
輸液バッグからマイクロプラスチックが血流に流入か
医師や健康分野の専門家の間で、人体の奥深くにまで侵入するマイクロプラスチックに対する関心が高まりつつある。こうした中、医療行為でさえもこの微小なプラスチックへの曝露を増やす要因となり得ることが、新たな研究で示された。プラスチック製の輸液バッグから投与される液剤の中にもマイクロプラスチックが含まれていることが明らかになったという。復旦大学(中国)環境科学・工学部教授のLiwu Zhang氏らによるこの研究は、「Environment & Health」に2月14日掲載された。Zhang氏らは、「われわれの研究から、マイクロプラスチックが血流に入り込むという、人間に最も直接的に影響するプラスチック汚染の一面が浮き彫りになった」と述べている。
Forbes誌の最近の記事によると、マイクロプラスチックは、認知症や脳の健康問題、心疾患、脳卒中、生殖機能の問題、乳幼児の疾患など、さまざまな健康問題と関連していることが複数の研究で示されているという。2025年2月初旬に「Nature」に発表された研究によると、人間の脳から検出されるマイクロプラスチックの量は、2016年と比べて2024年には約50%増加したという。さらに、研究グループによると、マイクロプラスチックは人間の血中からも検出されている。血中を流れるマイクロプラスチックは、肺、肝臓、腎臓、脾臓などの臓器に蓄積されやすいという。
研究グループは今回、2つの異なるメーカーの点滴用生理食塩水入りの輸液バッグを購入し、その中身を静脈内輸液速度と同じ40~60滴/分でガラス容器に滴下した。次に、収集した液体を、0.2μmのポリカーボネートろ紙を用いた真空ろ過装置でろ過し、ろ紙上に残った物質をイオン水に浸して超音波処理した後に乾燥。最終的にSEM-EDS(走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分光分析)とラマン分光分析法を用いて、マイクロプラスチックの分析を行った。
その結果、どちらのメーカーの生理食塩水にも、ポリプロピレン製の輸液バッグと同じポリプロピレン粒子が相当数(約7,500個/L)含まれていることが明らかになった。この結果は、点滴を通して何千個ものマイクロプラスチックが人間の血流に混入する可能性があることを示唆していると研究グループは言う。研究グループはこの結果に基づき、複数の輸液バッグが必要になる脱水症状の治療では血流に入り込むマイクロプラスチックの数が約2万5,000個、腹部手術の場合には約5万2,500個に達する可能性があると試算している。
Zhang氏らは、輸液バッグを紫外線や熱から遠ざけることで、マイクロプラスチックが液剤に混入しにくくなる可能性があるとの見方を示している。また、病院や診療所では、患者が点滴を受けている間にマイクロプラスチックを除去するろ過システムの導入を検討しても良いかもしれないとしている。
研究グループは、「今後の研究では、より直接的な毒性学的研究に重点を置いて、マイクロプラスチックの潜在的な毒性とそれに関連する健康リスクを総合的に評価するべきだ」との見解を示し、「今回の研究結果は、マイクロプラスチックが人間の健康にもたらす潜在的な危険性の軽減に向けた適切な政策や対策を立案するための科学的根拠となるだろう」と述べている。(HealthDay News 2025年3月18日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/envhealth.4c00210
Press Release
https://www.acs.org/pressroom/presspacs/2025/march/medical-infusion-bags-can-release-microplastics.html
構成/DIME編集部
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