
最近の報道によれば、アメリカのトランプ大統領は2025年4月3日から発動される輸入自動車に対する追加関税に関して、アメリカ車の市場拡大につながると主張。日本を含む対象国との交渉の余地は残されているが、今後の世界経済への影響が懸念されている。
そんなトランプ関税と市場動向に関するリポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩 氏から届いたので概要をお伝えする。
トランプ氏は先週自動車に追加関税を課すと発表、主要国の株価指数は大きく値を崩す展開に
トランプ米大統領は3月26日、輸入自動車に25%の追加関税を4月3日から課すと発表した。また、報道によると、遅くとも5月3日までに、エンジンなどの自動車部品にも25%の追加関税が発動される見通しだ。
これを受け、市場では改めてトランプ関税への警戒感が強まり、米国をはじめとする主要国の株価指数は先週、大きく値を崩す展開となった(図表1)。
今週は4月2日にトランプ米政権が「相互関税」の詳細を発表する予定となっており、週明け3月31日の日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)は、大幅続落で取引が始まるなど、市場は不安定な状態が続いている。
そこで今回のレポートでは、現時点で公表されているトランプ関税の内容を整理し、当面の相場環境について、どのようにみておくべきかを考えてみたい。
■現状では国別、製品別に輸入関税が順次発動されており今後も課税対象が広がっていく見通し
現状のトランプ関税を確認すると、国別では中国からの輸入品に対し、2月4日から10%の追加関税、3月4日からさらに10%の追加関税が発動されている(図表2)。
また、カナダとメキシコからの輸入品に対しては、3月4日から25%の追加関税が課されたが(カナダ産のエネルギー・同資源は10%)、翌5日と6日には、猶予期間を設ける製品が大幅に増加した。
製品別では、鉄鋼・アルミニウム関連の輸入品に対し、25%の追加関税が3月12日に発動されている。
また、銅と木材・製材については、米商務省産業安全保障局(BIS)が3月10日から、これらの輸入による安全保障への影響について調査を開始した。このほか、医薬品についてトランプ氏は関税導入の考えを表明しており、半導体についても輸入関税が課されるとの見方が強まっている。
■足元の混乱は金融危機ではなく関税の見通しにくさに起因、長期視点では冷静な見極めが可能
トランプ関税については、相互関税など、まだ詳細が不明なことも多く、米国のみならず主要国経済に与える影響が読みにくいという点で、市場はしばらくリスクオフ(回避)に傾きやすい地合いが予想される。
ただ、市場は強めの悪材料に対し、悲観的なシナリオを一気に織り込む傾向があり、その後は織り込みが行き過ぎればリスクオン(選好)方向に反転、織り込み通りなら金融当局の政策対応などをにらみつつ、底入れを探る動きが一般的だ。
少なくとも足元のリスクオフの動きは、流動性が干上がってしまうような深刻な金融危機に起因するものではなく、循環的な景気動向が、米関税引き上げという要素で、一時的に見通しにくくなったことによるものと考える。
トランプ関税は、いったん導入されても、その後の交渉次第で緩和方向に修正されることも想定されるため、目先は不安定な相場環境の継続が見込まれるが、長期視点の投資家であれば、冷静な見極めが可能と思われる。
構成/清水眞希