
東京のベッドタウンとして名高い「埼玉」と「千葉」。比較されることも多い2県だが、決して決着することなく、互いに進化し新たな魅力が芽生えてきているのも事実。
自虐PR合戦!?
かつて「ダさいたま」と言われた埼玉県は、映画「翔んで埼玉」の勢いそのままにそのネガティヴイメージを逆手に取り、逆襲のアピールに取り組んだ。
「ダさいたま」を冠した梨サイダーや「ださいたま梅酒」が販売されたり、新座市は「東京都に半分食い込むまち 新座市」というキャッチコピーも掲げてしまうほど。埼玉県人の寛容さや心の広さは見習うべきものがある。コンプレックスを強さに変え、目立ってナンボの精神で地元を盛り上げている。
一方の千葉県も負けてはいない。「なぜか『東京』を名乗る施設が多い」、「落花生ばかり食べている」など、こちらも自虐的千葉あるあるをチーバくん自身が紹介する番組が配信されたこともあった。
そんな中、2021年の都道府県別魅力度ランキングでは前年の21位から最も順位を上げ、12位にランクイン。2024年は15位だったものの、コロナ禍によりテレビなどの遠方ロケが敬遠された結果、身近な千葉の豊かな自然や食が再発見され、注目を集めた。
そんな2つの県は、長年「東京」「神奈川」に次ぐ首都圏3位争いを続けているわけだが(周囲がそう思っているだけかもしれないが…)、ホントのところどちらが住みやすく魅力あふれる環境なのか?今回、@DIME読者世代にピッタリなテーマで『埼玉vs千葉』の素敵な街バトルをお届けしようと思う。
【埼玉vs千葉 住みたい街(駅)はどっち?】
株式会社リクルートが首都圏に住む20~49歳の男女を対象にアンケート調査した
「SUUMO住みたい街ランキング2025首都圏版」。その中で埼玉と千葉の上位を見てみると、2位に埼玉の「大宮」、14位に「船橋」がランクイン。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002958.000011414.html
「大宮」は特に、夫婦+子ども世帯(共働き)やシングル男性世帯の支持が多数。
埼玉県最大級のターミナル駅としても知られ、都心部への便利なアクセスと充実した商業施設を備えながらも、郊外ならではの落ち着いた生活環境がその要因といえよう。
ちなみに、ニフティライフスタイル株式会社による、2024年の検索・閲覧数が最も高かった「注目の街ベスト100 年間ランキング2025」では、14位に「大宮」、20位に「浦安」がランクインしている。
どちらのランキングも埼玉が一歩リードといった感じだが、注目の街ベスト100にランクインした数は千葉の方が多く、8つの街が入っていた。
その中でも注目したいのは「津田沼」だ。
JR総武線や新京成線が走る津田沼駅があり、交通アクセスも良好。加えて、自然や教育環境が整っていることから子育て世代に高く評価されているようだ。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000184.000049786.html
埼玉は「大宮」、千葉は「浦安」「津田沼」が人気のようだが、「住み続けたい街」としてはどうだろうか?
「SUUMO住民実感調査住み続けたい街ランキング2024」では、8位が「浦安市」、9位が「さいたま市大宮区」だった。やはり、浦安と大宮の人気が拮抗している形だ。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002792.000011414.html
家賃が手ごろなのに満足度が高いのはどっち?
住まいで気になるのはやはり家賃。その額に見合った場所に住みたいし、できれば家賃以上の環境が嬉しい。
そんな調査もSUUMOが行っている。
「家賃が手ごろで満足度が高い住み続けたい街(駅)ランキング」によると、埼玉県のファミリータイプ物件、家賃11万円以下で1位になったのは「北大宮」。
ファミリー向けの家賃水準は10.6万円となっている。
大宮駅から1駅の「北大宮」。近隣には大規模ショッピングモールのステラタウンや、複合型施設のプラザノース、鉄道博物館など魅力的な施設も充実。家族連れや子どもたちが楽しめる大宮公園、小動物園などもあり、自然と憩いのスペースも人気を後押ししている。
一方、千葉県のファミリータイプ物件、家賃11万円以下で1位に輝いたのは「舞浜」。家賃水準は10.9万円。
「舞浜」はもちろんだが、注目したいのは2位の「鬼越」。
本八幡駅へも行きやすい利便性や多彩な施設が集うショッピングセンター「ニッケコルトンプラザ」が生活を支えてくれる。
周辺にはスポーツ施設、現代産業科学館、メディアパーク市川など文化施設も充実。
ショッピング、グルメ、映画、スポーツなど好奇心を刺激する幅広いジャンルのスポットが揃っている点は大きな魅力だ。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002794.000011414.html
子育て世帯の住みここちが良いのは、どっち?
@DIME読者にも多いであろう、子育て世帯にとって住み心地が良いのは埼玉なのか千葉なのか?これも気になるところだろう。
いい部屋ネット「子育て世帯の街(駅)の住みここちランキング2024<首都圏版>」によると、千葉県は4位に「海浜幕張」、埼玉県は17位に「浦和」がランクインしている。
また、自治体の住みここちランキングでは、「さいたま市浦和区」が昨年に続き3位。「浦安市」は昨年8位から4位にランクアップ。
ともに、「治安の良さ」、「公園の多さ」、「交通の便の良さ」、「歩道の広さ」などが子育て世帯にとって大きなポイントらしく、中でも「防災」を気にされている方が多かった。
ちなみに、「さいたま市浦和区」は「防災」での評価も高く、子育て世帯にとっては注目の街と言えよう。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001293.000035668.html
街の幸福度が高いのは、どっち?
街の幸福度比較はなかなか難しそうだが、いい部屋ネット「街の幸福度&住み続けたい街ランキング2024」では、過去最大級の居住満足度調査を行い、街の幸福度をランク付けしている。
埼玉県版では、4年連続で比企郡鳩山町が首位に輝いた。
埼玉県のほぼ真ん中に位置する鳩山町は、丘陵の緑に囲まれたのどかな風景の中にJAXA地球観測センターなどの研究機関や大学も多く、のびのびと子育てをしたい方に愛されている。県内都市部への通勤・通学も便利な立地だ。
一方、千葉県版での街の幸福度(自治体)トップは、4年連続で印西市だった。
千葉県北部に位置する印西市。市の中心部に位置する印西牧の原駅から都心までは特急利用で約50分。成田空港へも30分以内でアクセスできる。
参考:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001193.000035668.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001192.000035668.html
そんな印西市には、Googleやアマゾンなど世界的なIT企業のデータセンターが次々と建設されている。その理由の一つが、関東ローム層を主体とする強固な岩盤層が誇る地盤の強さ。災害リスクが低い上、電力インフラが整備されている点がその理由だという。
その結果、市の財政に大きな潤いをもたらし、地域活性化に繋がることも期待されている。
まとめ
埼玉&千葉、ともに都心へのアクセス抜群な上、過ごしやすい環境は互角といった様相。因縁の対決は甲乙つけ難い結果だが、そんな中、防災に優れた意外なエリアや知名度が今ひとつながらも将来性を感じさせる街など新たな発見もあった。不毛な争いよりも、知られざる魅力に注目し自分に合った街を見つけて欲しい。果たしてあなたはどちらにより魅力を感じただろうか?
文/太田ポーシャ