
積水ハウスは、ゼロ次予防の観点での住まいの研究にて、換気量増加により疲労感や頭痛などの軽減の可能性が明らかになったと発表した。
同社では、2022年4月から住環境と健康の因果を疫学の観点から研究し、健康を意識しなくても健康的な生活習慣が実行できるような環境づくり、いわゆる「ゼロ次予防住環境」の創造を目指している。
今回、その研究結果の第2弾として、住まいにおいて人数に応じた換気量増加が疲労感や頭痛などの症状を抑制できる可能性が明らかになったことを発表した。
住まいにおける換気と健康の関係性とは
住まいの換気は、建材から放散される化学物質、人の呼吸により生成されるCO2、生活上の臭いなど様々な汚染物質を外に排出し、室内空気をキレイに保つ役割がある。
2003年7月より建築基準法では、室内の汚染された空気により引き起こされる体調不良「シックハウス症候群」を予防するため、住宅の換気設備に関して、人数に関係なく1時間に部屋の半分の空気が入れ替わる換気量が義務づけられている。
【調査結果1】
「1人当たりの換気量による疲労感や頭痛などの軽減可能性」
これまで、実験施設やオフィス空間で、CO2濃度が高まると頭が重くなる、集中力が低下するといった報告があげられていたものの、実際の住宅環境における換気量との関係を調査した研究はほとんどなく、その影響は十分にはわかっていなかった。
本調査では、研究参加者が居住している住まいの換気設備の仕様書からリビングの換気量を特定し、居住人数との関係性についてシックハウス症状に関する質問票を用いて評価。
その結果、1人当たりの換気量が10m3/h以上の住まいでは疲労感や頭痛などの症状の訴えが少なくなることが示唆された。ただし、冬期の過度な換気は、乾燥症状を引き起こすリスクがあるため、加湿などを行なう必要がある。
※ 本グラフは、※2梗概上の表1、第1種換気設備の有意(5%水準)な結果を分かりやすくグラフ化したもの。
※ 低換気(Low):10m3/h未満、中換気(Middle):10~20m3/h、高換気(High):20m3/h以上
【調査結果2】
「1人当たりの換気量による感染症予防の可能性」
次の結果は、新型コロナウイルスの世界的な流行後、厚生労働省が商業施設において「換気の悪い密閉空間」改善のために推奨する1人当たりの換気量30m3/h以上を満たしていた住宅と30m3/h未満の換気量の住宅で、新型コロナウイルスおよび季節性インフルエンザの罹患率について解析したもの。1人当たりの換気量が30m3/h以上ある住まいでは、罹患率が有意に低いことが示された。
もちろん、換気だけでなく、自宅での手洗いやうがい、消毒などの予防についての取り組みも重要だが、これらの研究結果は、換気設備が人の健康に貢献できる可能性を広げ、住宅設計において換気量の設定がより重要な要素となり得ることを示している。
※ 本グラフは、※4梗概上の表1、表2の結果(有意水準5%)を分かりやすくグラフ化したもの。
※ 罹患はアンケートによる確認であり、病院の診断結果に基づいたものではない。
関連情報
https://www.sekisuihouse.co.jp/
構成/立原尚子