移しており、円安の影響を受け2023年から2024年への値上がり幅が大きいことがわかる。
和牛・国産牛の方が年間を通じての振れ幅が小さい傾向にあることから、今後は国産回帰の流れがみられるかもしれない。
■和牛しゃぶしゃぶ用は購入客単価も購入点数も増加傾向
牛肉・豚肉・鶏肉の購入客単価および購入点数(2024年2月と2025年2月比較)をみると、購入客単価は増加しているが、購入点数が減っていることから商品単価が上がった影響がみられる。
■用途別では「和牛しゃぶしゃぶ用」の中価格帯の購入客単価が増加、購入点数も増加傾向
和牛の用途別(角切り、うす切り、切り落とし、しゃぶしゃぶ用、ステーキ・カツ用、焼肉用)で購入金額が伸びていた和牛しゃぶしゃぶ用を分析したところ、購入客単価は4000円、5000円以上の中価格帯が増加しており、購入点数も増えていることが判明。肉類全体とは違った傾向が現れた。
このように牛肉全体の購入率は減っているが、種類・用途によっては購入客単価も点数も増加していることが判明した。
調査概要
集計期間/2023年2月1日~2025年2月28 日
エリア/日本全国
対象カテゴリ/畜産・牛肉
利用データ/real shopper SMデータ
関連情報
https://www.yomiko.co.jp/
構成/清水眞希